5歳児がゲーム大会で優勝するには
はじめに
この記事では子どもでもゲームが強くなれた理由を解説していきます。
今回初めてnoteで情報を発信しようと思い立ったのは、私の5歳の息子 ようたろう が、デジモンカードゲーム(以下デジカ)というトレーディングカードゲームの大会にて優勝するという偉業(私的には)を成し遂げてくれたからです!
動機は親馬鹿心に他なりません。
この辺りで嫌悪感を感じた方はご自身のためにも記事を閉じてくださいませ。
まず、彼がカードゲームの大会に出るに際して、私が教えたのは大きく分けて以下の3つです。
①戦略(メタゲーム)、②準備(デッキ構築)、③戦術(プレイング)
これらの3点は、ある程度の競技性を持つ他のゲームなどでも応用の効く、大会を勝ち抜くための基礎です。
ただ、私自身が大規模(100名以上)の競技から離れて7年以上経過しているため、古い方法や考え方などが多々あります。
そんなのもう知っているよ、という方もたくさんいらっしゃると思いますので、そういう方は読み飛ばされてください。
この3つの要点を子どもでも分かるように噛み砕いて教えたり、他の有識者にも手伝っていただきながら大会への準備を進めました。
以下からは①から順に詳しく説明していきたいと思います。
①戦略(メタゲーム)
メタゲームとは、簡単に説明すると“ゲーム開始前から始まっているゲームの駆け引き”のことです。
ピンとこない方はブラウザ検索にて上位に表示されるWikiなどを参考にされると良いかも知れません。
このメタゲームという概念を用いて5歳児でも勝利しうる戦略を練った、ということです。
そして、メタゲームを制するためには自分の持ち得る情報を整理しなければいけません。
ようたろう 自身やその他の有識者と意見を出し合って得た情報が以下となりました。
A:2020年9月27日“Gameスペース&Cafe ドラグーン 博多”で最大48名開催
B:予選と決勝まで含めると当日最大10試合行われる
C:ようたろう は4回開催された予選大会を勝ち抜き、シード選手となっている
D:5歳児の集中力で繊細な戦術や、長期戦を見据えたカードでは大人に勝てない
この他にも細かく注意しなければいけない点はありますが、以上の情報を最重要視しました。
まず、A から言えることは、2020年9月中旬ごろに開催されているテイマーバトルの結果から様々なデッキタイプが大会に参加してくる、ということが分かります。
ただ、テイマーバトルでも優勝報告の少ない黒とアルフォースなどのデッキは、この時点で使用と対面する際の選択肢から外すことができました。
しかし、9月に行われる48名の大会というだけでは戦略は決定することはできませんでしたので、次の情報に移ります。
次に、Bから考えられることは、勝利するためには相当な試合回数をより良い成績で勝ち抜いたプレイヤー相手に勝たないといけない、ということです。
当たり前の事にも聞こえますが、要するに、かなり安定度の高いデッキや、カードが対戦相手となる可能性が高いのです。
この時点での安定度の高いデッキは青単オメガモン(以下、青Ω)、次いで赤Ω、黄色単シャイン(シャイン)という意見でまとまりました。
具体的な比率予想では【青Ω5:赤Ω2:シャイン2:その他1】として想定していました。
さらに、Cの条件によって彼は他のプレイヤーより試合回数を抑えることができるので、自身のデッキ選択において安定性や精密性をある程度は度外視できます。
最後に、彼が使うデッキやカードを決めなければいけませんが、Dの情報が前提にあるため、青Ωやシャイン等のデッキは使用を見送り、赤Ωデッキを使用するに至りました。
以上の情報を用いて分かりやすく、
「今度の大会は長くて大人数の大会だし、青Ωに、赤Ωとかシャインとか強いデッキを使う人が多そうだよ。ようちゃんはどんなデッキを使いたい?」
という感じ(大雑把)で本人に伝えました。
彼も少し悩んでいたようで、青Ωやシャインなど他のデッキを大会前に練習試合などで使用していました。
しかし、長い間愛用し他大会での優勝経験もあるためか、赤Ωを選択することになりました。
②準備(デッキ構築)
①の戦略が決まったところで、次は準備(デッキ構築)の段階です。
まずはデッキ全体の構成からお話ししていきます。
あまり他の大会では使われていないカードもありますが、殆どの構成はテンプレート通りです。
