ただ制作の話だけしちゃった。
劇団森2021年度本公演制作チーフの片割れ、かたつむりです!
制作って名前からは何してるか全然わからないですよね。「演劇を『公演』にする仕事」と相方のチーフが昔言っていました。素敵な言い回しですね。ざっくりいうと、予算を組んだり、予約を捌いたり、本番期間の運営をしたり…。
演者、裏方、お客さんが劇場に揃って(今のご時世揃わないこともありますが…)『公演』となることをサポートするセクションです。演出内容などのソフト面にはほとんど関わらず、公演を成立させるためのハード面を整えるお仕事なので、小屋の中で何かをするのではなく、通称「小屋外」での業務が主となります。
最近劇団森では謎に制作セクションが人気らしいのですが、「小屋外」業務って結構寂しいものです。ということで、ネガキャン?を始めます。
寂しいところ1:「制作だけで完結する仕事がほとんど」
演出家さんや他セクションと喧々諤々議論して、やることをブラッシュアップしていく!みたいな熱いことはなく、淡々とセクション内で業務をしていきます。座組みの人たちとの交流といえば、たまに休憩に出てくる人たちとおしゃべりしたり、くらいです。コロナ過では更に、無観客になり、人数制限やリスク軽減のためにも、制作だけは劇場自体にすら行かない期間がありました。テレワーク化と良い風にいっていますが、せっかく公演に参加しているのに、座組みの人と一緒にいることが出来ないととっても寂しいですよね。
寂しいところ2:「演劇自体の作り手ではない」
舞台上に僕たちのお仕事が現れることはほとんどないので、あんまり終演後のアンケートとかは関係ないし、劇自体の評判とも関係ないところにいます。もちろん、開演までと終演後の公演にまつわるエトセトラは、劇の評判に関わるものであることは百も承知ですが、あくまで演劇本編の上演の時間をいかに快適に過ごしてもらうかを考えるお仕事だと思うので、演劇の作り手という感覚ではありません。作り手たちとお客さんが存分に演劇を楽しめる場所を作るぞ!という一歩引いたところでお仕事をしている感覚です。そういう意味では演劇の醍醐味の一つをあまり味わえないセクションではあります。
とまあ、自セクションの悪口(?)をつらつらと書きましたが、ここで終わると後身育成をしている後輩にブチ切れられます。なのでここから先は好きなところを書いていきますね。
僕は好きでこのセクションを3年かけてそれなりの現場数やりました。短所の裏返しが長所とはよく言いますが、その通りで、寂しいところが同時に好きなところでもあるのです。ということで、いっぱい好きなところを書いていきますよ!
好きなところ1:「制作だけで完結する仕事がほとんど、だけど団体を超えた制作のつながりは広い!」
早稲田演劇界隈には劇団の垣根を超えた制作のネットワークがあります。皆さんが観劇する時に手に取る公演パンフレットなどには他団体のお芝居のフライヤーが挟まっていることがあると思いますが、それは団体の制作同士が連絡を取り合って折り込みをしています。また、公演期間中に「当日制作」という、数日だけの運営のお手伝いさんが呼ばれることがありますが、これも座組み、団体は関係なく、制作のつながりでお互いに呼び合います。
制作業務はどの公演でも共通部分が多いので、一度公約数的な仕事を憶えると、団体の垣根なくいろんな公演の制作業務に参加できます。僕に制作のやり方を教えてくれた師匠は、劇団くるめるシアターの人ですし、僕の弟子(そんな大層に何かを教えてはいないのですが、便宜上そう呼びます…)には、劇団森以外にも、くるめる、木霊、エンクラの人などがいます。
制作のセクション内でこそ仕事は完結しますが、制作界隈は割と広くてそこで他団体の人との出会いがたくさんありました。劇団を超えたつながりが一番緊密なセクションだと思います。
好きなところ2:「演劇自体の作り手ではない、けどそこ以外は大体任される」
長所なのか?という感じですが、僕はそこが楽しいしやりがいを感じています。まず、制作業務って本編と関係ない部分が多いので、あまり口出しされることなく、自由にやれる部分が多いです。基本の仕事を覚えてやるべきことが最低限できるようになってからは、プラスアルファの、主宰さんのこだわりが特にない部分にこっそりこだわって、たまに誰かに気付かれて、いいねって言われて喜ぶみたいなのを永遠にやっていました。小屋前装飾とか当日パンフレットとかは最たる例ですね。
また、開演前と終演後のエトセトラはほぼ制作管轄といっても過言ではないので、いろんなことをやりましたしできるようになりました。あんま何いってるのかわかんないと思いますが、通販ページを作ってDVDを販売したり、オンライン演劇の配信プラットフォームを探したり、複数の予約サイトを使い分けたり、感染症のガイドラインを製作したり、会計エクセル自作したり、制作の手引書を作ってみたり…と、その時々に必要なことを調べながら、いろんなことをやりました。必要に迫られてということでコロナ禍で一番仕事がガラリと変わったセクションだと思います。割と早稲田演劇が死なないように自らを変化させて奔走した功労セクションだったと思うのですがどうでしょうか。
好き嫌い分かれると思うのですが、凝り性の僕としてはやり込み要素がたくさんあって好きなセクションでした。
長々と書きすぎた気がします。あんま普段制作は自分たちのことを表現する機会がないので許して欲しいです。とはいえ、まとめに入ります。
すごくカッコよくいうと僕は制作の仕事とは、いかに公演に関わる人全てが快適に過ごせる環境を作り維持できるか、だと思っています。そのためには何が必要なのか、何をしたら喜んでもらえるだろうかを考えるときにたくさん想像力が必要ですし、気を張るし、完成は多分ありません。当然に存在すべき環境を、人知れず守り続け、なんなら少しずつ良いものにしていくという、裏方の極みなセクションです。僕はそれが結構かっこいいと思っていますし、出会った制作の仕事を極めてる人はみんなめっちゃカッコよかったです。
僕に制作を教えてくれた先輩方も、このセクションで一緒に仕事をしてくれた同期も、やりがいを見出して定着してくれた後輩たちも、本当に尊敬しています。素敵な人がたくさんいるというのはこのセクションの大きな魅力だと思います。
なんとなく書き尽くしたかなといったところで、気づいたのですけど、制作の説明してばっかりで本公演の話はしていませんね…。タイトルにある通りです。でもきっと本公演の話はきっと相方のチーフが書いてくれるでしょう。
長文駄文失礼しました。最後まで読んでくれた真面目な人はきっと制作に向いています。
改めまして、本日はノートをお読みくださいましてありがとうございました!
これからも劇団森と制作班をどうぞよろしくお願いいたします!!
かたつむりでした〜!
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