写真家A to Z Christopher wool
この写真家A to Zでは映画監督や画家が撮った写真集を紹介することがあるが、今回も画家、Christopher Woolの「Road」という写真集を紹介したい。Christopher Woolのことを知ったのは1998年のLAでの大規模な展示のカタログを当時買った時からだ。2000年前後の当時は、スケーターや、グラフィティ・ライター界隈では、これからはステンシルをつかうのがかっこいいと言っていた頃で、そんなこともあってずっとChristopher Woolはとても若いアーティストだと思っていた。しかしあらためてしらべると1955年生まれ、僕よりも15歳も上だった。もともと彼の得意とする作風は現実世界、特に身の回りにある現実をピックアップして作品化するスタイルだ。カーテンの柄のようなものを白キャンバスに黒インクで重ねたようなものや、同じく白いキャンバスに黒インクで大きくのせた看板のメッセージなどの言葉の断片はとてもかっこよかった。メッセージとヴィジュアルを統合させたアーティスト、Rushaや、ジェニー・ホルツァー、バーバラ・クルーガーなど少なからずいるが、いずれもクールでかっこいい。僕の中ではChristpher Woolもその一員だ。
そのモノクロのペインティングの世界が写真集として最初に出たのが、2004年のEast Broadway Breakdownだが、それからまた2017年に同じ出版社から出たのが「ROAD」だ。同じ時期「WESTTEXASPSYCHOSCULPTURE」というのがあって、これもすばらしい。彼は今マーファとニューヨークをいったりきたりしているということだが、マーファの有名アーティストは今は亡き巨匠ドナルド・ジャッドだけではない。
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若木信吾の「つかずはなれず」写真講座
写真家の若木信吾です。 写真に関するあれこれです。写真家たちのインタビューや、ちょっとした技術的なこと、僕の周辺で起こっていること、それら…
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