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業界唯一の1兆円企業「ヤマダ電機」はもはや家電量販店ではない!?

今回は家電量販店の国内売上トップ「ヤマダ電機」を調べてみました。

いつもと違いマーケティング要素というより、企業としての事業戦略部分の話が強いです。

なぜヤマダ電機を取り上げようと思ったのか

最近、ヤマダ電機の名前を聞いて驚いた話がこちら。

新宿西口ガード下から歌舞伎町にかけての道のりで象徴的だった「ヤマダ電機LABI新宿東口館」が2020年10月4日に閉店したニュース。

ヤマダ電機もコロナの影響で相当きびしいのか。。

気になって11月初旬に発表された第二四半期決算に目を通して驚きました。

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ヤマダホールディングス2021年3月期第2四半期決算

売上高:+2.0%
営業利益:+86.1%
経常利益:+75.2%
純利益:+39.2%

むしろ伸びている。。。
この売上規模で、この状況下の中、売上を伸ばしているのか。
驚異的すぎる。

直近、家電量販店の脅威となる外部要因を洗い出すとキリがない。

・コロナウイルスによるインバウンド激減
・緊急事態宣言による外出自粛
・各地域における商業施設の休業
・競合のEコマースの台頭
・大手ネット通販会社の脅威

…など。

数を挙げればキリがない外部環境の悪化により、相当厳しいのではないかと想像していましたがなんのその。

今回は調べていくと知っているようで実は知らなかったヤマダ電機のすごさをご紹介します。

会社概要

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言わずと知れた国内最大の家電量販店です。
売上高1兆円を超える家電量販店はヤマダ電機のみ。
それでもなお、業績を伸ばし続けている。

本社が群馬県というのは意外と知られていない情報です。
創業者の山田昇会長がビクター(現:JVCケンウッド)前橋工場勤務時代にQC(品質管理)を学び、街の電気店として「ヤマダ電化サービス」を開業したことから始まります。
経営理念の「創造と挑戦」は当時から掲げていたそうです。

主なグループ各社

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こう見ると家電量販店の柱も立てつつ、住宅メーカーや家具業界へ大きく舵を切っているのが見えます。

Amazonや楽天など、大手モールや通販がネット市場で台頭している今、国内向けの家電販売には限界がある。家電の先にあるのは消費者の生活。だったら、消費者に安心した快適な暮らしを実現してもらうために、住宅から家具、そして家電を一括で提供できる組織体へ変えていこう。

住宅・家具業界へ進出したのはそのような背景が考えられます。

企業理念の「創造と挑戦」を元に、目の前にいるお客様が満足いく商品をご案内する。

全く違う業界に進出して大失敗する企業も多い中、ヤマダ電機が成功し続けられている要因は、常にお客様が求めているものから一歩先を汲み取って提案しているからこそ。

挑戦中の今の状況を「成功」とは言えないかもしれませんが、これからの家電量販店はヤマダ電機をモデルケースにして同じように住宅業界や近しい業界へ進出していくことが考えられます。

ヤマダ電機が業界の先陣を切って、日本の家電量販店のモデルケースを構築している今、競合他社は真正面からヤマダ電機と対峙するのか、または独自の経営路線を引いて業界での地位を確立していくのか。

今後の家電量販店業界が楽しみです。

今後の事業戦略

今後の企業としてのテーマを以下のように掲げています。

「企業体質強化経営改革」による売上総利益(率)向上・販売管理費削減

①家電、家具、生活雑貨、住宅関連商品等、他社にない幅広のSPA商品拡充
②支社長制度による経営スピード向上と地域別のきめ細かい経営
③好調なアウトレット店販売に伴う既存店での新製品販売構成強化
④電子棚札戦略による最適価格の実現と労働生産性アップ
⑤都市型店舗最適化
⑥リアル店舗の強みを活かした当社独自のEコマース事業等


新型コロナウイルスの対応

冒頭でも伝えましたがヤマダ電機も新型コロナウイルスの影響を大きく受けています。
この状況の中、特に実施したことは大きく2点。

・営業時間の短縮
・新宿東口店や秋葉原店の閉店損失など将来を見据えた資産効率向上への改革費用を特別損失で計上

特に都心部の店舗は外出規制などで大打撃を受けています。
そこで今後も以前の状態に戻るのは相当な時間がかかり、さらに、以前と全く同じような状況下で営業できるとも限りません。
そこで、都心部の大型店舗の見直し、EC強化、住宅・家具事業の強化を実施していくようです。

まとめ

家電量販店の事業を主軸に、住宅・リフォーム・家具・インテリア・生活用品などをワンストップで提供できるお店へ向かっています。「暮らしまるごと」をコンセプトに、「生活基盤産業としての新しい業態」を推進していくことを決算報告書内でも述べています。

特に住宅事業に関しては今年に入って2社の買収し、来期の売上高を約3,000億円以上を見込んでいるようです。

ヤマダ電機はマーケティングでいうクロスセルを巨大な金額規模で実現しようとしています。

実際に店舗へ来店された方も多いかと思います。
店舗には家電だけはなく、キッチン用品やインテリア用品、飲食類や日用品なども取り揃えており、店舗に行くだけで生活が成り立つ作りになっていることにお気づきでしょうか。

業界トップだからこそ、あとを追う会社の追随を許すことなく次のステップへと挑戦し続ける。

「とりあえずヤマダ電機に行けばなんとかなる」

消費者にこのような認識になっていく日も近いのではないでしょうか。

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