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ディアドクターと地域医療のホンモノとニセモノ

 ということで夕方から時間をつくりディア・ドクター鑑賞。2009年、もう12年前の作品。実は、西川美和監督が助監督を務めていた是枝裕和監督作品にちょっとかかわっていたことから、最初の企画段階で少しだけ相談にのっていたこともあって公開後にDVDを買って一回見たきり(当時は忙しくて映画館に行く暇もなかった…)だったので、12年ぶり2回目の鑑賞。連れ合いは見てなかったのでいつか一緒に観ようといいつつ12年が過ぎたことになる。

今見るとみんなやっぱり若い。そして12年たつといろいろ世間も変わるんだな。松重豊はこのあとゴローさんになるから、ものを食べてないのはかえって新鮮。それから診療はたしかちょっと古めに、ってわざと小道具とかはそろえてもらうようにしたはずなんだけど、それでも舌圧子がディスポじゃなかったりとか。お薬手帳もってないとか。

 若い研修医の白衣がスクラブじゃなかったりとか。調べものを本でしていたりとか。携帯もないし。まあ、それはともかく、西川作品には共通の「何がほんとなのか」いうテーマ。みんな嘘だとわかっていながらそれに乗りつつ共通の幸せを探すということ。そう。嘘っていってはいけないけど、ほんとではないんだよね。いいお医者さんとか、わるいお医者さんとか、まあ世の中にはいるけどたいていはその中間、よくもわるくもないお医者さんが多い。でも、それでいいのだ。実際瑛太演じる本物の研修医はそんな「にせもの」と自分でいっている医師をみて、地域医療を目指すことを暗示しているのだ。

 この映画には自治医大の先生たちが協力しているので、もちろんある程度の誇張はあるにせよ地域医療の風景はかなりリアルに作られている。でもそれでもまあにせものである。じゃあ、自分のやってきた地域医療がほんものか?と言われると自信はない。以前、僕のところにスーパー地域医療みたいな本を作りたいから監修してくれといってきた編集者がいて、「僕にはできないので」といってとある本当にスーパーな地域医療の医師を紹介したことがあった。やっぱりその人は本物だったので、今やあちこちでひっぱりだこになっている。翻って自分は、、、というと何もない。少なくとも秋季生涯教育セミナー的な文脈では。

 ということでますます泥沼にはまってきた。いったいどうなるんだ?まあまだ時間はあるので、コツコツ周辺を探りながら進んでいくことにする。まずはプライマリに帰ってみる。

 東京の新規感染者数が3000人を越えてきた。いよいよだ。

(泥沼にはまりつつもまだまだ続きます)

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