【基礎知識編】モニター環境
音声編集を行うにあたり、皆さんはどのようなモニター環境をお持ちでしょうか。
大きく分けるとスピーカー派、ヘッドホン派になると思いますが、その前の段階、DAコンバートから各アンプに対して積極的という方はあまり多くないように感じます。(筆者の主観です)
今回はモニター音を作り出すDAコンバートから実際の空気振動に至るプロセスを解説したいと思います。
オーディオインターフェースによるDAコンバートは要注意
DTM環境の構築が容易な時代になり、世界各国から様々なオーディオインターフェースが発売されています。
2021年6月現在、最高の解像度を誇るDAコンバータは、あくまで数値的な性能になりますが、旭化成製ではAK4499、ESS製ではES9038PRO、シーラスロジック製ではCS43131またはCS43198という選択になります。
特にAK4499やES9038PROにおいてはダイナミックレンジ140dBという驚異的な解像度を実現しており、映像に例えるならばフルHDと4Kくらい違います。
筆者はES9038PRO以前はES9018K2M(ダイナミックレンジ127dB)搭載のDAコンバータを制作し、これ以上良くならないのでは、と思いました。ES9018K2Mでさえ、それほどに充分な解像度を持っていたのですが、新たにES9038PRO搭載のDAコンバータを制作し、その音を聴いた時には「今まではノイズを聴いていたのか...」と思ったほどです。
このようなハイエンドなDA環境で編集を行うと、ごく僅かな音量の変化、リバーブのセンド量、レコーディング時に気が付かなかった演奏ミスによるノイズなど、これまで聴こえなかった音が手に取るように分かります。
残念ながら、多く出回っているようなオーディオインターフェースにはこれらのDAコンバータは搭載されていません。ハイエンドだと思っていた機種は、ハイエンドな音を出すことができないのです。
D/Aコンバート後
基本的にはD/Aコンバータで音は決まりますが、それが全てではありません。アナログに変換された信号がどのような回路を経由して、空気を振動させるのか、あらゆる要素が音に影響します。
スピーカーでモニターする場合、プロフェッショナルなスタジオでも毎回同じ音は出ません。気温や湿度によって音速は変化する上、室内を反射しまくって耳に入ります。
例えるならば、昨日聴いたときに飲んでいたペットボトル飲料の残量でさえ、音に影響するのです。
それに比べれば、ヘッドホンは大気をほとんど通過せずに耳に音を届けられるため、ほぼ毎回同じ音が出せると言えます。とは言ったものの、人間である以上、体調によって聞こえ方が変化するのは致し方ありません。
「NS-10Mでモニターしているのに、ミックスがうまくいかない...」と感じた経験のある方、一度D/Aプロセスから見直してみてください。
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