Vol.12 モーニング娘。’16 / 泡沫サタデーナイト

ここ数年のモーニング娘。は「ダンスがかっこいい」という分かりやすさを軸に活動していましたが、個人的にはやはり「歌」のグループだと思っています。

ハロプロ楽曲と、他アイドルの曲の違いは、メロディーに歌が載ってるか、リズムに歌が載ってるか。
ハロプロは後者です。詞を「音」として捉えています。
カラオケで歌ってみると分かりますが、ハロの曲は上手く歌おうとしても絶対歌えないし、歌えたとしても素人じゃ、リズムに乗り切れません。
彼女たちはあれを複数人で譜割りしながら、一曲のまとまった歌のように聴かせます。
あまり伝わらない凄さではあるのだけど、地味にスゴイ技術です。

またハロプロ研修生がデビューするためには「16のシャッフルビートを体で刻みながら歌を歌えるか」をクリアする必要があります。
顔が可愛かろうが、歌がうまかろうが、これがクリアできないことにはグループには入れません。
つんくはこれを徹底していました。

「泡沫サタデーナイト」の作詞作曲は赤い公園のギターの津野米咲さん。編曲はお馴染み鈴木俊介さん。
むちゃくちゃいい仕事しています。アイドルファンクの教科書のような曲です。
歌に関しても発音の強弱、語尾の歌いまわしなど、緻密にディレクションしながらレコーディングしてるのが分かります。
安定して10万枚売れるレベルで、歌謡ファンクをやってるグループは、今やモーニング娘。くらいしかいないので、貴重なグループになりつつあります。

人の音楽を嗜むレベルというのはそう変えられませんが、変えられる方法があるとすれば、子供でも親しめる曲に音楽的素養を落としこむことでしか実現できません。
しょーもないシンガーソングライターの曲が、聞き手のレベルを下げてると思う今日このごろ。
聞きたいもの聞けばいいんじゃねえんだよ!ちゃんと音楽聴け!耳障りのいい音楽はクソだ!

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