44歳の酒飲みアーティストが神々の宿る壱岐で海洋ごみから生み出した海龍イキサウルスを海へ戻し浮かべて遊ぶ!?〜中編 vol.1〜
「対馬の海洋ごみ問題を知り得た事で起きた心境の変化!?」
前回、対馬からやってきた環境アドバイザーとの対話を通して海洋ごみ問題の実情を知る事が出来ました。ちなみに対馬は、島の周囲が複雑に入り組んだリアス式海岸と言う地理的な理由から人が海岸へ出向き漂着ごみ回収をするよりも漁業者が船上から海洋ごみ回収をするのが一般的だそうです。
そこで、一つ気になったのが…
対馬は膨大な量の海洋ごみを船上から漁業者が回収するために自治体では
具体的にどういった施策を打っているのか?と言う素朴な疑問です。
どういうことなのか?
それは…
まず初めに国(環境省) → 自治体(長崎県)へと海洋ごみの回収・処理等を行うために予め組まれた、まとまった予算(補助金)が割かれます。そこからさらに壱岐市や対馬市を含めた各地域別へと予算が割り振られます。その後、各市役所が地元の漁業関係者へ海洋ごみ回収の業務委託として仕事を発注する事で島民への雇用を生み出しているのです。
私は対馬での海洋ごみ問題の実情を知り得た事で、今回の壱岐での海ごみアートプロジェクトに対する並々ならぬ熱意を胸に抱くと共に…
過去の自身のアーティスト活動では、自己完結 → 自己満足の領域に踏みとどまるばかりで世間への興味や関心が希薄だった… そんな理由から積極的に向き合おうとしなかった社会問題 (地球規模での海洋ごみ問題「SDGs目標⑭ 海の豊かさを守ろう!」)と言う未知なる創作コンセプトを壱岐のアーティスト・イン・レジデンスで掲げた事によって…
人を巻き込んで自身の知的好奇心が刺激され満たされる新体験(新しい挑戦)がしたい!
自己完結で淡々と終わっていく無感情・無感動な活動を無意識の内に繰り返してきた日々… そんなこれまでの小さくまとまっていた視野の狭いアーティスト活動から卒業したい!
壱岐へやってきた数日後に海洋ごみ問題を巡り対馬の環境アドバイザー及びikibase関係者との勉強会をした事がきっかけで心境の変化が起こりました。
「壱岐の海岸で漂着ごみの清掃活動に参加する!?」
さあ、壱岐でのアーティスト・イン・レジデンス「海ごみアートプロジェクト」を始めよう!
とりあえずは…
壱岐の海岸で漂着ごみの清掃活動をされている島民の方と一緒に作業をしながら話を聞く事にしよう!と言う事で向かった先は、事前調査で訪れたことのある清石(くよし)浜海水浴場。
この海岸では定期的に漂着ごみの清掃活動が島民によって行われているおかげでビーチが綺麗でした。又、袋に詰められた漂着ごみが一箇所にきちんと整理されている事から行き届いた清掃活動をされているのが一目見てわかります。後日、役所が溜まった漂着ごみを引き取りにきて処分場まで運び出すそうです。
私が清掃活動に参加した際、3人の島民が作業をしていました。もちろん、作業とは言っても有志のボランティアではなく… 対馬同様、役所からの漂着ごみ回収の業務を正式に請け負った作業です。
ちなみに漂着した自然物の海藻は一箇所に集められた後、スコップで穴を掘った中に入れて埋めて処分していました。
ちなみに作業は、一ヶ月に15日程(月〜金)されているようです。
「あれっ! 壱岐では… 対馬みたいに船上から漁業者が海洋ごみの回収作業をしないんですね?」
はい! 事前視察で海岸を車であちこち行ってみた結果… 壱岐は、砂浜(ビーチ)が多い島だと言う事がわかりました。
そう言う壱岐の地理的な理由から簡単に海ごみアートの作品素材(漂着ごみ)を島内に多数ある砂浜でGETできる!と言う確信へと変わった事が、今回の壱岐でのアーティスト・イン・レジデンスを実現可能にしたと言えます。
「大浜海水浴場にて漂着ごみの回収及び清掃活動をスタート!」
清石浜海水浴場での清掃活動を終えた私は、滞在中のikibaseから徒歩10分圏内にある大浜海水浴場へ海ごみアートの素材に使えそうな漂着ごみの回収及び清掃活動をしに行きました。
海岸に着くと砂浜は綺麗で思っていたほど漂着ごみは流れ着いていませんでした。
壱岐は島の東西南北各所にある海岸によって風向きや潮流の影響で流れ着く漂着ごみの量には、多少の差があります。
「あれっ! おかしいな〜? こんなはずはない!!」
そう思いつつ左右に距離のある大浜海水浴場の砂浜を歩いていると…
「あったぞ!!!」
大中小… 様々な大きさの漂着ごみが流れ着いていました。
砂浜を歩いていたら遠目に見えて気になった…
謎のオレンジ色の物体?
