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家族と一緒にネパール旅行-15

楽しい時間を過ごした後に問題が起きるのがネパールの常のようで。


翌朝、今日はポカラに向かう予定です。外は霧深く寒さが残る中、ホテルの方に尋ねます。

「服は出来上がりましたか?」

「もう少し待ってください」

昨日、サファリに行く前に洗濯物を出していました。翌朝には受け取れるとのことだったので、今日は洗ってもらった服を着る予定なのにそれが届きません。
しばらくしてから同じことを尋ねても結果は同じ。
出発時間が迫る中、そうのんびりとしていられないので、「着る服がない」ことを伝えるとようやく届きました。

えっ!?

なんと下着以外のすべてが半乾き。
着てみると気温が低いせいか体温が奪われていくのを感じます。

ちょうどその時、たぁ両親が部屋にやって来ました。聞けば彼らの服も半乾きで着られる状態ではないのに一泊の宿泊料金以上の料金を求められて納得がいかないので、私たちで話をつけるように言われました。
とりあえず、洗ってくれたことには間違いがないから請求額の半額を支払うことにしましょう。

着られる服が一枚もない私は泣く泣く半乾きの服を来て、オーナーのもとへと向かいます。


彼らがいた建物の中央には焚火が焚かれ、周りには洗濯紐がかけられていたのでここで干していたのだと理解しました。

「洗濯代だけど、全部半乾きだから半額だけ支払うよ」

そういうと奥さんの顔はしかめ面になり、ご立腹へと急変。旦那さんは困った苦笑いを浮かべています。

「いやっ、うちも洗うのは別の場所に出したのだからちゃんと支払ってほしいんだけど」

「そうはいかないよ」

するとガイドのサンカルさんとたぁ両親がやってきました。

「洗濯物は一日でできると言ったよね」

「うん、言った」

「だけど乾いてなくて着られないから、請求額では支払えないよ」

サンカルさんはホテルオーナーにネパール語で話すものの、彼らは納得がいっていない様子。同じ押し問答が続く中、旦那さんが口を開きます。

「ここはカトマンズのような都会じゃないから、乾燥機がないから乾かないってこともあるんだよ」

そうだとしても出来上がっていないものを渡して全額を請求するのはいかがなものか。やり取りに疲れた私はその言葉を聞いて、つい何も考えず発してしまいました。

「それは私たちの問題じゃなくて、そっちの問題でしょ」

これを聞いたたぁパパはきつい言葉と感じたのかその場を去ってしまいました。
気づけばアニルさん夫妻もやってきて、私たちたちに加担してくれました。

だけどオーナー奥さんの手振りとアニルさんたちの顔がどんどん曇っていくところから「どれだけ汚い服を洗ったのか」みたいなことを下劣な言葉を使って話しているのが、伝わってきました。

私はイラつきで体温は上がっているものの、半乾きの服で気温の低い外庭で話していたせいか、くしゃみが出始めました。

「もうお金なんていらない」

そういって、オーナー二人は去っていきました。

昨日の旅行会社の主人もそうですが、どうして怒るとこちらが申し出ている費用を受け取ろうとしないのか不思議でなりません。


彼らが去ったことで皆は解散しましたが、洗ってもらったという事実がある中で何も支払わないというのはやっぱり納得がいかないので、私とたぁはオーナー二人が戻っていた焚火の建物に行きました。

「とりあえず洗ってくれたんだから半額は支払うよ」

「いらないわよ」

奥さんはこっちに顔を向けることはありませんが、どうにか場を丸く収めたいと思っていそうな旦那さんは苦笑いでこちらを向いています。

「本当にいらないの?」

そう言って、お金を差し出すと彼は受け取ってくれました。


外に出るとサンカルさんとたぁ両親が話しています。

「どうしてあなたはそんなに誠意をもって私たちに対応してくれるのに、こんなホテルで雇われているの?自分でホテルを持てばいいじゃない」

「僕だってそうしたいけど、まだ若いし、奥さんや子供を養うと貯金なんかできないんだよ」

たぁパパは彼を相当気に入ったようでチップをあげていましたが、さらに支払った宿代以上のお金を彼に渡しました。

「ありがとう」

ひと悶着が終わるとポカラ行きのバスに乗るために出発しないといけない時間が近づいています。服をバックに詰めてトラックの荷台へと乗り込みます。
ホテルを出るとき、オーナー夫婦の見送りは・・・・・・当然ありませんでした。


サンカルさんと出会ったバス乗り場に到着するとそこにはすでに多くの人。どのバスが自分たちのバスなのか、ネパールが読めない私たちには知る由もありません。
こんな時はずっとお世話になっているサンカルさんにお願いします。

「君たちのバスはこれだよ」

「私たちのバスはどれ?」

昨日、キャンセルをしなかったアニルさんの紙にはバスの時間や行先など詳細は書いていません。その紙を渡されてもサンカルさんだって困り、周りの人と話します。

いろんな話が飛び交う中、アニルさんのバスも私たちと同じだとわかりました。

「同じバスだったんだね」

「違うよ。サンカルさんがバスの運転手さんに話をつけたんだよ。僕たちもあのチケットのままだったら、誰もバスの乗れなかったかも」

たぁの言葉に驚く私。


サンカルさんがいてくれて、バスチケットのアドバイスをくれて、その指示に従って本当に良かった。


彼がいてくれたおかげでチトワンでの時間がたくさん救われました。


ありがとうございました。


どうかあなたの誠意が失われず、希望ある導きが現実化されますように。


※2010年11月18-12月4日にたぁ両親とともに訪れたネパール旅行記です。



これまでのお話



無空真実の電子書籍です。よろしくお願いします。



2025年、明けましておめでとうございます。
今年の干支である蛇は吉兆や幸運、生命力の象徴とされています。
どうぞそれらをすべて受け取れるような素晴らしい一年となりますように。


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