小屋が好きなんだよ!

2021年度劇団森本公演で舞台監督を務めさせていただきました、4年代(だった)の十一です。なぜか自分だけはnoteを書かなくていいと勘違いし、締め切りを過ぎてから大慌てでこのnoteを書いています。

舞監のお仕事

先のかたつむり氏のnoteで、制作さんは「小屋外」での業務を主とするといったことが書かれていましたが、舞監こと舞台監督の職責はその逆、「小屋内」をつかさどることです。一番先に劇場に来て鍵を開け、みんなが1日無事に頑張ったのを見届けて鍵を閉めます。小屋内ではたらくすべての人をおはようから退館まで見守るお仕事です。

具体的には各種打ち合わせの調整をしたり、スケジュールの作成・進行を取り仕切ったり、小屋内の安全を管理したりします。あと小屋内各セクション(照明・音響・美術 etc.)のお仕事ではないものはなぜか舞監のお仕事になります。演劇をやっていない人には映画監督と響きが似てるせいかよく「演出家」の仕事をやっていると勘違いされますが、演出はつけません。

舞監の特権

1.「こやといっしょ」

一番小屋にいられるセクションです。責任者なんで。小屋にいることが多い舞監仕事の中でも今回は今までで一番小屋にいました。どんなセクションでもそうかもしれませんが、舞監の仕事は公演の規模がでかいほど増えます。参加者が増えればスケジュールが組みにくくなりますし、やりたいことが増えれば演出も衝突しがちです、設備や道具が多ければトラブルも発生します。そういった調整だけでなく、主宰が「舞台機構やりたい」といえば舞監が手配します。企画書に「フラセ大好き!」なんて書かれていた日にはもう戦々恐々です。今回にいたっては仕込み着と衣装を着替える時間すら惜しく、一生バーテン服の舞監を爆誕させてしまいました。よいこのみんなはマネしないでね!

画像1

今回役者を兼任しながらの小屋入りでしたが、舞監としての仕事を終わらせることができず、全然稽古場に行けませんでした。ごめんなさい。自分の見通しが甘く、全然タイスケ通りに進められませんでした。ごめんなさい。でも小屋で仕事をするのが大好きな自分としては地獄のような天国のような小屋入りでした。なにより、コロナ禍で小屋入りできるかどうかも定かでなかった時期を鑑みると、小屋にいられるだけでサイコーに幸せでした。保健委員長、無事小屋入りさせてくれてありがとう。

2.「開演します。」

個人的に、舞台監督は「幕を開けて閉める」お仕事だと思っています。物理的にも幕開けたり閉めたりするんですけど、もっと広い意味で。開演するまではいろんな調整や準備を頑張ります。時間通りに幕が上がるように尽力しします。開演したらみんなが無事で終わるように祈ります。シーバーを飛ばしたりトラブルに対応したりしてお手伝いをします。終演したら、ほっと胸をなで下ろしています。そういう意味で、幕が無事に上がり、閉じることに責任を持っています。初ステに至るまでの過程を、情熱と努力を、小屋に一番長くいる舞監は間近で見ることができます。だからこそ、「開演します。」のキューを出す瞬間は、特別です。

3.「夢の終わり」

千秋楽の幕が降りてもまだ仕事が残っています。バラシです。バラシが大好きです。どんな素敵な舞台もエモくなる時間すら与えられずバラされていくのが好きです。カタルシスを感じますね。全体が活気と達成感に包まれたバラシ中の小屋を脚立の上から見下ろすのが好きでした。エモくなくてもなんとなく満たされていて、素敵な夢の終わりだなあと、私は思っています。最期にまっさらになった小屋を閉める瞬間も私は好きです。

舞監のお気持ち

実は劇団森に入団して新人公演に参加してた頃、普通に演劇辞めようかと思ってました。演技は下手だし、脚本は書けないし。そんな時、当時の新人公演の舞台監督だった先輩の仕事を見て、こんな形で演劇を愛することもできるんだ、もう少し続けてみようかな、と思ったのが私が最後まで劇団森に居ることができた理由の一つです。このnoteを読んだ新入生なんかが私みたいに舞台監督に興味を持って、演劇を愛する方法にしてほしいな~なんて野望の元書きました。結局とりとめも無くなってしまいましたが。

愛すべき主宰、私にオファーをくれてありがとう。一緒に小屋入りしてくれたスタッフのみんな、最後の仕事を貴方たちと一緒にさせてくれてありがとう。役者のみんな、楽しそうにお芝居をしてくれてありがとう。救いでした。素敵な舞監班の愉快な同期、頼もしい先輩、可愛い可愛い後輩たち、不甲斐ない舞監を支えてくれて本当にありがとうございました。みんながいる小屋が大好きでした。

最期に、このnoteを読んでくれた人とこれから本公演を見る観客のみなさん、ありがとうございます。

私たちの集大成を、ぜひ見届けてください。 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?