このデッキのコンセプトは2点あります。
まずは、Lv5の段階で攻撃を仕掛けれる場を作るという点です
デッキのリストを見た段階でお気づきの方もいらっしゃると思いますが、このシャイニング太郎式()赤単オメガモンデッキは此度の大会に特化し、オメガモンやLv6へと進化することをそこまで重要視しておりません。
なぜなら「青Ωが半数を占めるであろう」と、①の段階で結論づけているからです。
デジカをすでに経験してる方々にはお分かりだと思いますが、赤Ωが青Ω相手にオメガモンを先に進化させたとして勝てるのか?ということです。
この事に関しては後の“③戦術“の際にも追加で説明いたします。
そしてもう一つは、使用者である ようたろう が使いやすい、使いたいカードを出来るだけ採用する、ということです。
このデッキが完成した際に
「ようちゃんが好きなカードをできるだけ入れた“ハイスピード!ハイパワー!”なデッキだぞ!!」
と説明ところ大変満足している様子でした。
以下に簡単に各カードの採用(不採用)の理由を列挙していきます。
【Lv2】計5枚
・ギギモン:ピョコモンを抜いてコレ四枚のみにする案もありましたが、多少なりともロングゲームが発生すると見越してピョコモンと合わせて計五枚になりました。が、結果全ての試合で使い切らなかったのでギギモン四枚のみの構築でも良いかもしれません。
【Lv3】計16枚
・モノドラモン、STピヨモン:2コスト成長期は全力投入、このデッキでは2コストで登場できるカードはこの2種のみなので、1コスト返しなどのテンポ形成に最重要です
・BTピヨモン:通常の赤Ωでは不可能を可能にしたり、とにかく器用なカードですが、このデッキでは二枚。理由としてはコンセプトの違いです。コレ素出しして結局進化させたい盤面になるのであれば、ギルモンの方が生存率が高くなり、結局勝利に貢献するよね、ということです。勿論四積みも試しましたが、Lv5から相手を詰めに行くこのデッキでは全部ギルモンに変えていても良かったでしょう。
・ギルモン、STアグモン:ギルモンは五枚目以降のアグモンとして。
【Lv4】計12枚
・ダークティラノモン、コアドラモン:定番。ブロッカーラインをギギモンなどで超えるパワーなので場合によっては殴っても良いのは赤の特権です。
・STグレイモン:私と ようたろう が好きなカードでもあります。これを四枚投入する事で、早期にダブルアタックを仕掛け、さらにそのデジモンが生存する事によって大幅にテンポアドバンテージを手に入れることができます。ほぼ全ての試合でこのカード+Lv5によって勝っていると言っても過言ではありません。BTグレイモンも登場させる場合や、後述のヴァルケニックドラモンに進化するルートも考えると強いのですが、このカードほど勝負を決めることが少ないので採用していません。プロモグレイモンはセキュリティのパワーラインが低い環境なら強いのですが、想定する相手が青や黄色なので不採用です。
【Lv5】計9枚
・ラヴォガリータモン:赤の第二弾での最強カードです。軽く、強い、このカード無くしてこのデッキのコンセプトは成り立ちませんでした。似たようなコストを持つグラウンドラモンとは運用方法が天と地ほど違い、今回は採用を見送っています。グラウンドラモンは登場させ、LV6~Lv7までの潤滑油になる役目が一番輝きます。対してラヴォガリータモンはパワーを活かして殴りかかります。
・メタルティラノモン:前述のラヴォガリータモンでも説明したように、パワーの高さを買われて採用しています。グラウンドラモンの枠はこのカードなどに譲っている形です。パワーが高いと言う事は単純にセキュリティの強固さにも一役買いますし、10,000のパワーでアタックした場合、青Ω対面で仮定すると、5分の3程度の確率で生存する事となります。このパワーの高さはSTグレイモンなどと組み合わさる事でより勝利に近づくアドバンテージを得ることができます。
・スカルグレイモン:青Ω相手に登場させることは控えたいカードですが、Lv5として最低限のパワーを持ち、最終盤面を崩す可能性もある事から二枚採用です。
