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小競り合い
先日、1日に2回も見知らぬ人の小競り合いを見かけた。
駅のバスロータリーを歩いていると、冬の寒空の下、道のど真ん中でおじさんとおじさんが怒鳴り合っていた。
Aおじ「お前のような奴が日本を悪くしてるんだ!」
Bおじ「お前のような?お前も俺と同じようなもんだろ!」
Aおじ「じゃあ、俺たち二人共いなくなった方がいいな!」
Bおじ「そりゃそうだろ!」
喧嘩なのか、おじさんたちなりの「じゃれあい」なのか、下町出身の僕が昔よく見かけた下町特有の小競り合いだった。
じゃれあいおじさんたちを見た後、買い物を終え、ブラブラ歩いていると道路工事をしている道に差し掛かった。
歩道が狭くなっていたのでゆっくりと進んでいると、進む道の先にいたガードマンを見て、違和感を感じた。
ヘルメットを被り、手には誘導灯を持って立っているガードマンの横に、部屋着の上にダウンベストを羽織った白髪の老婆がぴったりとくっついて立っている。
よく見るとガードマンはその老婆に何度も肘打ちをされていた。
また、小競り合いだ。
近づいていくと、ガードマンは誘導灯で老婆の肘打ちを防御しているのが分かる。
ちょうど僕がガードマンと老婆の所に差し掛かった時、老婆は肘打ちを止め、手のひらを開いてガードマンに見せた。
その老婆の手の上には100円玉が1枚あった。
老婆「いいから、暖かい飲み物、買いなさいって」
ガードマン「仕事中ですんで」
老婆「こんな寒いんだから、風邪ひくよ」
ガードマン「規則ですんで」
鬼気迫る争いとは違う、和やかな小競り合いだった。