虫が好きになった経緯
普通自然の中で昆虫と触れ合っているうちに、昆虫に興味がわいてくる。
そして、昆虫の図鑑なんかを親に買ってもらって詳しくなっていき、更に昆虫に興味が湧き…という好循環がうまれる。
どちらの方が正しい順序という話ではなく、僕の場合は順序が逆だった。
最初に知識があり、知識から昆虫への興味を持ち、その知識と興味を確かめるように昆虫に触れていった。
図鑑に載っていた昆虫達はどれもほとんど見たことが無かった。
写真で見せられても、こんなにも珍奇で美しく妖しい存在がこの世界に実在するなんて少し信じられなかった。
生まれ育った場所が自然がない場所だったので、逆にそれが憧れのようになったのか。
「こんな虫が本当にこの世に存在するのか?」という素朴な疑問をずっと抱えているうちに、それが昆虫達への恋へと変異した。
トノサマバッタやオニヤンマですら滅多にお目にかかれない環境であった。
ナナホシテントウムシが1匹見つけただけで僕には大事件であった。
この世界の「未知」の象徴こそが昆虫達だった。
彼らの好ましいところは、何をしても何も言わないし、してこないところである。
試しにひっくり返してみても、黙って足をジタバタさせて姿勢を元に戻そうとするだけである。
一方人間はというと、こちらが何もしなくても「何をやったあれをやった」と言ってくる。
物言わぬ小さな自然の住民たち。
そろそろ彼らが賑やかに動き回る季節である。