建築壁面「削りレンガタイル」記録2、
湿式のレンガタイルは、見本焼きの生産納期が約2ヶ月間ほど掛かってしまう。工場の工程時期や依頼したタイプによって40日程度に短縮して出来上がる場合もあるが、全国からのたくさんの依頼待ちがあり、工程順番待ちとなる。
「記録1、」で対応したように、設計者の依頼があって見本焼きに進むまで、時間を有効に使用する事が重要だ。
過去の試作品や保管見本などを利用して仮の試作品を先に作り、より見本焼き前の設計者の要望を細かく引き出す作業が大事になってくる。
目地の細さ
目地の色
目地の質感(骨材の種類)
磨いたタイル面と目地との段差への考え方(詰め方・工程)
貼りパターン(レンガ・通し・乱張り等々)
タイルの寸法・幅(プロポーションの設定)
タイルの凹凸、傷加工可否(面状の決定)
タイル色彩の窯変度(酸化・還元確認)
タイル骨材の種類
タイル
遠方からみての壁面としての濃度
風化表現のジルコニット釉の使用、不使用
タイル削り表情決め
他
前もって、たくさんのチェック事項を設計者と共通認識として確認することで、貴重な見本焼き納期期間を無駄にしないで待つことが可能となるのだ。
私は、特注レンガタイルの制作において、タイルは工場がつくるものでは無いと思っている。
設計者から担当する私達プロデューサーが、すでに自ら完成形のイメージを脳裏に具体的に持って挑まなければならない。
陶工に、製作上の通訳を細かく具体的技法として伝え、自らも気づかない技法を陶工からの絞り出しを願わねばならない。
そして、良いものが出来上がってくる。
見本焼き形状は、2種依頼した。
75x300 ロット各種
なかなかの希望した出来!
とりあえず、削ってみよう。↓
目地を詰めてさらにどんな雰囲気が現れるか楽しみ。
ミニモックアップとしては、初回でなかなか良い雰囲気のたたき台が出来上がったと思う。
削り残し部分がおわかりかと思いますが、どの程度タイルの削り具合を残して全体の雰囲気を出していくのか、かなり個人差のある判断の為、今後設計者と感覚的な調整をしていかねば、削り職人に伝えることも出来ないと感じた。
目地材の色も、最終的にタイル全体の表層に強く影響してくるので、削り前の色と削り後の色が違ってくることも考え判断を求めていかなくてはならない。たいへん、決め手となるポイントであると認識した。
見本を完了して感じたことは、
設計者の選択するこの渋めの質感は、「なるほど、ありだなあー」「さすがのセンスだなあ」と感じるばかりである。
打ち放しコンクリート面や杉板本実型枠コンクリートの壁を建築家が多く利用している、この感覚・感性に、頷かずにはいられなかった。
レンガタイルの今後の表現法において、大変感化される質感である。
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