・SECメタルグレイモン:BTグレイモンを採用できないのでその代用としての側面が強いですが、最近の赤デッキでは殆ど採用されているヴォルケニックドラモンと特に相性のよいカードです。Lv5で殴ることは殆ど無く、進化元効果とセキュリティでのパワーを目当てに採用されています。上手く進化元でパワーを上げれていない状況でもこのカード一枚を経由することでパワーラインを過剰なほど引き上げます。ただ、コンセプトとは相性が良いとは言えず、一枚のみの採用です。
【Lv6】計7枚
・ホウオウモン:定番の四枚投入。語り尽くされていると思うので、以上。
・デュークモン:ようたろう イチ押しの一枚。役割は意図しないロングゲームになってしまった時のフィニッシャーです。コレとウォーグレイモンは環境に合わせて採用を微調整しています。対黄色や紫にはデュークモン、対青や赤にはウォーグレイモン、といった感じです。
・ヴォルケニックドラモン:本来なら三枚程度投入したいところですが、前述のデュークモンに譲る形で二枚採用。
【Lv7】計3枚
・オメガモン:Lv7と書いてオメガモンと読みます()。採用枚数は後述のガイアフォースとともに四枚ずつにするかどうかで前日まで悩みましたが、コンセプト的に必要性がそこまで高くないので三枚になりました。
【オプション】計3枚
・ガイアフォース:こちらもかなり試行を重ねたのですが、青Ω相手に不用意に手打ちしてしまうと負けてしまったり、事故による不快感をできる限り取り除く為に三枚になりました。私の中ではゲーム中に2回は使用したいカードは四枚、1回使えれば充分なカードは三枚、2ゲームに1回使えれば良いカードは二枚、まれに必要なカードや特定の相手への対策用のカードは一枚採用、というガイドラインを設けてあります。
③戦術(プレイング)
最後に、どうやって5歳の ようたろう に戦術を教えたのか、というところを説明していきたいと思います。
彼に教えたプレイングの注意点は以下の通りです
・できるだけ対戦相手には最小のコストしか渡さないようにする
・青Ω相手にコストを多く渡さない(オメガモンやガイアフォースは相手のオメガモンなどが倒せない場合のみ可)
・シャイン相手にはセキュリティ4枚まででアタックを止めて、のちに一気に仕留める
・盤面の状況を良く見て積極的に攻める、バトルで倒せるデジモンはできるだけ倒す
・絶望的な盤面になってしまっても、手札をコスト順などに整理して良く考える
こんな簡単なことだけ?と言われているのが目に浮かびそうですが、本当に憶えるよう徹底させたのは以上の事だけです。
最後に
どうやって教えたのか、などと大それた事を書き出してみましたが、カードゲームの戦術、所謂プレイングと言われるものは練習量によってのみ培われます。
身もふたもない話になってしまいますが、要するに練習するしかありません。
私が ようたろう に教えた上記の注意点も、当時彼より多くゲームをこなしていたからたまたま知っていただけです。
なので、彼にも沢山の練習が出来るような環境を作ってあげたいと考え、色々な事を試しました。
私や妻に勝利した場合はシールをプレゼントする事で勝敗を可視化したり、スマートフォンでのリモート対戦ができるようにセッティングしてあげたり等が成功例です。
結果、彼は親である僕よりたくさんのゲームをこなし、練習する事ができました。
それにより適切な戦術を身に付け、自らで考えて戦い、大人達に混じり、勝利することができるようになったのです。
子どもだろうと、大人であろうと勝負に勝つ為には、戦術を身に付ける練習や、その練習をする為の環境作り、トライアンドエラーを苦と思わない精神が必要です。
しかし、近道もあります。
先人達の知識を吸収する事で、戦略や戦術の習得までの時間を短縮できることができます。
この記事が、読んで戴いた皆様のゲームでの勝利への近道へとなったのなら幸いです。ここまで読んでいただきありがとうございました。
ようたろう は負けた試合では悔しくて泣いてしまうことも多く、同じ大会に参加している方々には不快に感じる方達もいらっしゃったと思います。
これは私の親としての教育が行き届いていない故に起きてしまっている状況です。大変申し訳ございませんでした。
そして、彼の成長を手助けしてくれたのは九州のデジモンカードプレイヤーの皆様の暖かい応援があったからに違いありません。
改めてこの場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございます。
シャイニング太郎
ようたろう歓喜のインペリアルドラモンのポーズを添えて