任売
不良債権処理をやっていると、競売と同じく隣り合わせになるのが、任売(にんばい)だ。
複雑な債権債務の関係があり、権利関係が複雑、かつ調整が難航するようであれば競売。
反面、債権債務が明確であり、売却金額が合意できて債務の回収が可能であれば任売。
こんなイメージで対応していた。
ある破綻間際の企業があった。土木業者ではあったがバブルで急成長。豪華な4階建ての社屋を建てていた。
バブルは弾け飛び、残ったのは収益に合わない過剰な債務。再生に着手するも下降のトレンドのスピードに対してまるっきり時間が無かった。
2代目が決意し、社屋を相応の金額で売却することとなった。
購入者はぼくが用意した。
金額は、〇千万円。
合意した。
しかし、売買には問題があった。
①先代が社屋1階を中古車販売店に賃貸。
②月末に支払手形〇千万円が回ってくる。
③税金の滞納により、いつ税務署からの不動産の差押が飛んでくるかわからない。
①は間違いなくカタギではない方々。先代が不動産競売の阻止を考えたのではないかと。
②は建物の売却代金の一部を充当しなければ手形を落とせない。→不渡りとなれば当社の小切手を持つ街金が交換所へ持ち込み、2回目の不渡りが起こりうる。結果的に当社は取引停止処分となる。
③は不動産への差押が飛んでくれば所有権の移転は出来ず、任売は成立しない。
相当なハードル💦
失敗はできない。
当時、33歳。
いつも、何でこんな辛い事をやってんだろ?と思っていた…。
①間違いなくカタギでは無いおじさん(占有屋?)
②手形の不渡り
③税務署…。
ある意味最強の敵が揃ってしまった!
しかし、時間はない!
[つづく]
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?