不動産競売2
平成10年から20年ぐらいまでかな?
企業の破綻、不動産競売となると必ず強面のおじさん達が暗躍してきた。
3点セットの資料の中には、必ず執行官が写すモノがある。今もそうかもしれないが、仏壇が有れば必ずその写真を付ける。
ある物件(居宅)を整理した時だった。
今のようにインターネットで日本全国から入札できるようなシステムではなかったため、取得の意向があるお客様へ持ち込み、落札出来るように広報していた。
もちろん、1円でも高く入札する方が権利を得られるため、より多くの方に周知させるのが大事な仕事だった。
結果、取引先が応札した。
取得後、建物内の残存物を業者が撤去し、建物をリフォームしていた。
その時、だいぶ身なりの良からぬおじさんがきたらしい。
「誰が所有者や?」
慌てた業者さんが、施主である落札者に連絡してきた。
おじさんのお申し出の内容は
「オジキの位牌はどこや」と。
「オジキの位牌?そんなもん、知らんわ。片した。」
と伝えたると、逆上し、「どないしてくれるんだ!」となったらしい。
位牌の再発行なんてありえないし、そんなのお坊さんにお願いしても無理。
「〇〇〇万ぐらいで落とし前を付けてやる」みたいな事を言われたようだ。
間違いなく、前所有者の属性から考えてもあり得ないが、そんな事がまかり通っていた時代でもあった。
3点セットで仏壇がある先をリスト化して因縁をつけていたんだろう。
ただし、ぼくらは不測の事態を想定し、競売でお客様が落とした後、不動産競売のスペシャリストである不動産屋のSさんが位牌をエスケープしてあった。
「これでいいな?」
Sさんが現場に向かい、輩さんに渡した。
「え?」と言いながら驚いた表情をしながらも、位牌を手に取った。
Sさんはすかさず、「待て。〇〇〇百万円請求するぐらい大切な物だろうと思っていたよ。良かったよ、いつか取りに来るだろうと思っていた。でもな、めっちゃ金の掛かる保管場所で保管してやっていたんだ。…まさか、ただで持っていくつもりじゃないだろうな?」
仲間と思われてはまずいと思い、ぼくはその場から潮が引くように消えた(笑)
不動産屋のSさんの自宅の物置にエスケープしてあったのは聞いていたが…。
そのあとのやりとりは一切知りません。
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