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P&Gで学んだビジネスの戦闘力「1ページをなめるな!」

はじめまして、長谷川晋です。

日本のモノづくりを体現するブランド群を生み出し、テクノロジーの力を使って世の中に届けるD2Cビジネスを手がけるMOON-Xという会社の経営者です。現在ではクラフトビールのCRAFT X、男性用スキンケアのSKIN X、女性用スキンケアのBITOKAを発売しています。
東京海上からP&Gのマーケティングに転職、楽天のグローバルマーケティングの上級執行役員、Facebook Japan 代表取締役を経験したのちに2019年8月にMOON-Xを創業しました。

自分の事業と本気で向かい合いつつ、次世代のビジネスリーダーを育てるというライフワークにコミットしていきたいという想いがありTwitter (@ShinHasegawa8)での情報発信を数ヶ月前に始め、今回noteも始めることにしました。私の体験や想いが、新しい日本を担う未来のリーダーたちにとって、1ミリでも何かの糧になってくれたらとても嬉しいです。お付き合いのほど、どうぞよろしくお願いします。

前置きはこのくらいにして、早速始めていきましょう。

私は大学を卒業後、最初は保険会社に勤めていました。社会人として経験を積む中、ゼミの先生の紹介でP&Gの先輩を紹介してもらったことが縁で、P&Gに入社しました。

P&Gに入った後、私は自分の人生を変える、1つの大きな考え方に出会いました。

ビジネス上必要な提案は全て「1ページ」でまとめきる

P&Gには1ページという自分の考えや提案を1枚にまとめるカルチャーがありました。この自分の想いを伝えきる1ページに私はすごく影響を受けました。

1ページだけ作ればいいって簡単そうと思われる方もいるかと思いますが、1ページに提案をまとめ上げるのって実は凄く大変なんです。数十ページの資料を作る方が正直簡単です。なぜなら自分の提案、その裏付けのデータや背景などを書いているだけでページ数は増えていきます。提案を通すためや周りを巻き込むために、何が本当に必要なのか、要素をできる限り削ぎ落とし、1ページにまとめあげる。こうすることで、チームメイトや意思決定者と短時間で合意形成が取れます。さらに自分自身も1ページを作る過程で何が本質的に必要なことかを考え抜いているので、提案内容の質も上がりますし、引いては思考能力が非常に鍛えられます

また、1ページはビジネス上どんな場面でも使用可能です。上司・部下と1:1、チームミーティング、社内の提案書、新商品の戦略、年間の事業計画まで、使用用途は多岐に渡ります。なぜ汎用性が高いのかといえば、提案をする上で必要な項目は以下の5つで基本的には一緒だからです。

#1 Objective: 目的は何か?
#2 Background: 背景は?
#3 Proposal / Option: 提案内容は?選択肢はあるのか?
#4 Key Discussion: 議論を通じて意思決定したい(させたい)ものは?
#5 Next Step: 誰がいつまでに何をやるのか?

1ページ活用法|チームミーティング

具体例で説明しますね。チームミーティングでの提案を思い浮かべてください。自分はチームの中では若手で、来週先輩たちに次回の期間限定商品プロモーションの提案を持っていくことになっている。厳しい先輩もいるし、気が重いな、、、設定はこれくらいにしましょう。前述した5つの項目に照らし合わせて考えてみます。

#1 Objective:
期間限定商品を出す目的は?(新規顧客の開拓?客単価アップ?購入頻度アップ?)、成功したと言える定義は?(売上?利益?客数?客単価?)
#2 Background:
前回の期間限定商品からの学びは?(何が良くて、何が悪かった?)、 消費者のニーズは?、競合の状況は?
#3 Proposal / Option:
次回の期間限定商品で何をしたい?いくつかの選択肢がある場合、それぞれの利点欠点は何?
#4 Discussion:
チームミーティングで先輩たちと議論したいポイントはどこ?何は絶対に意思決定したいorしてほしい?
#5 Next Step:
誰がいつまでに何をフォローアップするのか?

いかがですか?これから1ページで必要な要素を網羅的にまとめられそうじゃないですか?若手社会人の方はチームミーティングの提案書を作るのも大変だと思います。そもそもどこから考え始めたらいいかもわからない。私もそうでした。ぜひ5つの項目を使って1ページの威力を日々の業務で活かしてみてください。

1ページ活用法|事業戦略

チームミーティングなどの日々の業務だけでなく、会社の事業戦略などの大きな場面でも1ページは有効です。抑えるべき項目は上記の5つで基本的には同じであったとしても、作成にかける時間やプロセスは変わってきます。私のやり方を例として紹介します。

私は事業戦略などの重要度の高い提案は1ページをまとめ上げるまでに、100日かけると決めています。短期間だと情報を集めきれないまま作り上げることになり、うまくいきません。きちんとした1ページを作るためには、可能な限り情報を集めて、100日かけて仕上げていくようにしているんです。

情報取集の一環として、メンバーとのキャッチボールを必ず行います。やりとりする中で、自分の考えがより固まって、納得できるような戦略だったり表現だったりが見つかってくるからです。アウトプットするまでに7割ぐらいは自分の中で腹落ちさせて、3割をキャッチボールしながら固めていくイメージです。キャッチボールしていくと自分が集めきれていない情報が必ず出てくる。あるいは自分が腹落ちしてまとめたつもりでも、全員に誤解されてしまうような伝え方になっているとか、思ってもみなかった気づきがいっぱいあるんですよね。人に説明するために、自分の考えを俯瞰視できるので、冷静な判断ができるようになる。自分にとって必要な作業なのかもしれません。

たくさん集まった情報を1ページに落とし込んでいくときに、自分が一番大切にしているのが、自分の腹落ち感です。言葉のひとつひとつのチョイス、プロジェクトの判断基準、1ページ上で表現している全てにおいて、自分がとことん本当に納得しきっているか。

楽天に行った時も最初の100日で1ページを作りました。自分が作るグローバルマーケティングの組織についてはこういうビジョン・目的でやっていく、それを達成するためのアクションをいつまでに取って、それをこういうKPIで測っていきますというのを明確にしたんです。
Facebookの時も代表取締役に就任して、最初の100日でやった仕事の一つが、Facebook Japanとして1ページでちゃんと伝わるものを作ることでした。
今もMOON-Xを創業して、クラフトビール作ってもらってる木内酒造さんやスキンケアの開発をしている日本コルマーさんに最初にお会いした時にも1ページを作って持って行きました。それくらい自分の仕事をする上での基礎になっています。

以下は私が実際に木内酒造さんにMOON-Xとのコラボレーションの提案を持って行ったときの1ページです(本当に実物なので、社外秘情報は隠しています。ご了承ください)。

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1ページはビジネス上のどんな場面でも、そしてどんな組織でも通用する考え方です。これが「1ページをなめるな!」という強い言葉の理由です。

以上、P&Gで磨いたビジネスの戦闘力 「1ページをなめるな!」でした。ぜひ、ご自身の日々の業務で使ってみてください。自分の考えがスッキリ整理されて、やりたいことが明確になり、周りを効率的に巻き込むことができるので、プロジェクトが思い通りに進むようになると思います。

また、Twitterで毎日、ビジネスリーダーの方々が「#ビジネスの戦闘力」を上げるヒントになる投稿を毎日行っています。よろしければ@ShinHasegawa8をフォローしてください!







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