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友井川拓note 〜ラグビー以外〜 Vol.6 "その男、木下につき" 『様々な分野から学ぶ』について対談する。

今期アナリストとしてシャイニングアークスに加わった木下君(以下、しょっぴ*木下君のニックネーム)との対談を皆様に届けたいと思います。若くしてNECグリーンロケッツやサンウルブズ(スーパーラグビー)、ノースランド(マイター10)、ベイ・オブ・プレンティ(マイター10)で経験を積んだ彼に様々な分野から学ぶことの大切さや想いを語ってもらいます。

木下 倖一 (シャイニングアークス パフォーマンスアナリスト)
NEC → Sunwolves → Shining Arcs & Bay of Plenty Steamers (NZ)
慶應志木高校→慶應義塾大学経済学部→順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科


いや〜面白かった。笑
こんな見た目ですが25歳というギャップも含めて楽しんでもらえればと思ってます。

〜対談スタート〜

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自らの一歩で道を拓き、2人の恩師に出会う。

友井川:今日はよろしく。自分は様々な分野から学ぶということを大切にしていて、しょっぴ(木下のニックネーム)もそういうことをすごく大事にしていると感じて今回の対談を企画しました。
対談を通じて自分自身も学びたいと思っています。どういうことがキッカケで違う分野から学ぶということを大切にしてきたのかなど、今日はざっくばらんに話してもらえればと思っています。よろしく。

木下:こちらこそよろしくお願いします。

友井川:すごく不思議なんだけど、元々ラグビーをやっていてアナリストを目指したキッカケを教えて。人口としても少ないと思うし、何でアナリストの道を目指したのかなぁと...。

木下:高校時代(慶應義塾志木高等学校)にラグビーをやっていて、浦和高校が60年ぶり花園に行った時に負けた代なんですよ。引退してなんとなくモヤモヤしていたんですけど、選手として大学でやるには才能に限界を感じていました。そこでトレーナーになろうかなと思っていたけど、色んな条件で難しくて断念して...。でも、モヤモヤしたまま大学生活を1年過ごしていて、ぼんやりとラグビーで飯食えたらいいなと思ったのが大学1年の終わり頃でしたね。
でもトップリーガーにはなれないから、ラグビーに携わるなら3つの選択肢があると思ったんですよ。コーチになるかレフリーになるかアナリストになるかですね。3つの選択肢があったので、とりあえず3つやろうと思って、1番最初に目が出たのがアナリストだったんですよね。
 
友井川:その3つの中にアナリストがあるっていうのが、自分たちの時代だとあんまり発想がなかったと思う。その当時は進んでなかったのかもしれない。だからそのアナリストという3つ目の選択肢はすごく面白いと感じたな。アナリストを学んだのは??

木下:大学2年生から3年生に移る春休みにの時にNECグリーンロケッツ(以下、NEC)でアシスタントの募集がありました。僕は大学生の時にスポーツコード(分析ツール)とMACを自分で買ったんですよ。さすがに自腹で買うとスポーツコードの会社の人が気に留めていてくれて。笑
その人経由でNECが募集していると話があったのがキッカケです。

友井川:ぶっ飛んでるよね。笑

木下:そうですね。笑
そっから学んだ教訓は、学習機会にお金を払えない人はプロじゃないってことですね。それは今でも自分の中にあります。
 
友井川:学ぶ為に、成長する為に投資をするってことだよね。
 
木下:そして投資を回収することが大事ですよね。実際に回収出来たと思ってます。その時に1人目の師匠でラグビー分析の師匠である宮尾さん(現 日野レッドドルフィンズ アナリスト)に出会いました。NECで週3日アルバイトとして手伝いながら生活していましたね。
その後は就職活動が始まるわけですが、このままではアナリストとして何も成し遂げられていないな。やばいなと...。
で、そのタイミングでたまたまサンウルブズでアシスタントマネージャーの公募があって、そこに応募したのがサンウルブズと繋がるキッカケですね。
 
友井川:自分から応募したんだ。

木下:そうですね。上半期はサンウルブズで下半期にNECで仕事させてもらうような生活で、2年目からはフルタイムで仕事をさせていただけるようになりました。その時に宮尾さんがすごい自由にやらしてくれたんですよ。だからNECの最終年は僕がアナリスト業務をリードさせていただいてました。
チームのレビューやプレビュー、ミーティングも。そういう意味では宮尾さんの手の上で転がしてもらい育ててもらった感じですね。笑
だからすごい恩があります。

