ラグビー選手だからできることー障がい児童支援活動
2020年に始まった『未来プロジェクト』セッションを起点として生まれた選手主体のプロジェクトが、今いくつか具体的な形となって進行している。そして、これまでのvalue活動の経験を通して感じた社会や地域に発生している課題解決のために、社会に対して何らかの貢献をしていく活動(Social Good Activities)として成果を生み出している。
今回は、本郷を中心として行われた『障がい児童支援オンライン交流会』の様子を紹介する。
シャイニングアークスの掲げる2つのV(VictoryとValue)を具現化するにあたって、特にそのValueの実現に向かって社会貢献活動に動き出したのが、SO 喜連航平・CTB 池田悠希・CTB 本郷泰司を中心として、リーダーがその都度変わるこのグループ『ASR’s(Athletes’ Social Responsibility)』である。
喜連は、特別支援児童のラグビー体験をきっかけに教育現場を見学し、現場のICT化の遅れを感じて、VR(Virtual Reality)を使って少しでもラグビーを身近なものにできればと想い企画。
本郷は、親が特別支援児童の先生をやっており、本人も大学時にゼミの研究で特別支援について学んだことを活かしたいと想い企画。
池田は、大学で教員免許を取得しており自分の将来にも繋げられるように、ラグビーを教育の一環で扱えるような体験や授業などを企画。
(喜連) 「3人がやろうとしていることの中で教育の分野が重なっていたので、一緒にやろうかということになりました。でも、それぞれやろうとしていることが少し違うので、各人は自分のプロジェクトではリーダーになって、他の二人が手助けするというやりかたにしました」
まず第一回目は、喜連が中心となって、市川市立新浜小学校かるがも学級児童を対象に、VR(Virtual Reality : 仮想現実)を用いてのラグビー体験を行った。
(喜連)
「事前に、僕らがラインアウトとかパスとかキックとかキャッチするところを360度カメラで撮影して、子どもたちがVR器具を付けて見られるようにしました。特別支援の子どもたちって障がいがあるので、僕らの投げたボールを捕る体験は難しい。だけどなんとかその子どもたちにもラグビーを視覚で無く体感してもらえるようにVRをまず見てもらうと、『ラグビーって、こんなことなんだ!』って少しわかってもらえるんです。
そのVR体験の後に、体育館でパスをやってもらったりすると、頭の中で『あー、あのプレーか』とわかっているので、それまでできなかったことができるようになっていきます。体育館とオンラインでつなげて質問を受けたりしながら、『次は絶対グラウンドに来てくださいねー!』って、オンラインで指切りもしました(笑)」
次は、10月ぐらいにもまたVR体験会を予定しているという。そしてコロナ禍が収まれば、リアルでも交流会をやっていきたいと考えている。
そして今回は本郷が中心となり、『NPO法人かぷあ』の子どもたちとアークス浦安パークの選手たちをオンラインで結び、障がい児童支援交流会を行った。本郷は、障がい児童に対して様々な体験を行い新たな刺激を獲得する機会を与えることで、自立支援や療育支援につながると考えた。またそこには、普段から制限がかかっている子どもたちに、ラグビーを通して少しでも貴重な体験をしてもらいたいという思いがあった。
(本郷) 「ラグビーを知ってもらうためにクイズを行ったり、『ラグッパ体操※』でいっしょに体を動かしたり、子どもたちが凄く楽しそうに参加してくれていました。ラグビーに関心を持ってもらういい機会になったと思います。みんなが楽しそうな顔をしていたので、個人的にも楽しかったし、やって良かったと思います」
※『ラグッパ体操』:ラグビーの動きとラグビー文化をもとに、ラグビー元日本代表の佐々木隆道氏が考案した体操エクササイズ。https://www.rugppa.com
(喜連)
「今回行った『かぷあ』の子どもたちに関しては、元々自分たちの活動の第一歩として、ボールをプレゼントすることから始まって、2回目もオリィ研究所の施策※でここの子供たちと関わるきっかけがあって、『久しぶり!』という感じで今回のオンライン交流会に繋げられたことは良かったと思います。
これから会を重ねて行くごとに顔なじみの子どもたちが増えていくと思いますし、そういうふうに回を重ねられたらいいなあと考えています。コロナ禍になってしまっても活動を止めないで、諦めずにオンライン交流会という取り組みで続けてきたことが、これからにつながっていくと思います」
※『オリィ研究所施策』:分身ロボットOriHime(オリヒメ)を用いて、ラグビー試合会場と「かぷあ」の子どもたちとをオンラインで結んだ。https://orylab.com/
次は池田が中心となり、コロナウィルス感染状況を考慮しながらになるが、できればアークス浦安パークのグラウンドを開放してラグビー普及教室を行う予定で、そこで3人全員のプロジェクトがひと廻りすることになる。
(池田)
「今回はコロナ禍の状況があるので、こういうオンラインでの交流会という形になりましたけど、なかなか直接会えない中で、子供たちの笑顔も見れましたし、一緒にクイズをやったり運動をやって、楽しい時間を共有できたことは良かったと思いますし、楽しかったです。
コロナ禍が収まってくれば、今回のような特別支援活動と並行して、今後は近隣の学生、東海大浦安とか明海大学のラグビー部選手たちにグラウンドをお貸しして、自分たちがスキルコーチをやって試合をしてもらい、その後に交流会や座談会という形で連携を深めていくことも予定しています」
ラグビー選手だからこそできること。勝ち負けだけで終わらないアスリートの在り方を、これからもシャイニングアークスの各選手一人ずつがそれぞれ考え続け、それをチームとしてとしてバックアップすることで、具体的な形で実行に移し持続していきます。今後の活動にもご注目下さい。