Tommy Wonder氏の魅力
自宅より札幌の喫茶店の方がマジックの読書が捗るShinjuです。
今回は私の好きなマジシャンについて紹介します。
第一弾はTommy Wonder。
マジックをやっていれば誰しも目にしたことはあるはずです。マジックに対して尋常じゃないほどの熱意は「演技」自体にも感じますが、それ以上に裏側のタネや演出へのこだわり。それを知れば知るほど、マジックに対して大変真摯に向き合って取り組んでいることが分かります。
その真摯な姿からはあらゆることを学ぶことができますが、
今回は3点に絞ってその魅力をご紹介していきます。
①味わい深いショーの組み立て方
②セリフ作り
③感情表現
※参考書籍「BUILDING AN ACT」
①味わい深いショーの組み立て方
トミー・ワンダーは書籍の中で下記のような内容を記している。
自分の知らない世界に積極的に参加することの重要性を描いており、的を得ている言葉だなと私は感じた。ここで「Ring Watch and Wallet 」という演技を見ていただき、トミー・ワンダーの創造性に触れていただきたい。
「Ring Watch and Wallet 」
この演技はアムステルダムで自分が強盗の被害者にあった話をする所からセリフが始まる。手順としては盗まれた(封筒に入れて消えた)リング、時計、財布が全く同じ場所からし出現するという現象が起きる。
演技はシンプルにまとまり、流れも自然に見える。しかし、マジシャンからすれば、この3つのモノを同時に消すという現象から、このシナリオを描き上げるには様々な想像力を書き立てて作成しなければならなかった作品だと個人的には感じる。だからこそ実体験など、インスピレーションの種となる経験の重要性を語っていたのかなと思う。自然な手順の流れでかつ、衝撃的な展開で私の大好きなマジックの一つです。
②セリフ作り
トミーワンダーのセリフは長くもなく、手際が良い短いセリフで笑いに持ち込む。理想的な言い回しが多いように感じます。これはもちろん即興でやっているわけではなく、事前にセリフを固め演じているという。書籍の中ではセリフ作りの億劫さについても触れており、その壁を乗り越えるには「なんとしてでも、自分を書く状態に追い込まなければならない。」と述べています。
次はこちらの動画を見ていただきたい。
「Socked Coins」
例えばこの動画内の1:48あたりのセリフ。
このお客さんとの間の取り方は素敵である。
そしてこの台詞は格言的な台詞をひねった台詞で
“the spirit is willing but the flesh is weak.”
日本語では「心は燃えても、肉体は弱い。」といった意味合いの格言を利かせて笑わせているのだ。細かいところもよく練られている。
③感情表現
トミー・ワンダーは手順の組み立てかたが上手く、デザイン性の高い演出が魅力的であるが、それ以上に目立つのが感情表現。
彼は書籍の中では感情表現についてこう語っている。
この俳優はお客さんにどう見てもらいたいかを意識することよりも自分自身がどのような感情になるべきなのかに意識を向けて演じることを大切にしている。その点をトミーワンダーは参考にして欲しいのだろうと推察する。
※スタニスラフスキーの書籍は「俳優の仕事」という日本語訳が出ている。参考までに動画も紹介します。
ではここで感情表現についてトミー・ワンダーの「Nest of Boxes」を紹介したい。このマジックには複数のバージョンがあり進化してきている。
どれも声のトーンや間の取り方が自然かつ楽しい気持ちにさせてくれる。是非ご覧いただきたい。本当はこの種が衝撃的なのだけどね。それはまた今度の機会にお話ししよう。
「Nest of Boxes ver.1」
「Nest of Boxes ver.2」
「Nest of Boxes ver.3」
まとめ
以上でトミーワンダーの魅力を探っていったが、彼の魅力は演技面もあるのだが、真の魅力はその裏側の哲学にあるように思います。人々にワンダーを感じてもらうためのきめ細やかな工夫。そのマジックに対する向き合いかたが一番の魅力だと私は考えています。トミーワンダーの好きなマジックがあれば是非、教えてくださいね!それでは!
(編集中)
オマケ
Tommy Wonderが紹介していた下記2点についてもいつかまとめたいです。
・舞台演出家George Ledoの記事
・マジシャンTopper Martyns