挑戦(ZWEIGEN HEROZ連載コラム)
このコラムを書く仕事を「私に任せたい」と広報担当から聞いた時、非常に嬉しかった。
なぜなら、また新たな自分の一面を知る事ができると思ったからだ。
文章を書く事は小さい頃から得意ではなかった。
小学生の時の読書感想文は本当に苦手で夏休みの宿題の中でも最後まで残していた。
そんな私が「あれ、文章書くの苦手じゃなくなってる」と思える瞬間があった。
それは私がSC相模原に選手として所属していた2018年にクラブの業務を手伝っていた時の事。
当時、選手をしながらクラブ運営について知りたくて色々な業務を手伝わせてもらっていた。
その中の一つにファンクラブ向けメルマガの一コマにあらかじめ頂いた質問に私独自の目線で答えるというものだった。
文章を書く事を苦手と思っていた私は「大丈夫かな」と思いながらも「とにかく挑戦してみよう」と思い業務を引き受けた。
時間はかかったと思うが、なんとか質問に対する文章を書き終えた。
もちろん、綺麗にまとまった文章ではなかったと思う。
ただ、自分の考えを文字に起こす事でその事柄に対して理解が深まる事、自分の想いが文字を通じて周りの人に伝えられる事が少し楽しく思えた。
今まで苦手と思っていた文章を書く事が苦手ではなくなった瞬間だった。
現役時代は様々な経験をした。
とんでもないミスをした次の試合ではサッカーをする事が怖く、逃げ出したくなる事もあった。
いくらコンディションが良くても試合に使ってもらえない事もあった。
それでも自分の現状と向き合い、ライバルや自分自身に挑み続けた先にはまた新たな自分を見つけることができた。
この経験は現役を引退してからかなり活きている。
現在、クラブアンバサダーを務めている私は現役時代より人前で話す機会が圧倒的に多くなった。
私自身、すごく人見知りで人前で話す事は大の苦手。
初めて中学校へ職業講話に行った時は試合よりも緊張した。
最近ではplatcast (スタジアム内裏実況)やZWEIGEN NOW(自社制作配信YouTube番組)でサッカー解説の仕事もしている。
職業講和では生徒の純粋な心に触れられる事や自分の経験を話す事で生徒の将来に役立つ喜びを、サッカー解説ではプレーする選手の心情を理解しながらも俯瞰的にプレーを観て聞き手に分かりやすく言語化する楽しさを。
決して上手く話せているとは言えないが、人前で話す事を苦手と思い込んでいた私は、いざ挑戦してみるとなんだか楽しくなってきた。また新たな自分の一面の発見であった。
私には妻と4歳の娘、1歳の息子がいる。
話が分かる様になった娘には「やらずに出来ないはダメ。まずやってみよう」と常に言っている。
その甲斐あってか最近では、「あきらめないことが大事」と果敢に公園の遊具に挑む娘、来春からある資格を取る為に学校に通う予定の妻。
クラブ理念『挑戦をこの街の伝統に』を体現する家族に私はいつも刺激をもらっている。