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診断士二次試験と実務とのつながりの例

中小企業診断士の二次試験まであと1か月ほど。

以前にこのブログでも何度か投稿がありましたが、二次試験といえば単にテストというだけでなく、試験勉強をしているなかで得られる、合格後の診断士活動にもつながる要素があります。

☆以前の記事はこちら

今回はそんな中でも、補助金申請支援業務との繋がりについてお話しします。

補助金申請の支援は、独立・企業内を問わず、関わっている診断士が多い仕事で、「事業再構築補助金」「持続化補助金」など、耳にすることもよくあるかと思います。
補助金を申請したい経営者の相談相手となり、新しい事業を組み立てるためのアドバイスや、申請書類のチェックなどを行います。

これらの仕事には実は診断士二次試験と繋がるような部分があり、今回は「ものづくり補助金」を例にそれらを説明します。

1,申請書類の「事業計画書」

「ものづくり補助金」は、中小企業が経営革新のための設備投資等に使える補助金で、要綱に沿った申請書を提出し、採択されることで最大1000万円(一般型の場合)の支給を国から受けることができます。

それら申請書の中でも採択/不採択のポイントとなる重要な書類が、申請事業の具体的取組を記した「事業計画書」です。

「事業計画書」は3つのパートから構成されています。

 【その1】補助事業の具体的取組内容
 【その2】将来の展望
 【その3】会社全体の事業計画

各パートのタイトルだけ見ると、どのような内容を書くべきか少し悩みますが、下図のように、2次試験の4つの事例科目に対応させてみるとわかりやすくなります。

もの補助と二次試験の対応


【その1】の前半では、自社の紹介とともに、おかれてる環境や強みから、補助事業を行うに至る経緯を説明するパートで、[事例Ⅰ:組織・人事]に対応します。
後半は、補助事業の内容を記載するパートで、新商品(orサービス)または新生産(or提供)方式を説明する際に[[事例Ⅲ:生産・技術]の視点を使います。

同じく【その2:将来の展望】では[事例Ⅱ:マーケ・流通]の考え方を使い、【その3:会社全体の事業計画】では[事例Ⅳ:財務・会計]の知識から、事業の実現性や投資効果を説明します。

もちろん実際の事業計画書は、試験問題ほどシンプルではなく、試験対策の型通りに作れるものではありませんが、二次試験の4つ事例は、事業計画書を作るための柱になる要素だとわかります。

2.成果物から逆算して材料を集める

二次試験では、与件文に記載されている企業の情報から、設問にあったワードを選んで文章に展開しますが、補助金の事業計画書でも同様の流れで文章を構成していきます。

実務では与件文のような材料がはじめから揃っているわけではなく、申請企業の企業情報や財務諸表、経営者との相談・ヒアリングを通して、事業計画を組み立てるための材料を揃えていく必要がありますが、二次試験でも事業計画書でも、成果物から逆算し必要な情報を集めていくという点は共通した考え方です。

また、必要な情報を集める過程で、事業自体に欠けているポイントや、注力すべき部分などに気付くこともあります。事業計画を作るための思考のルートとして、この考え方は有効です。


3.ポイントを絞ってシャープな文章にする

診断士二次試験では、採点担当者に分かりやすいよう、正解として求められているキーワードをしっかりと入れ込み、かつ、読みやすい回答文にする必要があります。
なお回答文字数には上限もあり、余分な言葉を入れる余裕はありません。

補助金の事業計画書にも「A4用紙・10ページ程度」という制限があります。また同時期にたくさんの審査を行うため、審査員が1つの申請書を確認する時間も限られてきます。
そうするとやはり、一定の文章量の範囲で審査員がスムーズに理解できるような、ポイントを絞ったシャープな文章にしなければいけません。

二次試験で身につけた文章の書き方は、このように補助金申請の実務でも使える武器としても生きてきます。

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ハードな受験生活の中では時たま「試験勉強は実務には関係ないんだろうな…」なんて思ったりもしますが、診断士活動をはじめてみると意外に「繋がっていた…!」と気づくことがあります。

受験中の方はぜひ「今勉強していることも将来役に立つかも!」と考えてみて、ラストスパートどうか頑張ってください。

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