【マスタリング編】音圧はどうやって上げるのか
ポピュラー音源のマスタリングで求められるものと言えば、99%が「音圧」です。要はうるさくしてくれという事です。音質のことを考えると、完全なステレオの状態が最も良いはずですが、それを破壊してうるさくして欲しいという要望は後を絶ちません。
音質を維持したまま、音圧を上げる方法を解説します。
M/Sに分離
ステレオトラックの状態でピークを持っている音はMidです。このままではコンプレッサーやリミッターがMidに反応し、Sideまで持ち上げることはできません。先ずはM/Sに分離し、それぞれに別の処理ができる状態を作ります。M/Sの分離方法については、【マスタリング編】ステレオを知る を参照してください。
Mid、Side、それぞれを潰す
Midはただのモノラルトラックなので、耳でもモニターすることができます。Mid、Sideにそれぞれコンプレッサーをインサートして、音量を安定させます。Sideはステレオコンプレッサーになります。
コンプレッサー 参考設定値
レシオ: 2.5:1 前後
アタック:最短
リリース:150ms 前後
スレッショルド:コンプレッサーが効きっぱなし
位相メーターを見ながらSide量を調整
ステレオを維持するため、マスタートラックに位相メーターは必須です。相関係数0.5を維持できるよう、Sideの量を調整します。
リミッターで好きなだけうるさく
マスタートラックにリミッターを入れ、好きなだけブーストしてください。
これだけの処理でステレオ感を最大にして、かなりうるさくできるはずです。位相メーターのリサージュ(ノイズのようなもの)が菱形に近付くほどうるさくなります。