その歌声は、光と闇で極彩色の世界を紡ぐ。/ヰ世界情緒さんのこと。
こんにちは。桜小路いをりです。
最近、神椿のバーチャルシンガーさんにハマっています。
今回は、その中のおひとりである、ヰ世界情緒さんについて、「歌ってみた」やオリジナル曲について触れながらご紹介していきます。
なお、この記事では「情緒さん」という呼び方で統一させていただきますので、予めご了承ください。
最後までお読みいただけると嬉しいです。
「真生活」
この歌ってみたがきっかけで、私は情緒さんの曲を聴き漁るようになりました。(最近、Spotifyでめちゃくちゃ聴いています。)
オリジナルの初音ミクちゃんの「真生活」の魅力は、現実と夢の狭間を漂うような、ふわふわゆらゆらした雰囲気。個人的に、オリジナルは「泡」のイメージです。浮かんでは消えていく、不安定な透明感、という印象でしょうか。
一方、情緒さんの歌ってみたは「薄いガラス」のイメージでした。誰かが手を触れたら儚い音を立てて割れてしまいそうなほど、危うい均衡でその形を保っているような。
綺麗なのに、深い闇を感じる曲、「真」と「偽」の対比を強調する丁寧な歌詞。
それらを紡ぐ情緒さんの歌声が心にすっと沁みこんできます。
「QUEEN」
お次はKanariaさんの人気曲「QUEEN」。
この歌ってみたの中で、情緒さんは、力強い歌声と少女のような可愛らしい歌声を使い分けて、楽曲の世界観を表しています。ゴシックな雰囲気に、情緒さんの歌声がこれまたぴったりです。
私は、同じくKanariaさんの楽曲である「KING」で、王様を玉座から追放した女性の過去が、「QUEEN」で描かれているのではないかと思っています。
その考察の影響もあるかもしれませんが、情緒さんの歌い方からは、「ごく普通の少女」と「権力を握るために強かに生きる女性」の間を揺れ動いているようなイメージを抱きました。
光を浴びて生きてきた少女が、その先にある更に眩しい光を目指して闇の中に向かって進んでいくような。その「あわい」を描いているように思います。
「君が生きてなくてよかった」
この曲、私は、情緒さんの「歌ってみた」で初めて知りました。
ピノキオピーさんの楽曲は、初音ミクちゃんの歌い方が機械らしく拙い印象になっており、その無感情さが歌詞の切なさを引き立てているように思います。そして、機械だからこその「純粋さ」が垣間見えるのもまた、魅力のひとつ。
この動画での情緒さんの歌い方は、最初は少し掠れた静かな歌声で、後半にいくにつれて、はっきりとした、感情を露わにした歌声になっています。
儚く、光に溶けて消えていきそうな春霞のような歌声から、クリスタルのように強く芯のある歌声に変わっていくところ、すごく素敵です。
私の情緒さんへのイメージは、「優しい聖女」です。現実に生きる人のすぐ傍で、彼らの悲しみを全て見ていて、それに寄り添った歌声を奏でているような。神様のような絶対的な力はなくて、でも、何かを変えたくて。そのひたむきさが「儚さ」と「凛々しさ」を醸している気がします。
「いろはに咲きて」
ここからは、情緒さんのオリジナル曲。
「いろはに咲きて」は、和風な雰囲気が素敵な1曲です。
あどけない印象の強い可愛らしい歌声なのに、ところどころに艶やかさがあります。
少女だからこその色っぽさ、といいますか、不思議な魅力がある楽曲です。
どこか不穏なパートもありますが、それも情緒さんの可憐な歌声で紡がれることで、幻想的な印象になっています。あどけない歌声は、座敷童のような「あやかし」のイメージでしょうか。
闇と光の境を行き来するかのような歌声が、はっとするほど鮮烈な美しい世界を織り上げています。
今、この曲について書いていて思い浮かべたのは、黒地に赤い椿の柄が大胆に刺繍されたお着物でした。可憐で、上品で、でもどこか艶っぽさがある。この楽曲は、そんなイメージです。
「かたちなきもの」
「かたちなきもの」は、情緒さんが初めて作詞に挑戦された楽曲です。作曲は香椎モイミさんが務めています。
この曲を初めて聴いたときの私のイメージは、ずばり「瀟洒」でした。
静謐で、清らかで、聖女のよう。どことなくほの暗い雰囲気もありつつ、その「闇」を柔らかな光がそっと包んでいるような、そんなイメージです。
個人的に好きな歌詞は、この部分。
美しい言葉の数々と、儚げで繊細なメロディーに、何度も聴きたくなります。
MVも凝っていて素敵です。
花譜×ヰ世界情緒「深淵」
最後は、V.W.Pの派生曲として公開されている、花譜さんとのコラボ曲「深淵」。同じく香椎モイミさんが提供されています。
闇に染まりつつある灰色の世界をイメージするような歌い出しから、曲が展開していくごとにそこに淡い光が生まれて、ラスサビでは鮮烈な光が一閃、その闇を切り裂いていく。
そんな、ドラマチックで力強い1曲です。
個人的なイメージは、花譜さんは「弱さを弱さのまま抱えて、歩き続ける強さ」をもった少女、対して情緒さんは「自分の弱さを塗り替え、全て払拭するほどの強さ」を手に入れた少女、という感じ。
闇を光で照らし、弱い自分を強さで支えていく。モノクロの世界に鮮烈な色を与えていくような楽曲だなと思います。
花譜さんの「不可解弐Q1:RE」のバージョンも素敵なので、そちらもぜひ。
まとめ
情緒さんの歌声は、透明感と清らかさがあり、それでいて、どこかあどけない印象も受けます。
しかし、一方で独特の「暗さ」も感じます。憂いのような、悲しみのような響きがある、という感じでしょうか。
声そのものは「光」のようなのに、その声を聴くと、「光」が当たらない「闇」の部分まで想像させられます。本当に不思議な、もっと言えば魔性の魅力のある歌声です。
でも、情緒さんが歌う楽曲、創り上げる世界観は、いつだって「モノクロ」ではないと思います。
光と闇で織り上げたその世界は、極彩色のきらめきを放ち、鮮やかに輝く。
しかも、「どうやったの?」と驚いて尋ねたら、「魔法だよ」と言ってふふっと笑うような、「お茶目さ」まで持ち合わせていらっしゃる気がします。
(情緒さんが、きくらげは海で採れると思っていらっしゃった、という切り抜き動画を見て「可愛い……」と悶絶したのは、ここだけの話です。)
花譜さんから「V.W.P」を知って、そこから情緒さんの歌声を好きになったのですが、いま知ることができてよかったです。14日の「キャンディライブ」も楽しみ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事で、ヰ世界情緒さんが紡ぐ世界の魅力を、少しでもお伝えできていたら嬉しいです。