たえず寄り添って、心地良い決断をしていただく
某アトリエ建築設計事務所の所長から、ご相談のお電話を賜り、お伺いさせていただきました。
事務所兼用住宅で外壁のプランは「レンガタイル」仕様を検討しているとの事。
オーナーは、レンガの建築が大好きな女性オーナーでした。
どんな事ができて、どのような流れで施工計画まで至るのか、ご質問に対しお答えし、次回オーナー様にお会いさせていただくこととなりました。
オーナーが街中で気になっている、外壁のイメージを先に取材してきました。
私の前準備は、それぞれの現場イメージからどの部分を抽出して気になられたのか、各々のヒントをもとに考えます。次回、実際のレンガピースを利用しながら、様々な側面からご質問と解説を行ないます。
この、たくさんのヒントとなるデータを集める作業を、スタート時点の重要な過程と考えています。
専門用語を使えないので、オーナーが、色・形状・面状・雰囲気など、各々の街中の外壁から、どの部分を目視で拾っていらっしゃるかをプロとしてまとめてあげなければなりません。
過去の見本を並べて、つくり手の立場からそれぞれ可能な表現をご説明します。どの傾向が本来探していらっしゃるイメージなのか、今まで以上の細かなデータを蓄積し、今後検討していただく流れになって行きます。
やや時が経ち
その後、ご連絡がありました。
施主様から、この住所の施工事例を見てきてくださいとの事。
商業飲食区域の外壁、3箇所に各々のレンガが貼られていました。
さて?困った。これは、アドヴァンの輸入品レンガでスライスレンガです。
今までのご説明の流れから、ある意味、雰囲気がまるで違うのでどの部分を惹きつけられたのか、ほんとうにこの見た目なのか?
私の脳裏にたくさんの質問内容が羅列され、次回の打ち合わせへと進みます。
私達専門家は、ズバリそのものとして、実物感でレンガのピースをとらえてしまいますので、施主様の部分的な情報を正確に確認しておかないと、そのもの同一品にこだわり、希望していないものに時間を要してしまう場合があるのです。
その後、電話が入りました。
オーナーが車で通りすがりに見つけた住宅を見てきてくださいと、、。
私はすぐに確認しに行きました。
個人邸だったので、遠方から携帯で自撮り。
あれ? この住宅の外壁は、二次セメント商品の疑似ブリックタイルでした。素材自体は、誰しも瞬間に判別できないものもありますが、今回の流れからして、「なるほど、このような窯変(焼成窯の製作上のムラ)」でも選択可能な範囲なのだな、、、。ということが、データとしてさらに入力されました。
さて、どの色差の範疇に落ち着くかが、今後の課題、、、。
時は流れ、、、。
設計事務所の所長と施主様との打ち合わせも進み、今までの経過を背景に、現場の前で実際に、見本を製造する方向性を決定する段取りとなりました。
現場で、選んでいただきましたが、一般的に目地幅が太い仕上がりには、馴染みが無い方々が多いです。施主様も太目地(14mm)の程度が本当に失敗しないのか不安を感じていらっしゃるようでした。
そこで、私からのご提案は、もっと大きな壁のイメージをつかむ為に、代官山の太目地施工現場に見本を持ち込んで「心から納得できるように」しませんかとお伝えし、下記の画像場所へ行きました。
ここで、スケール感のみならす、ご提案のブリック目地の色の濃さもチェックできてしまうわけです。
東京には、たくさん参考となる場所があるので、特に個人のお客様には、迷いや心配している細かな事含めて、払拭してさしあげる事が絶対に必要です。
設計事務所様のおかげで、施主様もご紹介いただき、直接製作の質疑をさせていただきました事は、施主様の顧客満足度にとって理想的なかたちです。
特に、この現場では、責任施工でオーナー様のご要望を直接伺え⇒試作し⇒確認チェックし⇒ご意見いただき⇒生産荷口確認⇒施工経過確認⇒竣工までフォローするという理想形でしたので、直接オーナー様のお喜びまで感ずることができたのは、ほんとうにやりがいのある仕事でした。
いざ、外壁を選択する立場になると、以前とは頭の中の検索エンジンが、知識や思考の整理によってどんどん「本当に気に入ったもの」を選別し始めます。
初期に考えていたことが、まったく別の方向に進むこともあり、途中で迷いのまま、現場の進行に任せてしまったりしてしまうと、後々の後悔につながってしまうのは、絶対注意しなければならないことです。
この施主様の心理が、今までの経験で強く理解している以上、丁寧にお供したいものです。