あんスタ!! 追憶セレクション『エレメント』/ネタバレ感想と、少しの考察。
こんにちは。桜小路いをりです。
今日の記事は、「あんさんぶるスターズ!! 追憶セレクション『エレメント』」のネタバレ感想です。
先日ライビューに行ってからうずうずしていたのですが、ようやくネタバレを気にせずに感想を書ける……! ということで。
気ままに、のんびり、時に考察を交えながら書いていきます。
最後までお付き合いいただけると嬉しいです。
(私のライビュー直後の感想記事は、こちらからお読みいただけます。)
「エレメント」は、「あんスタ!」でTrickstarが革命を起こす1年前の夢ノ咲学院を舞台に展開する、「最初」の革命の物語。
革命を起こしたのは、天祥院英智さんを中心とする「fine」。(ここからは「旧fine」と書いていきます。)
対して、革命の犠牲者となったのが、英智さんが「夢ノ咲学院の旧体制の象徴」として祀り上げた「五奇人」。
「エレメント」は、この相反する2組を、実に対照的に描いています。
まず、五奇人は、英智さんが「彼らのように群を抜いた才能をもつ者のせいで、普通の生徒のアイドルとしての仕事が失われている」と一般生徒に知らしめるための存在として、名付けられました。
いわば、革命の犠牲とするために、英智さんの目論見と打算によって集まった5人です。
しかし、それぞれが類稀な才能をもっている5人は、「五奇人」となったことで初めて「友」を得ます。
特に、五奇人で集まって衣装を合わせているシーンは、この5人の関係性がすごく鮮やかに表れているな、と感じました。
とても微笑ましくて、ライビューでも口元をこほろばせながら見ていました。
私は、今回の「エレメント」の語り手でもある、五奇人の末っ子の逆先夏目くんと、他の五奇人のお兄さんたちの関係性がすごく好きです。
(もともと、兄弟・師弟関係が好きなので。)
五奇人の中心点となっているのは最年長の朔間零さんではありますが、五奇人という繋がりの真ん中にいるのは夏目くんのように思います。
この日々樹渉さんの台詞、何度見返しても胸がぎゅっとなります。
先輩4人と共に「五奇人」に数えられたことが、夏目くんの未来に陰を落としてしまうのなら、「師匠」と慕ってくれる夏目くんとの師弟関係すら、捨て去ってしまって構わない、というような。
一方で、師匠と弟子のように上下のある関係ではなく、「兄弟」のように対等で、より強い繋がりがある、と暗に言っているのかもしれません。
夏目くんは、渉さんにとって、そして他の五奇人のお兄さんたちにとって、何よりも守りたい大切な存在で。
しかも、それが現在の「ズ!!」でも続いているのが、すごく素敵です。
ちなみに、この講堂のシーンでいちばん印象に残っているのは、朔間零さんが夏目くんの頭を撫でたとき、夏目くんが涙を拭うところでした。
張り詰めていたものが、零さんの言葉でふっと緩んでしまったのかな……と思うと、こういう細かな描写までこだわり抜かれていることがよく分かります。
私は、「五奇人」のいちばんの魅力って、それぞれが自分の才能や力の大きさを、多かれ少なかれ自覚しているところだと思います。
だからこそ、自分の力の限界が分かっていて、自分の力のせいで光の当たらない「陰」が見えている。
渉さんが最後、甘んじて革命の犠牲者となったのも、「夢ノ咲学院はこのままではいけない」と思っていたからなんじゃないかな、と、私は考えています。
そして、自分が討伐されることで革命が終わった後、英智さんが生きる気力を失くしてしまうところまで読めていたからこそ、「Blackbird」で、「夏目くんの夢の再構築」を提案したんじゃないかなとも思います。
英智さんにとって、「死」はそれほど身近な存在で、逆に言えば、自分が死んだ後のことを考えることが、いちばん想像(創造)しやすい未来だった。
そう思うと、英智さんがどれほどの間、死への恐怖と闘ってきたのかと胸が苦しくなります。
でも、そんなふうに「いつ死ぬか分からない」という想いをもって生きてきたからこそ、この革命も、端的に言ってしまえば効率的に達成することができたのかなと思います。
「五奇人」に対して、「旧fine」は、契約書で結ばれた関係性が強調されています。(巴日和さんと乱凪砂さんの2人は例外で、もとから親密な関係でしたが)
ここでまた、青葉つむぎさんと英智さんそれぞれに、関係性の捉え方の齟齬が生じていて、なんといいますか……すごく切ないです。
「エレメント」本編の「Genuine Revelation」では、2人のすれ違いがとても強く表れていて、初めてライビューで見たときには、たまらない気持ちになりました。
