44歳の酒飲みアーティストが神々の宿る壱岐で海洋ごみから生み出した海龍イキサウルスを海へ戻し浮かべて遊ぶ!?〜後編 vol.1〜
「海ごみアートプロジェクト⑤ カラフルな漂着ごみを取り付ける!?」
無価値の漂着ごみだった発泡スチロール製フロートの塊から… イキサウルスのビジュアルをイメージしながら削り出し、研磨スポンジで軽く表面を磨き成形する事で量感ある造形物へと生まれ変わりました!
「足を広げたコウイカみたい!」
そんなふうに見えなくもない面白いビジュアルですが、もちろん現段階の造形物ではまだ… 無から有を生み出せた!とは言えません。
ここからさらに創作工程が進むにつれて徐々に海龍イキサウルスの全貌が、明らかになっていきます!
成形し終えたイキサウルスの頭部に拾い集めたカラフルな漂着ごみを取り付けていくデコレーション作業を進めていきます。
Q:どんな漂着ごみなの?
A:ペットボトルキャップ , マイクロプラスチック , ポリタンクの蓋 , 漁具フロート(浮き) です。
Q:カラフルな漂着ごみを取り付けて何を表現するの?
A:イキサウルスの眼・鼻孔・歯・付着したフジツボ(柄模様)です。
Q:どんなふうに取り付けていくの?
A:それは…
ペットボトルキャップ , ポリタンクの蓋 → 木工用ボンドを内側に塗った状態から発泡スチロール表面にあけた穴へ埋め込む。
漁具フロート(浮き) → ノコギリでカットした断面に木工用ボンドを塗った状態から発泡スチロールの表面に埋め込む。
マイクロプラスチック → 木工用ボンドを塗り付けた上に軽く指で乗せる。
ちなみに… イキサウルスの眼のアクセントに取り付けた自然物(マツバガイの貝殻)は、大浜海水浴場の砂浜を散策中に偶然見つけてGETしたお宝です!
こんなふうにカラフルな漂着ごみを白い発泡スチロールに取り付けていくデコレーション作業は、例えるなら…
白いキャンバスの上にカラフルなアクリル絵具をのせていく絵画制作。
・・・
漂着ごみの色そのものを利用すれば、アクリル絵具で着彩しなくても
「これって色を塗ったんだよね?」と見た人をビックリさせられます!
・・・
イキサウルスの創作工程でアクリル絵具は使いません!
なぜなら…
漂着ごみの色だけで、存在感あるイキサウルスを表現できるから!
色を塗ったような鮮やかさで見映えするから!
「海ごみアートプロジェクト⑥ 漂着ごみのナイロンカバーを再利用!?」
ここで一旦、これまでの創作工程を振り返ると…
① 漂着ごみの発泡スチロール(フロート)を削り出す!
↓
② 穴をあけ貫通させた発泡スチロールに漂着ごみの竹を骨組みに通す!
↓
③ 削りカスの粒子を混ぜ合わせた木工用ボンドで各造形パーツを接着する!
↓
④ カラフルな漂着ごみをイキサウルスに取り付けていく!
そして、頭部から胴体 → 背びれ → 尾の順番で漂着ごみのデコレーション作業を進めていくわけですが同時進行で…
発泡スチロールの剥き出し部分を色で埋める作業をしていきます!
もう一度、言いますが…
イキサウルスの創作工程でアクリル絵具の着彩はしません!
そこで、色を表現するために使うのが…
漁具の発泡スチロール製フロートを包んでいた鮮やかなオレンジ色のナイロンカバーです!
あのナイロンカバーの漂着ごみが実は、圧倒的存在感を放つ海龍イキサウルスを生み出すために… なくてはならない特別な材料だったのです!
大浜海水浴場にて岩礁にロープが絡み付いていた状態で見つけた際、目立つオレンジ色のナイロンカバーにハングル文字が表記されていました。
見た瞬間…
「おもしろい!これはイキサウルスの表皮を表現するのに使いたい!」
そして今、ようやく漂着ごみのナイロンカバーを使う時がやってきました。
どう使うかと言うと…
まずは綺麗に水洗いした後、ハサミで小さく切っていきます。
それからイキサウルスの剥き出しの発泡スチロール面に木工用ボンドを刷毛で塗り付け… 隙間無く貼付けていきます。
かなり根気のいる長時間作業なだけに途中で集中力が切れそうになります。
ですが… この地味な作業を丁寧にコツコツ仕上げていかないと完成後、イキサウルスが見映えしなくなるため雑な作業はNGです!
こうしてひたすら、明くる日も明くる日も…
丁寧に、丁寧に…
集中力を切らさず…
全神経を手元に全集中する作業が続きます。
・・・
「ハァ〜、まだ昼間なのに活動燃料の焼酎が底をついてきたな。」
「早く夜になれ! 焼酎湯割りが飲みたいねん!(泣)」
・・・
「とりあえず、刷毛を持つ右手の震えはなし! アル中じゃない!」
そう言えば…
海外からの観光客で外国人ファミリー (北欧出身の父・マレーシア人の母・ハーフの息子)が、数日間… ikibaseゲストハウスに滞在していた時にこんな出来事がありました。
最終日… 宿をチェックアウトした後、アトリエにひょっこり顔を出してくれた外国人ファミリーの父と息子。
・・・
「息子は将来、アーティストになるんだ!」
そう、誇らしげに息子の将来を語る父…
そして、将来アーティストになるだろう息子は…
地味な張り付け作業に無言で全集中。
その様子を見て、じわ〜と心和む…
44歳酒飲みアーティスト。
帰りしなに、アトリエから…
心和ませてくれた父と息子に向かって…
「Have a nice day !」
すると…
「Have a nice day, too!!」
・・・
さ〜、集中するぞ!
