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診断士セミナーの「ハイブリッド開催」を考える(前編)

コロナ関連のトピックのひとつに「イベント開催制限の緩和」というものがありますが、診断士界隈のセミナーや研究会でも実際の会場で行う“リアル開催”回帰の動きがにわかに出てきています。

ただ、大手を振ってリアル開催を行うにはやはり時期尚早なようで、Zoomなどを使った“オンライン開催”もまだまだ必要とされています。
そんな状況から、リアル開催だけどオンライン参加もできる“ハイブリッド開催”という方式が、新たに生まれてきました。

ハイブリット開催は、参加者がリアルとオンラインの好きな方を選択できるうえ、リアル参加が難しい遠隔地の人も参加できるというメリットもあり、今後コロナ終息後も残っていく方式かと思います。

ただ、ハイブリッド開催ではリアル/オンラインとは違った運営のポイントがありますので、そのあたりを今回はまとめてみました。


1.考え方

ハイブリッド開催を考える前に、いちどリアル開催とオンライン開催に必要なものを思い出してみましょう。
一般的な、一人の講師が複数の参加者に対して話す形のセミナーをイメージします。

リアル開催では、[発表用PC]と[プロジェクター&スクリーン]があれば大丈夫です。後はもし大きな会場であればマイクセットを追加するくらいでしょう。
対して、オンライン開催は[発表用PC(Zoomなどオンライン会議用アプリ含む)][WEBカメラ&マイク][通信回線]があれば成立します。

ハイブリッド開催はこれらを合体させた形になるのですが、リアルとオンラインを交混ぜて行うことが運営のネックになります。
では開催のパターンを具体的に見ていきましょう。


2.パターンA ~一番シンプルな場合~

まずは一番シンプルなやり方。
講師の発表用PCをZoomにつなぎ、発表、スライド画面共有、オンライン参加者の入退室管理や質問対応までを1人で行うケースです。

この場合、機材は[PC]1台と[WEBカメラ&マイク][通信回線]、それにリアル会場用の[プロジェクター&スクリーン]があれば最低限カバーすることができます。
講師自身が主催者として行う、小規模のセミナーならばこれでなんとかなるでしょう。

【パターンAに必要な機材・人材】
 ・講師 ×1名
 ・PC ×1台(講師用+スライド画面共有用+運営用)
 ・WEBカメラ&マイク ×1セット ※PC内蔵でもOK
 ・プロジェクター&スクリーン ×1セット
 ・通信回線 ×1回線


3.パターンB ~発表と運営を分ける場合~

パターンBは、発表と参加者の管理の役割を分けるやり方です。
発表と画面共有はやはり講師用PCで行いますが、オンライン参加者の入退室管理・質問対応などを運営担当者が別途行うようにします。

そうしておくと、講師は参加者対応に気をとられることなく発表に集中することができますし、何か運営上の問題が起こった時も運営担当者が対応にあたるので、セミナーの進行を妨げずに済みます。

パターンBでは、パターンAに加えて[運営担当者用のPC]と[通信回線]、それに[担当者1名]が必要になります。

【パターンBに必要な機材・人材】
 ・講師 ×1名
 ・運営担当者 ×1名
 ・PC ×2台(講師用+スライド画面共有用、運営用)
 ・WEBカメラ&マイク ×1台
 ・プロジェクター&スクリーン ×1セット
 ・通信回線 ×2回線


4.パターンC ~さらに臨場感を高めたい場合~

パターンBに、さらに撮影専用の機材を加えたのがパターンCです。

リアル会場での講師は、発表しながら動き回ったり身振り手振りを使うことも多いので、講師用PCの固定カメラだけだと姿をとらえるにはどうも力不足になります。
そこをカバーするために撮影専用の機材を投入します。

撮影用機材としては、PCよりも[スマホ]の方がおすすめです。スマホにはカメラとマイク、通信回線までもまとまっているうえに、小さくて動かしやすいので講師の姿や会場の様子を映すにはもってこいの機材です。

講師の姿はスマホカメラで、スライド画面は講師用PCでそれぞれに映すことで、オンライン参加者は講演の臨場感をより強く感じることができます。
また、リアル会場の参加者からの質問の時に撮影用カメラで質問者を映すと、オンライン参加者もその様子を見ることができます。

【パターンCに必要な機材・人材]
 ・講師 ×1名
 ・運営担当者 ×1名
 ・カメラマン ×1名
 ・PC ×2台(講師用+スライド画面共有用、運営用)
 ・スマートフォン ×1台(撮影用)
 ・WEBカメラ&マイク ×1台
 ・プロジェクター&スクリーン ×1セット
 ・通信回線 ×3回線(うち1つは撮影用スマホ)

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5.パターンD ~講師用PCで通信しない場合~

ここまでは、講師用のPCでZoomに接続できる前提で話していましたが、講師、特にゲストとしてお招きした方にZoom操作や通信回線などの負担をかけられないケースももちろんあります。その際の対応がパターンDです。

このやり方ではスライドの画面共有を、講師PCではなく運営担当者用PCで行います。パターンB・Cからの変更であれば、機材の追加は必要ありません。

あらかじめ発表用のPowerpoint等データを運営担当者のPCにも入れておき、講師のスライド進行に合わせて運営担当者が手動でスライドを進め、それをオンライン参加者に画面共有します。

(手動のため)講師スライドとの多少のタイムラグが生じることや、運営担当者の仕事が増えることなどの問題はありますが、講師に負担かけず、かつ、講師用PC分の通信回線を減らせるメリットはあります。
※もし運営担当者が手一杯な場合には、スライド共有担当者(PC+通信回線+人)を設けてもいいでしょう。


以上、今回はハイブリッド開催の前編としてを4つの運営パターンをご説明しました。

考え方のポイントは、発表/スライド共有/撮影/運営というセミナー開催の4つの要素を機材・人員にどのように割り振るかということです。
以下のように整理するとわかりやすいかもしれません。

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今回はここまで。
後編では、セミナーの中の「ワーク」についてのお話と、より運営がよりやりやすくなる機材の紹介をしたいと思います。どうぞお楽しみに↓。


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