最近購入した指輪を通して、なぜ服を買うんだろうと自問自答してみた。

少し前に新しいリングを買いました。Kei Shigenagaという日本人デザイナーのものです。

デザイナーの彼とは彼がニューヨークに、住んでいた頃に知り合い、それからと言う物なにかしらの形で彼のプロダクトを含め近況を把握する間柄になりました。

ある日の夜中に商品サンプルを見る機会があり、話を聞いて着用イメージを膨らませていたら今まであまり興味のなかった一つのリングが急に僕の中で大きな魅力を放ち始めました。そしてそのまま購入。(夜の力はやっぱり偉大)

考えてみると、僕の買い物の仕方はいつもそうです。

もし店舗で何かを買うとしたら、まず店員さんとのコミュニケーションが何よりも大きな購買動機になっているなと。

例えば、ブルックリンにある一つのセレクトショップ。そこのマネージャーとストリートスナップを通し、知り合って仲良くなり、彼の厚い人柄もあり、ブルックリンを訪れる際は必ず挨拶をしに立ち寄るようになりました。正直初めは商品は二の次でただ、彼と会って話をする。長い時は二時間ほど、どっかりとソファに座り込みひたすら話していたこともありました。いや実に迷惑な話だ。まじで。すんません。

そんな事が半年ほど続いたころ。何かのついでにお店に立ち寄り、いつもの様に話をしているとふと目に留まったシャツ。聞いた事も気にかけた事もなかったブランドの物でしたが、試着して色々と彼の意見も聞いたりしながらものの5分で購入。

その商品が目に留まってから購入までのプロセス、時間は実に濃密でアドレナリンがしっかりでていたと思います。それはもうぎゅんぎゅんと。

ある種、しなくてもよかった消費。ですが服だけではなくその友人との服という共通の話題を通しての時間も含めての買い物だったよう気がします。そこからはそのお店の良さをしっかりと見るようになり(おせーよ)、ちょくちょく買い物をする様になりました。

たぶん僕がファッションというジャンルが好きな理由の一つは、人々とこういった経験、交流が出来る大きなきっかけとなり得るからだと思います。

"衣服"はそれだけではただの物(もちろんクリエーションという側面の美しさ、魅力もありますが)、人との血の通った交流と、その経験を通して体に纏うことによって初めて"服装"という概念になる。すなわち、"服"は"人"を以って初めて"ファッション"になる。

当たり前の事ではありますが、そんなような事をストリートスナップを撮るなかで改めて思うようになり、それこそが僕が惹きつけられ、心を動かされる理由なのだと思います。

しんち

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