自律化が進む米国マテハン業界 - ProMat 2023
今年も MHIが主催する米国最大規模のマテリアル ハンドリング及びロジスティクス業界のイベント「ProMat」が 3月20~23日にシカゴのコンベンションセンター McCormick Place で開催されました。今年は 1,000社を超える出展者と 4万人の来場者を迎え、オートメーション ソリューションや Eコマース、Data-Driven Decision Making といったテーマがフォーカスされていました。昨今話題となっている AIも広くオートメーション ソリューションに融合されてきており、AI技術を使っていることが当たり前で AIを製品やサービスの特徴として挙げる企業は少なくなってきている印象です。
ProMatでは展示に加えてカンファレンスも多数行われ、4つのキーノートに加えて 150を超える各種セッション・セミナーが開催されました。
毎回注目しているのは MHIと Deloitteによる Annual Industry Report のキーノート セッションで、今年のレポート "The Responsible Supply Chain: Transparency, Sustainability, and the Case for Business" が紹介され、先進的なサプライチェーン技術の導入によりオペレーションの応答性、俊敏性、責任性が高まることが期待されているとしています。最近の傾向としては、サプライチェーンの維持及び持続可能性を向上するソリューションへの投資が増加してきているのに加え、現場の労働力不足に対する各種ソリューションに対しても増加傾向にあるようです。
展示会場には自律移動ロボットや荷下ろし・荷積みロボットなど、AIを活用したコンピュータービジョン技術を取り込んだロボットを多く目にすることができました。
Boston Dynamics社は、すでに顧客先で運用が始まっているケースハンドリング ロボット「Stretch」を会場で披露、スムーズなトレーラーからの荷降ろし作業をデモしていました。
トラックからの荷降ろしでもは展示会場の多くで目にすることができましたが、(株)Mujin は 1時間あたり最大1,000ケースの荷降ろしが可能な荷降ろしロボットをデモ展示していて注目を集めていました。
自律移動型フォークリフトも会場でよく見かけましたが、Tuskrobots社は自律型パレットハンドラーは、パレットを持ち上げ、AMRがパレットの下に滑り込むユニークなアプローチを披露していました。
自分が一番楽しみにしているのは Innovation Award の発表で、最新の製造業及びサプライチェーンの革新的な製品・サービスが受賞します。今回は 156製品・サービスの応募の中から次の 3分野の受賞が発表されました:
Best New Product: Agility Robotics
Agility Robotics社の 2足歩行 (Bipedal) ロボット「Digit」は物流施設で人との協働作業を前提に設計されていて、荷物の運搬や階段の昇降などにも対応し、人用に設計された環境において活動するロボット。
Best IT Innovation: OneRack
OneRack社は倉庫内の棚の設計から棚のパーツの管理及び維持作業をサービスとして提供。柔軟に構成を変更しパーツの管理も行えるため、倉庫内のスペースの効率的な運用を支援。
Best Innovation of an Existing Product: Hai Robotics
倉庫内を自律移動し棚内のケースを棚入れ・取り出しを行うロボットを提供。高い棚位置にも対応し、倉庫内空間の効率的な活用が可能。
またスタートアップのエリアも設けられていて、今年は 市販されている Webカメラなどを画像認識などのセンサーとして活用できるようにする AI/ML技術を開発する独sSy.ai社が Startup Award を受賞しています。
アメリカのイベントらしく開催 3日目の夜にはコメディアン Nate Bargatze氏による Industry Night も開催され、会場は大いに盛り上がったようです。このイベントは有料なのですが、その収入は Material Handling Education Foundation に寄付され、業界の若手を育成するための奨学金プログラムや教育プログラムに活用されます。
次回の ProMat の開催は 2年後の 2025年となり、来年のこの時期は同じく MHIが主催する MODEX 2024 がシカゴで開催されます。