友井川: 任せてもらったのはいい経験だね。任せられる人ってそんなにいないじゃない。任せるといっても自分でやる方が簡単だから多くの人が口を挟みすぎる。でも任せてくれる上がいると成長する機会とスピードが圧倒的に違うからね。任せる側も成長できるし。

木下:そこで”自由と責任”の大切さを感じました。あの時与えていただけなければ今の自分はいないと思っています。今でも頭が上がらないですね。

友井川:そうだよね...。一番いい時期にいい人に出会えるって幸せだったね。

木下:これが仕事を振ってくれない上司とか、作業しかやらしてくれない上司だったら成長できなかったと思いますし、サンウルブズにも引っかからなかったと思ってます。サンウルブズが決まった理由もNECできちんとリード出来ていたという実績込みの採用だったんで。

友井川:本当にそういうことって繋がっていくよね。

木下:そして幸運にも同時期にサークルのOBでサントリーのザ・プレミアムモルツ初代ブランドマネージャーの松尾さんって方がいらっしゃって、マーケティングに精通していることもあって、「そもそも分析ってなんだ」ってことを教えを乞いに行きました。それをキッカケに今もお付き合いさせていただいています。その方が私の2人目の師匠です。NECで宮尾さんに育てていただいて、分析のなんたるやを松尾さんから学んだことが大きかったですね。
フレームワークの使い方や、そもそも社会人たるやとか。ラグビーの分析だけじゃなくて広義の意味での分析というものを教えてもらいました。

友井川:教えを乞うってすごい大切なことだよね。そして、自ら乞いに行くって当たり前のようでなかなか出来ないことだと自分は思っている。それこそスポーツコードを自腹で買いましたとか、その一歩目がすごいなと思う。その一歩を踏み出せるかって本当に大きな違いになるんだよね。
それがしょっぴのいいところだよね。それこそ、歳をとると頭を下げるのが難しくなってくる。学生のうちに師匠の2人に出会えたのはとても幸せなことだけど、自分から動き出したってことが一番肝になるところだよね。それは自分もすごく勉強になる、学びになるなぁと今の話を聞いて思ったな。今でも関係は続いてるの?

木下:今でも関係があります。お二人からの教えが血となり肉となってます。

友井川:ずっと続くといいね。それからのキャリアは?

自由と責任。

木下:それからはサンウルブズの活動がないときは、マイター10のノースランドやベイ・オブ・プレンティなどで経験を積ませてもらいました。
 
友井川:その4つのチームに大きな違いはあった??

木下:これは友井川さんの大事にしている言葉「サッカーしか知らない者は、サッカーすらも知りえなくなる」に共通するんですけど、チームの文化や価値って絶対的に決まるものじゃなくて、相対的に決まるものだなと思うんです。そういう意味ではニュージーランドに行って、よりサンウルブズのことやNECというチームがどういうチームなんだろうって思えるようになったんですよね。

友井川:他を知ることでね。それはポジティブなものもネガティブなものもだよね?それはすごくいい経験だね。

木下:同じニュージーランドでも全然違っていて、今でこそベイ・オブ・プレンティがなぜ優勝したかわかる気がします。

友井川:教えて。

木下:1つは、やっぱりちゃんとした計画があるってことに尽きますね。中長期の計画に基づいていたかどうかは大事です。もう1つは文化をどう造るかをちゃんと認識していたコーチがいたってことが大きいですね。自由と責任っていうものを非常に色濃く出していたのが印象的でした。
面白いのは、チームスーツが無いんですよ。ファンクション(ラグビーは試合後に相手チームとお酒を交わしながらエール交換をする風習がある。)の時も自分たちは大人なんだから常識の範囲内でお洒落を楽しめ、みたいな。笑

友井川:でもそこにちゃんと秩序はあるんだよね?

