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家族と一緒にネパール旅行-10

ナガルコットから戻るとアニルさんがホテルに来てくれました。
ミニバスの運転手とお金のやり取りに手間取ったことを話したら、「それは騙されたね」と言われたのは時です(悲)


私たちはこの後の予定としてチトワンとポカラを楽しむ予定だと伝えると、アニルさんも奥さんのサガルさんと一緒に来ることになりました。
翌日出発ということもあり長距離バスの予約が可能で、いくつかのランクがある中で私の希望をもとにローカル(一番低いランク)を利用することに。これなら万が一、アニルさんたちが急に帰ると言い出しても余計な問題は避けられそうです。


昼間は太陽の光で暖かいカトマンズも、ナガルコットほどではないですが朝は冷え込みます。
翌朝、まだ早い時間、薄手の服を重ねて身を寒さから守りながら町を歩けば、さまざま光景が目に飛び込みます。

身を寄せ合って路上で寝る子供たち、どこから匂ってくる独特な匂いの元を探せば道端でプラスチックを燃やす人。
これがカトマンズの朝かと、皆、言葉少なめに実感します。

そういえば昨日は道端でシンナーを吸う小学生ほどの子供たちを見たっけ。


到着したバスは日本の交通機関でよく見かける大きさ。荷物を預けるとバスの上へと運ばれます。

うーん、ちょっと心配。

乗り込むと地元の人たち、観光客と様々です。
とりあえず指定席なので与えられたシートに座ると椅子のクッションはどこへやら、ゴツゴツとお尻に固いものが当たります。幸い私たちの背もたれはしっかりと固定されていますが、サガルさんのはガバガバで、よっかかることができない状態です。
私の座席に設置されている網かごは壊れていました。

いいねぇ、値段相応のおんぼろ具合。

だけどこのローカルさがたまらない。

そう思っているのは私だけでたぁと両親の顔は曇り気味です。

もちろん冷房はついていないので窓を開けて涼しさを確保します。
カトマンズといえども補正された道路は少ないので、外の埃が開けた窓から入ってきます。道に車線は引いてあるのに、誰も気にせず走るので、バスはブーブーとクラクション鳴らしっぱなしで走ります。


ビルとお店が立ち並ぶ景色が終わると、乾いた農地へと変化し、小さな町に代わり、荒れた土地へと入るを繰り返します。

たまに見かける交通事故、そりゃぁ起きるよね。

途中、トイレ休憩で露店がいつくか並ぶ小さな町に停車しました。

フルーツ大好き、たぁママは露店でミカンを買いたい。だけど値段を聞いたらちょっとお高め。ためしにアニルさんに代わりに買ってもらったら言われた額の三分の一ほどで購入できました。

カトマンズとは同じ失敗にならずに済んだママはご満悦です。


公共トイレには三つの個室があり、そばにおじさんが立っていて一人が出るたびにお掃除をしています。
彼にお金を支払ってから中に入ると、“日本でよかったね”和式タイプ。といっても、穴があって横に足置き場があるシンプルなもの。だけどおじさんのおかげで汚いと感じることはありませんでした。

トイレから出るとヨーロッパ系の女性がいて、トイレを確認しています。

「全部同じで、ヨーロピアンスタイルはないよ」

彼女は苦い顔をしながらも一言。

「わかった。大丈夫。私、できるっ!」

そうそう、こういう経験も旅のうちだよね。


規則性のない混み合う道路を使っているだけにスピードは思うように出せません。約6時間を要して、どうにかチトワンに到着しました。

バスが到着するのを待っていたかのように、降りた瞬間、観光客を囲む大きな群れ。

なんだ、これっ?

ローカル長距離バスに有名人でも乗っていたのか?

カメラのフラッシュさえあれば間違いなく囲み取材だよ。

そう思わせるほどのホテルへの勧誘。

同じタイミングでバスを降りたのに、荷物を受け取ったら、勧誘の多さに家族を見失ってしまいました。

「うちは〇〇ルピーだよ」

「うちのほうが安いって」

「それどころじゃないよ。たぁに会わせてよ」

「うちにおいでよ」

「何人で来たの?」

もう超絶、めんどくさい。

「家族と合流するまで場所決めないよ」

「どこにいるんだ、君の家族は」

「どこだ、どこだ」

まるでキングコングから逃げ回るカオスの中、どうにかたぁと家族を見つけて、変な安心感に包まれます。


みんな意見は同じで「押しが強すぎる奴らのホテルには泊まらない」です。なんせ痛い経験、すでにいっぱいしていますからね。

その中に群れにいながらも、押しが強くなく信頼できると家族から判断された青年と交渉をすると一泊一人300円ほどとのこと。

めっちゃ安いんですけど。

それでも聞くとシャワーからお湯も出るし、部屋も悪くなさそうなので、彼を信じてそのホテルを決めました。


ホテルまではジープで移動。みんなで荷台に乗り込みます。

こういうの、だーいすき。

日本では交通規制で味わえないこの体験がたまらなく充実感を与えてくれます。

バス停からの景色は農地が広がる平和な風景。

大気汚染がなさそうな、新鮮と思える空気を胸いっぱいに吸いながら、数百円で泊まれるという謎のホテルへと向かいます。



※2010年11月18-12月4日にたぁ両親とともに訪れたネパール旅行記です。



これまでのお話



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