どうしたって視線が合わない2人の描写と、英智さんのモノローグも相まって、自分の中の冷静な自分が、一歩引いて演出に感嘆してしまいます。
(ちなみに冷静じゃないほうの自分は、情緒が揺さぶられまくっています)
真っ白な衣装を身に纏って、きらびやかな舞台の上に立ちながら、「契約書で結ばれた関係」という後ろ暗さを抱えていた旧fine。
それでも、ステージ上では、アイドルらしく、笑顔を絶やさないようにと振る舞うメンバー。
そんな旧fineの舞台は、かつて本当に存在し、学院を熱狂させたステージです。
その美しさと、「勧善懲悪」の「善」をそのまま形にしたような白さは、英智さんが心の底から憧れ、夢ノ咲学院に、ひいてはアイドル業界に求めていた「白さ」だったのかな、とも思います。
余談ですが、旧fineの人選のセンスも凄まじいな……と感じます。
柔らかで上品な雰囲気の日和さんと英智さん、どこか親しみやすくて優しい雰囲気のつむぎさん、そして、独特の華があって硬派な印象の凪砂さん。
華やかさと素朴さを兼ね備えていて、さらに、柔和な親しみやすさの中に、確かな「手の届きそうにない輝き」があって。
その眩しさに、存在感に、学院中が熱狂するのもうなずけます。
一方、五奇人の舞台は、存在し得なかった想像上のものでした。
(ここで心の声を少し。現在でも過去でもなく、夏目くんの夢物語として、想像の中でのMVとして描かれているのが本当に素敵です。最後に、「灰になった夢物語」として火花が散っていく演出もさすが。)
五奇人は、そのきらびやかな舞台の上で、後ろ暗い部分などひとつもなく、無邪気に笑って歌って、踊っている。
自分たちの信念を貫き通して、本当に守りたい五奇人の末っ子を守り抜いて。
実は私、Switchのアルバムに収録されているオリジナル「Eccentric Party Night!!」がすごく好きで、アニメ「エレメント」が始まるまで何周もリピートしていたのですが、「エレメント」本編で流れたバージョンも大好きになりました。
ライブらしいMixと、今回再録音された零さんのパートがすごく合っていて、「熱狂感」がひときわ鮮烈に表れている気がします。
オリジナルの零さんの歌声は、「魔王」や「魔物」のイメージが強く、どっしりと構えた五奇人の中心、という感じでしょうか。キャラクター的には、現在軸の吸血鬼キャラに近い気がします。
一方、「エレメント」のバージョンは「俺零」のイメージがそのまま出ているように思います。抑えきれない楽しさが熱っぽい歌声に溢れていて、「怪物」でも「魔物」でもない、ひとりのアイドルとしてステージに立つことの嬉しさが存分に表れていました。(何が言いたいかというと、とにかく「Eccentric Party Night!!」が好きということです。)
4人のお兄さんたちが、全員パフォーマンスの中で夏目くんと目を合わせているところも、胸がいっぱいになります。
また、「エレメント」とは、「古代ギリシアで考えられた、この世を構成する4元素のこと」だそうです。
英智さんがシナリオを描き、知略を巡らせて成した旧fineの革命、そして行われた五奇人の討伐。
それらがあったからこその「ズ!」の夢ノ咲学院であり、のちの「Trickstar」のさらなる革命です。
そんな視点で見れば、この「追憶」は、今の「ズ!!」にも繋がっていく、大切な歴史の1ページであり「夢ノ咲学院のエレメント(=夢ノ咲学院を構成する要素のひとつ)」だったとも考えられます。
もうすぐ新しいイベントも始まって、この2組の新曲も公開ということで、今からワクワクドキドキです。
(そして、ギリギリで記事が完成させられてよかった……。)
「あんスタ」は、どのユニットも、どの関係性も本当に魅力的で、私自身、推しをあまり決めずにゆるっと追いかけています。
(ローソンの「旧fine & 五奇人」ブロマイドは、ついついコンプリートしてしまいました。気ままに飾ろうと思います)
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
記事を書いていくうちに、なぜ私がここまで「エレメント」で描かれたストーリーが好きだったのかも紐解くことができて楽しかったです。
イベントの楽曲についてもまた投稿するかもしれませんが、今日はこの辺りで。
また私のnoteで、お会いできたら嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。 私の記事が、皆さんの心にほんのひと欠片でも残っていたら、とても嬉しいです。 皆さんのもとにも、素敵なことがたくさん舞い込んで来ますように。