木下:そうですね。秩序はあります。そういう部分で自由を与えて責任を持たせるみたいな塩梅がとても上手でしたね。
 
友井川:すごいいい経験したね。当時は23歳だもんね。まだ25歳だもんねその顔で...笑
 
木下:ですね。笑

様々な分野から学ぶについて

友井川:ラグビーの中でも色んな経験をしていてそれはすごい価値だけど、ラグビー以外で学んだことがあれば教えて。例えば、他のスポーツやビジネス・哲学・思想など何でもいいんだけど、別の分野からの学びでラグビーやアナリストという仕事に活きたことってある?そもそもラグビーですらその一部かもしれないけど...。大事にしていることや大事にしなければと思うキッカケなんかがあれば教えて。

木下:もともと小学生の頃から本を読むのが好きで、椎名誠の『岳物語』から読書に嵌っていったんですけど。

友井川:笑。小学生で?

木下:自由に生きたいなって。笑
そ子から読書にのめり込んだんですけど、高校一年生の授業でソシュール(フェルディナン・ド・ソシュール:スイスの言語学者、言語哲学者)が出てきたんですよね。”構造主義”で有名な。
構造主義って、人間が世界をどう認知しているかっていう話で、人間は木を見て、木に対して木という言葉を与えるんじゃなくて、木があって地面があるから世界を分けて考えなければならない。っていう考え方です。
それで哲学ってものに興味が湧きましたね。
あとは本はもちろんですが、映画もすごい好きで観ていましたね。政治的なものもよく観ますし、フランス映画とかも好きですね。『異文化理解力』みたいなものにも繋がると思うんですけど、そういうものへの興味からニュージーランドって場所に繋がったのかなと思います。

話がまとまってないので、話を変えますが。笑
2014年くらいかなエディー・ジョーンズがジョセップ・グアルディオラ(当時バイエルンミュンヘン。以下、ペップ。)に会いに行ったという記事を見て、その時に戦術的ピリオダイゼーションって言葉が出てきてすごい面白いなと思って、そういう系の文献を読んでいました。そこで『要素還元主義』と『構造主義』って言葉が出てくるんですよね。世の中は要素で考えるのではなくて、構造主義的に全ては相対関係で決まるんだと。で、そこで自分の中で点と点が線になった感じがしましたね...。

友井川:それがNoteのマガジンの『点と線』につながるわけね 笑

木下:はい。笑
そもそもラグビーとはなんぞやってことで考えると、ラグビーだけ見てても絶対に定義・認知出来ないなって思ったんですよね。ラグビーを知るにはラグビー以外を知った方が早いんじゃないかって思ったんですよね。そこに気がついたのが2014年くらいですね。

友井川:はいはいはい。それは自分も同じ考え。ラグビーの新しい戦術を考える時にラグビーから学ぶものってあんまりなくて、それこそサッカーとかバスケットみたいなものからヒントをもらうことの方が大きいと思ってる。今、あるものっていう意味ではラグビーから学ぶ方が多いと思うんだけど、新しい発想みたいなものは違うスポーツからヒントを貰う方が多い気がするし、それは事実だと思ってる。
こういう話って面白いね〜。自分はラグビーマガジン買った事ないけど、『Footballista』定期購読してるし。笑

木下:僕も”FOOTBALLISTA LABO”に入ってます。笑

友井川:エディーさんとペップの記事を読んで、ペップもラグビーから学ぶことが多かったみたいなことも書いてあったね。後ろにしかパスを出せないのに、どう効率的に前に進むんだ?みたいなね。お互いに共通しないけど共通するものがあるんだなと考えるとすごく面白かったな。

木下:最近、新田さん(シャイニングアークス ハイパフォーマンスマネージャー)の影響で、フラン・ボッシュ(オランダ人 S&Cコーチ)についての本を読んだりしているんですけど、そこでも『要素還元主義』の話が出てくるんですよね。そういうことからもヨーロッパ的なトレーニングやトレーニングの思想、そもそもフットボールって何かを理解するには西洋哲学から入らないとダメなのかなぁと...。

友井川:その発想は面白いね。

木下:後は少し話が変わってくるんですけど、キリスト教圏の考え方を理解するのはすごい重要だなと。キリスト教圏の考え方と西洋哲学は切っても切り離せないなと。そう意味では、実はラグビーにとって一番大事な書物は聖書なんじゃないかって...。

