気づけばバレンタインウェディング③
義母の計らいでバレンタインデーに式と披露宴をすることになった私たち。
式が終わった後は写真撮影。
カメラマンは慣れた様子でレンズをこちらに向けていろいろとリクエスト。
まずは家族全員、その後は新郎側、新婦側家族の各々と。
草原と海をバックに二人で見つめ合う、振り返って、ブーケに顔を近づけて。
草原でしゃがみ、アヒルを目で追い、笑顔を忘れない。
「口を開けて笑って」
閉じているほうが好きなんだけどな・・・・・・・だけど期待に答えないと何度も言ってくるので仕方がありません。
広い草原を姉夫婦と弟カップと共に「太陽にほえろ」状態で歩く。
浜辺で全身写真、上半身、ズームの写真を撮った後はお姫様だっこ。
新郎は靴を脱いで海に入り、二人でカメラに向かって笑顔。
「落とさないで」
周りから茶々が飛んできます。
「落としたい?」
「うん、ちょっと」
ならば披露宴が終わった後、それを叶えるしかないでしょ。
新郎新婦のお姫様抱っこ写真を撮り終えた後、カメラマンは姉夫婦に言います。
「二人も同じ写真を撮ろうよ」
「えっ」
戸惑う姉。
「よし、やろうっ」
乗り気な義兄。
姉を持ち上げ、二人笑顔でカメラ目線。
照れながらもすっごく嬉しそうっ!
後で姉から一言。
「初めてお姫様抱っこしてもらったの。写真、絶対頂戴ね」
当り前さっ。
ビーチを素足で歩いた夫は披露宴の時も靴を脱ぎ裸足でズボンをめくりあげて入場。
これが許されるのもゆるいお国柄ニュージーランドだからかもしれません。
披露宴で用意したケーキはみんなが大好きチーズケーキ。
ニュージーランドにはチーズケーキ専門点があり、夫の希望のチョコチーズケーキと私が選んだライムチーズケーキの二段重ね。
ケーキ上の砂糖菓子は新郎新婦ではなく、カメとサボテン。
当時、私は生まれ変わったら陸ガメになりたくて、彼にはサボテンに生まれ変わるようお願いしていたので、それをミニチュアで表現してもらいました。
お食事はビュッフェ。
姉が取ってきてくれた料理は美味で、ぺろりとすぐになくなります。
朝から忙しなく、お腹が空いていた私はもっと食べたい。
「自分で取ってくる」
「ダメ、新婦なんだから。何が食べたいの?」
お姉さん、ありがとう。
お言葉に甘えてリクエストを伝えますが、他にどんな料理が並んでいるのか気になる私は最後はもう自分で見に行きました。
夫も友人の元へと姿を消すし、ずっと座っているのもウズウズするし、私の行動なんておいしい食べ物を前にした皆は全然気にしていませんでした。
披露宴も無事終わり、さぁて最後のビックイベント。
姉夫婦と仲の良い友人を連れて海へと戻ります。
既に裸足の夫に再び抱えられ海へと向かい、その状況を友人が動画で撮影してくれています。
「ドレス、水吸うと重くなるからあんまり遠くに行きたくない」
「わかった」
遠浅の海を歩き、水位が彼のふくろはぎまで達しました。
「ここでもいい?」
私は落とされた後のことを考えて、安全な浅瀬で声をかけます。
「うん、いいよ」
彼は皆がいる浜辺へと向き直り、カウントダウンを始めます。
「3,2,1」
ボトンっ。
よかった、レンタルドレスじゃなくて。
抱えられていた状態で海へと落ちた私。
水位はお腹の当たり。もう少し深くても良かったかな。
だけど立ち上がろうとするとドレスが重たい重たい。
どうにか浜辺に戻ると義兄から言葉をかけられます。
「ちょっと浅かったね。今度はもう少し深くまで行って」
気持ちはわかるけど・・・・・・
「もう無理です。ドレスが水を吸ってめちゃくちゃ重たい」
こうして私たちは無事、皆が認めてくれる夫婦となりました。
披露宴後はみんな普段着に着替えて別のビーチでバーベキュー。
「あらっ綺麗な新婦さんはどこからしら?」
すっぴんで姪っ子、甥っ子と一緒に砂遊びをする私はすでに主役の荷を下ろしています。
何から何まで日本とは大違いの結婚式、だけど堅苦しくない私たちらしい最高の結婚式でした。
ちなみにどうして新婦入場まで相当時間かかったかというと義弟が私の結婚指輪を砂浜に落としてしまいみんなで探しまくっていたそうです(笑)
ちゃんと見つかってよかった☺
バレンタインデーを結婚日に選んでくれた義母のお陰で大切な記念日を忘れることもありません。
ありがとう、ママ。
Photo by Sandy Millar on Unsplash
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