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出張先にて

2020年 8月 27日
 歩かないせいか肥えてきたような気がする。一応毎日三食とっている。間食などはほとんどしていない。歩く量が確実に減ってはいるが、それなりに歩いてはいる。しかし汗をかくことはほとんどない。ホテルの部屋には体重計がないので毎日の体重の変化がわからない。ただ確実に言えるのは、この生活をずっと続けていれば体重は増えていく一方だろうということだ。次の土日には汗をかくくらいのウォーキングをしたいと思うが、このあたりの地理に詳しくない僕がどこまで遠くまで歩くことができるだろうか。
 昼ご飯、三六〇円。小袋に四一〇円を入れたのでおつりが五〇円返ってくる。そのおつりを返しにきてくれる担当者が決まっているようで、いつも女性がおつりを持ってきてくれる。
「モグラヅカ主任」と呼ばれて僕は女性の声がするほうに振り向く。それにしても「主任」と呼ばれるのは慣れないのでおかしな感じがする。おつりを持ってきてくれる女性の名前は何というのだろうと、女性の胸のあたりに付いている名札をのぞきこんだ。でもすぐに忘れてしまった。川本、だったような気がする。どうして僕の名前と顔を知っているのだろう。誰かに教えてもらったに違いないだろうが。
 いつもは昼休みが終わった直後くらいにおつりを持ってきてくれるのだが、どういうわけだか今日は昼ご飯を食べている最中におつりを持ってきた。僕は読書をしながらご飯を食べていた。女性に呼ばれて慌てて本をひっくり返してテーブルの上に置き、おつりを受け取った。上品な感じの良い女性だ。少々歳はとっているが。だとしても結構僕と同じくらいの歳かもしれない。こんな女性と楽しく会話できれば良いなあと思う。若い女性じゃなくていい。大人の会話の中に少々アホな話を混ぜながら。
 昼休みの仕事部屋は照明が落とされているため暗い。読書をするには不都合だ。昼休みにはデスクにうつ伏せで寝ている人が結構いる。僕は寝るのもどうかと思い、何をするかといえば仕事をしてしまっている。退屈なのだ。だから今日から明るい食堂で読書をすることにした。昨日入手した村上春樹「東京奇譚集」の続きを読んだ。その本もすでに半分ほど読み進めてしまったので、明日の仕事終わりにでも新しい本を入手しなければならない。
 きょうも物語を考えようとするが何も浮かばない。加熱式たばこだと臭いがないのでそればかり吸っている。そして吸いすぎる。noteに何か載せるような創作はできないものか。創作は難しい。音楽なら簡単なものであるならすぐにできるのに。ささくれができた。左手の人差し指に。何か書けないかとタイプライターの電源を何度も入れたり切ったり繰り返している。

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