太陽の名
その対象は まだ知り得ぬ名を 宿していた
祈ること 呪うこと もうそんな年齢ではない
水と書く
その名も遠く離れていく
水であったことがあるものなど 私は見たことがない
名も知らず 振る舞いに加担する
失望 と呼ぶにはあまりにも軽薄な
昼に 素麺を啜り 山葵を噛み
名は忘却されることでそのものの姿をうつす
それでも誰かの名を呼びたいと思い
誰かに名を呼ばれようとする
真摯に 何かを凝視できるほど
私は独立したものではないから
庭先のバジルが今日も葉を広げ
誰も知らない言葉で 太陽と呼ばれるものの 本当の名を告げる