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【妖怪百科】玉藻前

 玉藻御前。日本の妖怪の中でも悪名の高い妖怪だ。絶世の美女に化け特に権力者を誘惑し知性を乱す。中国の殷における妲妃、インドにおける華陽夫人として、残虐の限りを尽くしたらしい。その後、日本にわたり玉藻前を名乗り鳥羽天皇に取り入る。
 陰陽師、安倍泰成に暴かれ滅せられるも、殺傷石となり毒気を撒き散らす。殺傷石は玄翁和尚が破壊し全国へ飛散したと言う。破壊というよりも拡散させ妖力を弱め、人への影響を最大限減らす作戦か。しかしながら、私個人としては今もなお殺傷石は残り毒(硫黄ガス)を撒き散らしているという説を支持したい。

 水の底に揺れる玉のように美しい水草(藻)。さぞや色白のお方だったのだろう。悪女系の話は何かと人気だが、世にいる悪女に比べると石になってまで呪い続けるあたりの執念深さが凄まじい。まぁ、悪女というか狐なわけだが。目的もよくわからないところを考えるに、純粋な悪。そうなると神に割と近い存在に思えてくる。神、妖怪、なんて区分は時代と共に移ろうものだし、人の思う善悪なんてものの理由や目的づけなんかも怪しいものだ。明確な事実は、時代が移り変わっても玉藻前の物語は比較的愛されるという事実。

お面顔22

 そういえば、先月約5年ぶりに清水寺に参拝したのだが、土産物屋に多くの狐面が売られているのに気がついた。昔からあっただろうか? それとも稲荷信仰が水面下で広がっているのだろうか? 横に天狗の面が合わせて売られていないのはなぜだろうか? こんなプラスティック性の量産型の面を京都土産として買って飾るのか? さまざまな疑問は浮かべど、調べたところで気持ちのいい答えが期待できるでもなくそのままこの疑問は捨て置く。

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 今回のムービーは玉藻前の耽美な部分と恐ろしい部分を共存させたかった。かなりフリーなピアノと篠笛で合わせてみた(いつもフリーだが)。尺八も使いたかったものの、狐の声を考えると自ずと篠笛を手に取った次第。是非みていただきたい。


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