友井川:聖書かぁ...。自分は聖書については全くわからないけど、選手を本質的に理解するってうえでは必要なのかもね。結局は”人”だもんね。宗教は文化の大きな割合を占める要素だし。それはあまり考えたことはなかったなぁ...でも選手や一緒に働いているスタッフ達が大切にしているものを理解するっていうのは必要なんだろうなぁ。

木下:そういう意味ではやっぱりヨーロッパの源流のスポーツって哲学的なものになっているんじゃないかと思います。アメリカのスポーツとは違って。時間を止めるのか止めないのかってとこに神の存在があるんじゃないかなって。となるとアメリカ的にロジカルに数字を使ってデータを使ってっていう限界がラグビーにもサッカーにもあるんじゃないかって思ってます。そういう意味でも最後は”人”なんだろうと。

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「結局最後は人だ。だから人に愛されろ。」

木下:色々脱線しましたね。笑
さっきの話にも通じるんですが、サンウルブズ時代に大久保さん(元シャイニングアークスFWコーチ)にも言われたことで大事なことがあるんですけど「結局最後は人だ。だから人に愛されろ。」と。最近になってすごい感じる部分ではあります。最近じゃ遅いんですけど...。頑張らなきゃなと。笑

友井川:そう?笑
意外と最初の印象より人が好きだなと思うよ。人との付き合いもすごい大事にしているなぁと思うし。でもアナリストが『最後は人だ』ていうのがすごい好きだな。
世間のイメージはデータ屋さんだと思う。でもそうじゃないよね。同じデータでも人や環境で答えは全く変わるものだしね。もちろん数字という根拠があってのことだけど、数字と人が結びつくのが大事だよね。だから最後は人だなぁっていうのがすごくいい。
 
木下:そうですね、人です。
アナリストがしなきゃいけない努力って...25歳でアナリスト論を語るのは本当におこがましいですが...。数字を出してハイ終わりではなくて、チームの文化をどう造っていくかにもっと時間を作っていかなければいけないなと思います。

友井川:それこそ、Footballistaの記事でナーゲルスマン(RBライプツィヒ)のインタビューについて書いてあって「コーチングの3割が戦術であり、残りの7割は社会的な能力だ」って記事があったけど、本当にそうだなって思ったし、自身にとってすごく響いた言葉だったな。

木下:本当のラップトップ監督って絶対失敗しますよね。

友井川:間違いないよね。『人』っていうのはいいキーワードだ。

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違うというには、知らなければならない。

木下:とはいえ、アナリストで「人が大事なんですよ」って言ってるだけじゃ説得力ないですよね。そもそもこの業界のデータ分析って、結局意見に対する理論武装が多くて、それってデータ分析じゃないって思う部分が強いですね。都合のいい数字持ってきてるだけなんですよ。最近読んだ本で「事実はなぜ人の意見を変えられないのか(出版:白揚社  著者:ターリ シャーロット)」の中に、結局ロジカルシンキングな人ほど、自分に都合のいいデータしか集めない傾向にあるとありました。

友井川:確証バイアスだね...。

木下:だから、最近はロジカルシンキングを捨てようと思ってます。ただそれだけ言ってても仕方がないので、データ分析も出来た上で必要ないって言える側にならなきゃって思ってます。そういう想いからデータサイエンティストの人たちと「Sports Analyst Meetup」っていうイベントを運営してます。既に9回実施しています。その意味は、ラグビーはデータ分析じゃないって言いたいからデータ分析を誰よりも知っていなきゃってところです。

友井川:それは間違い無いよね。否定するには根拠が必要だもんね。
その姿勢は本当に学ぶことが多いよ。そう意味ではコーチ自身がアナリストの可能性を理解しきれていないと思ってる。多くのコーチがアナリストをデータ屋さんとか作業屋さんだと思っているよね。もしかしたら多くのアナリストがそうなのかもしれないけど、アナリストの本当の価値っていうのはそこじゃないよね。ってことに多くのチームが気づくといいな。

