ナックルボーラーの障壁
上の画像はメジャーで200勝を遂げたティム・ウェイクフィールドです。
こんばんは!長濱です。
私はナックルを武器とするピッチャーであり、ナックルはいわば自分にとっての『代名詞』であり、今では絶対的な自信を誇れる球です。ですが、ナックルボールを投げるという事は様々な障害と戦い、それを乗り越えていく必要があるのです。今晩はそれについてお話ししていきます。
〜習得にあたっての動機〜
ナックルを練習するようになったのは高校3年生の時であり、きっかけとしてはコロナでの緊急事態宣言中にたまたまYouTubeでナックルの動画が流れてきた事と、自分の武器を確立していきたかったことから始まりました。私は小学生の時から野球をしていて、野球が物凄く大好きであった。しかし、体格にも才能にも恵まれていなかった私は小中高とチームの中で群を抜いて下手くそでした。でも、大学で野球がしたい!いずれは上の世界で野球をしたいって気持ちがすごくあり、理想と現実のギャップにかなり苦しみました。そういったモヤモヤを抱いて、進路に迷ってる時期に、たまたまYouTubeで見たのがメジャーで活躍した先人達(ナックルボーラー)でした。ウェイクフィールドや、ディッキー、スティーブンライト、チャーリーハフ、ニークロ兄弟の勇ましい先人達の姿を見て、鳥肌が立ったのは今でも覚えています。そこからナックルについて色々調べた上でナックルは特別な身体能力が必要でない事を知り、この球を極めれば自分も今よりもいい景色が見れるのではないかと思い、練習する事にしました。
〜習得するのに3年かかる〜
あんなに勇ましく、華々しい活躍を見せたメジャーの先人達でも習得するのに3年、更に極めるのには10年かかったとのことと、自分もナックルを練習してから3年が経ちますが、ようやく実践で投げれるようになった感じです。
ナックル習得とは?って思った人もいるかと思いますが、無回転のボールを投げるだけなら1年もかかりません。ナックルボーラーになるには、10球中1球無回転の球が投げられるだけではダメだし、10球中10球が無回転からせいぜい2回転くらいで、かつストライクを取らなければなりません。また、ナックルを投げる上でのメンタル面の強化やピッチャーとしての基本時な動きや知識なども覚えていかなければなりません。
それほど膨大な時間を費やしていかなければならない事を理解してください。
〜習得までの道のりと障壁〜
私が実際に試合で投げたのは大学1年の春からでした。1年間練習したこともあってそれなりに無回転で投げられるようになってきた。見せ球程度で使う事をできましたが、コントロールがなかなかうまくできない。それといざバッターが打席に立つとナックルを投げる事に怖さを感じました。私の知り合いの日本人ナックルボーラーの先輩もナックル投げる上で大切なのは『信じること』といってるくらい、ナックル投げる上での自信や勇気がいかに大切である事。自分のナックルを思い切って投げる事ができないと腕のスピードが緩みホームベースの手前でワンバウンドしてしまう。だからチームメイトからは『そんな球投げるな』や『ナックルなんて投げない方がいい』と言われてしまった。確かにそう言われても仕方ない。そう言われると練習中や試合中投げづらくなる。投げづらくなる事で変にフォームや感覚を崩す悪循環になる可能性があるし、そうなるならいっそ封印してやろうと思った。全体練習では投げないで、家でのネットスローと壁当てで徹底的に投げ込んだ。そうしていくうちに徐々にメンタルの保ち方や強化に繋がった。技術面は、練習次第でカバーできるかもしれない。だが、メンタル面を鍛えるのはそう簡単ではない。人によって性格やメンタルの強さは違うが、その中で私がメンタルを強化した上で大切だなって思ったのは、1つ目は実力を伸ばす事。一見技術面に見えるかもしれないが、また少し意味が違う。実力を伸ばす事によって相手の味方も変わってくるからだ。
例えば絶対に勝たないといけない勝負だとして、自分のレベルが50だとして、相手も50、あるいはそれ以上のレベルの人と勝負するのと、レベルが20の人と勝負するのでは、また違ってくる。自分より圧倒的な実力のある人たちだと本能的に怖がってしまう。だが、実力を伸ばし確かな成長を感じていく上で圧倒的実力者に勝るのがナックルだと思うようになった。
2つ目は承認欲求である。言葉の通り、誰かに認められる事。私はtiktokで自分のナックルの投球動画をあげているのだが、コメント欄で『どうやって投げるんですか?』や、『私(自分)みたいな凄いナックル投げたいです』と言ってくれた。私は本当嬉しかった。友達に動画を見せたりしてもこれ凄いな!?と言ってくれて、自分の成長を改めて感じる事ができた。
2つは相互関係にある。実力がなきゃ誰も褒めてくれないし、メンタル面も強く持たなきゃ実力を発揮することもできない。
私自信ナックルボーラーとしての実力もまだまだだし、これからも様々な壁に直面する場面があると思うが、私なら乗り越えていく自信がある。
〜まとめ〜
ナックルボーラーとして生きていくのは色々な面で困難である。単純に無回転で投げるのがとてつもなく難しいからってのもあるが、非常に稀である為、周りから否定されやすく、白い目で見られる事が多々ある。これは日本人特有の『型にはめる』教育的なものが影響していると思う。また今の時代、『140キロ投げるコツ』『コントロールを安定させるには?』『キレのある変化球(カーブ等)の投げ方』などYouTubeやGoogleで調べればいくらでも出てくるが、ナックルボールの投げ方と調べても出てこないし、ナックルを教えられる指導者は全くと言っていいほどいない。これは歴史上のナックルボーラーが数少ないからであり、投球理論が確立されていない為、試行錯誤して、自分の中で確立していかなければならない。
最後にナックルボーラーは他のピッチャーとは異なり、投球スタイルや投球法も異なる。ナックルは変化球というよりも特殊球である為、本物のナックルを捕った事、打席で見た経験がある人はほぼいないと思うし、自分もナックルを実際に受けたのはナックルに興味を持ち始めてSNSで繋がった先輩ただ1人。それほどナックルボーラーは希少である。希少だからこそあまりいい目では見られない。ナックルを投げてから分かった事だが、人と違うからこそまた良さがあったりもする。これは野球に限ったことではなく、他のスポーツや仕事などにも言えるだろう。
この記事を読んだ人は一度自分の中の常識を疑ってみてほしい。常識や型にとらわれず、自分と異なる点を認めたりするのも大切なことである。