その正体とは??
鮮やかなオレンジ色のナイロンカバーに包まれた発泡スチロール製フロート!
What is this ?
発泡スチロール製フロートとは…
マグロやハマチなど魚の養殖生け簀やノリ養殖の網を固定する際に使われる
大きな浮きの事です。
そんなオレンジ色のフロートを一目見た瞬間…
「これは使いたい!!!」
持参したハサミでフロートをがっちり固定していたロープを切断し… 無事に回収作業完了!
「お宝… GETだぜ!!!!」
「雫型の青いプラスチック製フロートかな? Kawaii♡」
「部屋のインテリア照明にDIYしたら可愛く♡生まれ変わりそう!」
「韓国から流れ着いた漂着ごみ… 見〜つけた!」
この岩に絡み付いた綱は、力いっぱいグイグイ引っ張っても頑強過ぎて
ビクともしません。
人目につかない奥の入り組んだ岩場に溜まった大中小… 様々な漂着ごみを
1時間かけて見晴らしのいい場所まで運び出しました。
場所を移動し… 1時間かけて拾い集めた漂着ごみは膨大な量になりました。
ikibaseから近い大浜海水浴場で漂着ごみの清掃活動及び、海ごみアートの作品素材に使えそうなお宝の回収作業に集中した結果…
色々なお宝をGETする事が出来ました!
「どんなお宝をGETしたの???」
上述したフロートを含めたお宝を紹介していきます!
それでは早速、見ていきましょう!
「大浜海水浴場でGETしたお宝とは!?」
日が暮れる前にikibaseへ戻るとすぐに…
シャワールーム横に併設されたアトリエに行きました。
「GETしたお宝をどうぞ、ご覧下さい!」
「炊きたてご飯で作った? 超特大・爆弾オニギリ?? 一丁あがり!!!」
噓つけ、食べろよ。
・・・
「空いた穴に特大の梅干しを詰めてっと!」
もうええて。
・・・
今この瞬間、自己と対峙する静かな一時を…
一人アトリエで過ごす… 44歳 酒飲みアーティスト。
サメの歯?を彷彿とさせる漂着ごみの正体は、何と…
ビーサンを工場で作る際に出たゴム素材の余りです。
恐らく、韓国・中国の生産工場から対馬海流に乗って流され壱岐へ漂着した海ごみなのでは?と私は推測します。
このビーサンの余りは、海ごみ海龍・イキサウルスの歯に使います!
「ドラえもんの鈴型フロートかな?」
「海中でサメに引きちぎられたんかいな!?」
「韓・流・生・茶?」
「子供がおもちゃ箱をひっくり返したような散らかった感じと色鮮やかな海ごみにワクワクします!」
ゆ〜け〜♪ ゆけ〜♪ ハッ〜チ〜♪ みつばちハッ〜チ〜♪ (みなしごハッチ)
お宝の発泡スチロールからオレンジ色のナイロンカバーを取り外して綺麗に水洗いします。
圧倒的存在感を放つ海ごみ海龍・イキサウルスを壱岐で生み出すためには、このナイロンカバーが欠かせません!
今回はこれにて終了…
次回、中編 vol.2では… いよいよ始まるikibaseアトリエでの創作活動について詳しくお届けします。