「〇〇は〇〇じゃない」

友井川:今のしょっぴを作ってる原体験や根っこの部分ってある?例えば、自分はさ「なんとかであるべき」や「なんとかのくせに」みたいなのがすごい嫌い。チームの選手にも「自分より大きいやつには絶対に負けちゃいけない」って伝えているし。それこそ海外で働くと日本人のくせにみたいなのは少なからずあるでしょ?
それにキャリアを選ぶときには、誰にでも出来ることじゃ無いことを選びたいなっていつも思ってる。コーチっていう選択をしたのもそう。誰にでも与えられる立場じゃないからすごく大切にしたいなぁって思ってる。ショッピの中で大事にしていることがあれば教えて。

木下:難しいですね。

友井川:でも、負けず嫌いだよね。

木下:負けず嫌いもそうですけど。「〇〇は〇〇じゃない」みたいことが嫌いですね。例えば「英語は大事じゃない」っていう人って英語話せないじゃないですか?
日本人が海外に出るとバカにされる部分もあるけど、僕自身は実際に仕事取れたしって思うところも多いです。

友井川:不可能じゃないってことだよね。自分で限界決めてるってことだもんね。

木下:それをいうためにはそれができていないとだめですよね。ラグビーはデータ分析ではないって本当の意味ではまだ言えないです。なぜならまだデータ分析ができないからですね。だから学ぶことを続けたいという気持ちが強いですね。

友井川:すごいね。25歳の時にそんなこと考えてもいなかったな。そういうことが色んな仕事にチャレンジする姿勢につながっているんだね。現状に満足していなって感じはすごい伝わってくるよ。当たり前だけどみんな現状に満足してるもん。

木下:目標はあるんです。

友井川:教えて。

木下:ティア1の代表にアナリストとして入りたいです。

友井川:いいね。

木下:となると、相当卓越しないとなれないし、そういう意味ではこの歳で時間が無さすぎるなと思ってます。 
 
友井川:どの分野でもそうだけど、この業界は特に仕事を得るのって人との繋がりがすごく大きいけど、単純にスーパーラグビーとかヨーロッパのアナリストは実力っていう意味でははるか遠いわけ?
 
木下:正直、マイター10とスーパーラグビーでははるかに違いますね。厚い壁が存在します。実力的に。スーパーラグビーで何年も働いていると、ラグビーを見る目は肥えてますよね。まだ勝てないなと感じています。

友井川:じゃまずはそこだね。

木下:そういう意味ではサンウルブズでそのレベルを見れたのは経験としては大きいです。日本人でスーパーラグビーってなかなか経験できないですし、今の自分のラグビーを見る目に繋がっていますね。

友井川:他のスポーツをやってみたいと思わないの?違うスポーツを渡り歩く人はいるわけでしょう?

木下:今のFIFAのアナリストは元スコットランド代表のアナリストですよ。ヘッドハンティングされた的な。

友井川:可能性はあるよね。構造を理解出来れば。そういう意味ではコーチよりは他の分野という意味で可能性広がるよね。コーチングってことだけ考えるとコーチもなくはないと思うけど、現実的には無いよね。アナリストっていう職業は他の分野も考えるといくらでも人生楽しめそうだね。

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「為さねばならぬ」

友井川:大事にしている言葉や本とかある?

木下:大事にしている本は考えてきたんですよ。小沼さんとの対談を読んで。笑
最近の本では無いんですが、ビジネス書と文学で3冊ずつ。

[文学書]
1、カラマーゾフの兄弟(出版:新潮文庫、著者:ドフトエフスキー)
2、百年の孤独(出版:新潮社 改訳版、著者:ガブリエル ガルシア=マルケス)
3、停電の夜に (出版:新潮文庫、著者:ジュンパ ラヒリ)
[ビジネス書]
1、ストーリーとしての競争戦略(出版社:東洋経済新報社、著者:楠木建)
2、ナラトロジー入門 / 物語論基礎と応用 (出版社:水声社 / 講談社、著者:橋本 陽介)
3、事実はなぜ人の意見を変えられないのか(出版社:白揚社、著者:ターリ・シャーロット)

紹介した『停電の夜』はそれこそ異文化理解にもつながると思いますし、ナラトロジー、つまり物語論とかはラグビーにも通づるなと。
大事にしている言葉は「為さねばならぬ」ですね。「為せば成るは」少し違う気がしてます。「明日やろうは馬鹿野郎」みたいな響きがあるじゃ無いですか。
 
