スタバから知った日本の国産木材に潜む問題と期待
2020年11月25日。
近所にスターバックスがオープンしました。
※以下「スタバ」と表記
オープン直後は混み合うと想定。
なので、少し時間を開けてこの前いってみました。
外観はこちら↓↓↓
木を全面的に押し出す造りです。
特に象徴的なのが駐車場にある樹齢約300年のクスノキ。
近年、スタバでは木造店舗をはじめ、木材を積極的に活用した店舗づくりを推進しているみたいです。
他にも、2020年3月に長野県の善光寺付近に「スターバックス コーヒー 信州善光寺仲見世通り店」をオープン
同じく2020年3月に群馬県の敷島公園内に「スターバックス コーヒー 敷島公園店」をオープン
2021年3月に三重県の伊勢神宮近くに「スターバックスコーヒー 伊勢 内宮前店」をオープン
いまやスタバは日本に進出した当初の「都会っぽいスタイリッシュな雰囲気」というよりも、木材の温かみを与えるどこか日本っぽい店舗が増えています。
しかし、疑問に思ったことがひとつ。
なぜスタバは木材を強調した店舗をオープンしているのか?
もちろん、新たな客層やスタバから離れた顧客の再誘導のために増やしていることも考えられます。
ただし、それだけではないはず。
ということで調べてみました。
戦後の日本の人工樹林の植樹施策
実は近年の日本では国産木材の自給率が減少しているらしいです。
簡単に言うと国土面積の2/3が森林のいわゆる「森林大国」の日本で国産木材が余りまくっています。なので各地で森林伐採が起こっています。「森林伐採」と聞いて悪いイメージを思い浮かべる人が多いと思います。
しかし、全てが悪いというわけではありません。
森林が増えまくった今の日本では逆に森林伐採をしないと土壌の悪化による土砂崩れや獣害が起こりやすくなります。
細かい専門的な話は割愛しますが、樹木が密集して太陽の光が根まで届かなくなると、根は痩せて土壌が悪化していきます。それを防ぐために手入れとして森林伐採は必要不可欠です。
特にニュースなどで取り上げられていないので一般的な認知はされていないでしょうが、実は林業界隈ではこの増えすぎた森林が問題になりつつあります。
何が問題なの?
話は戦後までさかのぼります。
戦後の日本は物資不足で資材や燃料として全国各地で過度な森林伐採により、山から木が消えました。
そして、台風などで本来であれば防風林として我々を守ってくれるはずの木がないので、日本各地で甚大な被害が各地で発生。
さらに、当時の日本は戦後の復興期で、マイホーム需要の増加で木材の需要が高まりました。
ここに目をつけた日本政府は幅広い用途に使えるスギなどが好んで植えられたんです。その結果、現在は森林の約4割が人工林、さらにその約4割がスギ人工林となっています。
この時の植樹が近年の花粉問題を引き起こしていると言われています。
※諸説あり
見通しが外れた格安の輸入材木とコンクリート
ここまでの話で疑問が浮かぶはずです。
マイホーム需要とかが高まっているんだったら、
植樹した分を供給できたのでは?
日本政府も無計画に人工樹林が増やしたわけではないでしょ?
そもそも、なんで木が余っているの?
と考えるのが普通です。
僕もそう思いました。
しかし、高度経済成長期以降にも需要が拡大すると見込んでいた国産樹木ですが、国外の格安な木材や耐熱性のあるコンクリートの供給によって需要が激減しました。
結果、日本の木材自給率は年々低下。
※引用元:林野庁「木材供給量及び木材自給率の推移」より
2000年に入ったあたりから無機質なコンクリートではなく木材に対する「温かみや日本らしさ」を求めた需要が高まり、木材自給率は上昇傾向にあります。
さらに、海外でもコロナによりマイホームやリフォームの増加で木材の需要が高騰しているそうです。コロナに入ってから今まで多くのハウスメーカーが頼りにしてきた海外の格安な木材が一気に値上がりしています。
いわゆるウッドショックというやつです。
最近はニュースで取り上げられており、耳にしたことがある人も少なくないはずです。
https://this.kiji.is/768682818356707328?c=39546741839462401
そこでスポットライトが当たったのが余っている国産樹木。さらに、スタバのような飲食店だけではなく大型商業施設や介護施設、行政管轄の施設などで積極的に木材を使用した施設の建設が行われております。
日本人が本来馴染みのある「木の空間づくり」の需要が高まってきています。
あとがき
気になった情報を深堀りしていくと面白いですね。
スタバの木材建築
↓
なぜ?
↓
木を積極活用
↓
なぜ?
↓
日本の木材が余っていることが問題視
↓
なぜ?
↓
戦後の植樹施策で人工樹林が増加
といったように気になった情報を深堀りしていくと、思いがけない情報と遭遇します。おこがましい話かもしれませんが、このような形で教養って構築されていくんだなぁと。
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