友井川:「為さねばならぬ」か。いいね。すごい体現しているような気がするな。 

木下:
それは一番大事にしてきたのかもしれませんね。英語にしろデータ分析の言語にしろ。人よりは強く思ってきたという自負はあります。もともと多くの才能を持っているわけではなかったので。
 
友井川:すごいよね。自分のことは既になんとなく理解したと思うけど、興味ないものは本当に興味ないから。笑
できないって決めつけたくないってのは、自分にはないから話を聞いて面白いって思ったし勉強になるよ。こういう対談をきっかけにこういう話を聞くのは個人的にすごい好き。対談にかこつけて普段聞かない話が出来るしね。

木下:サンウルブズでベン・ヘーリングがやっていたんですけど、生い立ちから自己紹介するってのは面白くて結構良かったです。

友井川:大事だよね...。
 
木下:Teal組織って考え方も流行っていますけど、そもそもの人となりを知ることが結局チーム力や文化を育てる。それが全てだと。

友井川:自分もすごい思う。それに尽きると。ただ簡単なことではないよね。簡単なことだけど。

木下:少しずつでもやっていけたらいいですよね。『Teal組織』(出版社:英治出版、著者:フレデリック・ラルー)を読んで思ったのは、月間で表彰された人に1万円渡すみたいな施策があって、1万円もらった人は感謝している人のプレゼントを買って、なんでその人にプレゼントを買ったかをシェアするという話がすごいいいなと。

友井川:あったよね。そういう話。単純に表彰したりするのって大事だよね。ロブ・ペニー(元シャイニングアークスヘッドコーチ)が来た当初はよくやっていた記憶がある。そういうことを意図的にやっていたんだろうなって。今思い出した。最後の方はやってなかったけど。笑
チームが成長していく過程では本当に大事だよね。そういうことだよね。当たり前のことだけど、クラブハウスの掃除してくれている方の名前知ってる?とか受付の方の名前知ってる?とかね。そこに尽きると思っているよ。

木下:ジャージのプレゼンテーションに来てもらうとかありですよね。
 
友井川:そうね。そういうことが一番大事な気がするな。

木下:ジェイミー・ジョセフが「ONE TEAM」って言葉を使ってましたが、最初はみんな「JAPAN WAY」ってなんだよとか「ONE TEAM」ってなんだよとかって感じだったと思うんですけど。ずっと使い続けたし、「ONE TEAM」って言って終わりじゃなくて「ONE TEAM 」ミーティングってものを毎週やったりして、ゲストスピーカー読んだり、叩いてかぶってじゃんけんぽんとかやったり。笑
そういうことをやり続けて言葉が文化になったんだと思いますね。
だから我々の『Be Professional』(シャイニングアークスのスローガン)もそうでなければいけないですよね。自然消滅しないように。そういうところにもアナリストは気を使うべきなんじゃないかって思ってます。

友井川:言葉自体は弱いからね。繰り返しインプットすることが大事だよね。それは視覚的にも聴覚的にも。繰り返し使っていくことで真の意味で自分たちの言葉にしたいし文化にしたいよね。今日はありがとう。すごく楽しかった。

木下:こちらこそありがとうございました。

本日、対談いただいた木下君のオススメの本

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あとがき

歳下ながら色んな経験をしている彼から対談を通して本当に沢山のものを学びました。自ら動き出すことで、実際に色んな経験が出来るチャンス自ら勝ち取ってきたという経験が彼を更に成長させているんだなと感じました。『成さねばならぬ』いい言葉です。何かにチャレンジすることに迷っている人にぜひ読んでもらいたい対談になりました。ティア1のアナリストになるというすごい目標を達成して欲しいです。
サードドア: 精神的資産のふやし方 (著者:アレックス・バナヤン、出版社 : 東洋経済新報社) でハリーポッターの魔法使いの言葉についての記述がありました。

「君が何者であるかは、君の持っている能力ではなく、君の選択によって決まるんだよ」                 魔法使い アルバス・ダンブルドア

私はハリーポッターは読んだことありませんが...まさにしょっぴが体現していることですね。そしてやはり最後は”人”。改めて大事なことも再認識出来た良き対談でした。人はやればできるんですね。刺激になりました。

やればできる!! ティモンディ 高岸


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