そんなアトリエでの心和む出来事に癒されました。
「海ごみアートプロジェクト⑦ 葛藤する自分から童心に立ち帰った44歳酒飲みアーティスト!?」
今回の海ごみアートプロジェクトを進めるにあたり私の中でアーティストとしての創作活動に対する心構えが、これまでとは全く違いました。
ここから少し話の流れが本題から逸れます。
どういう事かと言うと…
過去の自分:
アートの公募・個展・アートフェアなど現代アートの大人の世界の中で芸大卒アーティストの私は、業界から高い評価を得てスポットライトを浴びるに値する特別な人間じゃないといけないんだ!現実そうならないと… 自分で
自分の存在価値を分かってあげられないから!
そんな強過ぎる自尊心と思い込みで自分の心を縛り付けていたせいで、いつの頃からか創作活動をしていても…
若かりし20代前半だった芸大生時代の私が、日々感じていた純粋な子供心「おもしろそう!やってみたい!楽しそう!ワクワクする!」よりも…
「クオリティーの高い超カッコいいARTを生み出して周囲の大人達をアッと言わせてやる!」「今に見とけよ!」と言う歪んだ自尊心が勝ってしまった結果、本来の純粋無垢だった自分を見失い迷走する行き当たりばったりな孤高の人生を歩み続けてきました。
「正直、過去の自分… ガチで超しんどいんですけど!」
「もうマジ無理なんで… 仮面を付けた過去の自分… 辞めていいっすか?」
こんなふうに私の心は、身体に向かって必死にSOSを出し続けていた事に
やっと気付きました。
・・・
「いつまで自分の心に嘘を付き続けるねん!」
「いい加減にしろよ!」
・・・
「お前が心から本当にやりたいことをちゃんとやれや!(怒)」
「童心に帰って… 自分ワールドを包み隠さず全開しろよ!」
「才能・センス・独自の世界観の出し惜しみをするな!」
「お前の中のインナーチャイルドが、号泣してるぞ!」
「ホント言うと… 自分の実力の半分もまだ、現実世界で出し切れてないだろ?」
「だから、いつまでたっても… モヤモヤした憂鬱な気持ちが晴れないんだよ!」
「お前の真の実力は、こんなもんじゃないだろ!?」
「あと、それと… 他人と自分を比べるな!はっきり言って、他人なんて
二の次なんだよ!どうでもいいんだよ!」
「他人に対して怒りや不満を感じたんだったら、その場で素直に伝えろ!
そうやって、いつも他人の顔色ばかり伺って自分の負の感情に蓋をして我慢し続けてるとガチで… 鬱病を患っちまうぞ!」
「そうなったら… 取り返しがつかないだろ!生き地獄だぞ!」
「自分に与えられた人間としての限られた時間を粗末に使うな!」
「誰にでも良い顔をしようとするな!そんなのは、はっきり言って…
自分が苦しいだけの取り越し苦労に過ぎないんだぞ!」
「まずは誰よりも… 自分の事を愛♡して , 労って , 信じて , 優先してやれよ!」
「超自分大好き♡人間になれよ!他人の世話焼きするのは… その後、余力があったら好きなだけすればいい!」
「自分の事を第一に愛して , 労って , 優先できない人間が、他人の役に立ちたいからって空元気で頑張っても… 実は心の奥底で相手に対し見返りを求めている偽善者にすぎないんだよ!」
「お前が本物のアーティストだと覚悟を持って生きるのなら… 何があっても他人からどう言われようと絶対に… 他人に遠慮したり , 優先したり , 考え無しで安易に譲ったりする様な… 自己犠牲な他人軸の生き方だけは、しちゃいけない!」
「今のうちから言っておくぞ! 年老いたお前が、枕元で人生の終焉を迎える瞬間… ハァ〜、もっと我がままな素直な子供の自分で… パワー全開で… 他人の眼なんか一切気にせず… おもしろおかしく生きておけばよかったな〜(涙) な〜んて… 後悔をしないためにも。」
「今までの凝り固まった昭和〜平成までの古臭い時代遅れな価値観で何とか生かされてきた偏屈な自分を変えないと… 理屈っぽい頭でっかち頑固ジジイのなんちゃってアーティスト?で残念な晩年を迎える事になるぞ!」
「44歳の今が過渡期なんだよ! 人生の岐路に立たされてんだよ!!」
「もう… 分かってるよな?」
「じゃあ、さっさと… 今やりたい事を童心に帰って楽しめよ! 」
「ワクワクしていた幼少期の虫取り少年に戻って、魂を喜ばせてあげろよ!」
「 一度きりの人生… 楽しんだもん勝ちなんだからさ!」
・・・
今の自分:
海辺で拾ってきた漂着ごみのルアーを…
「イキサウルスの尾ひれにぶっ刺してっと!」
「うん、おもしろい!!」
「考えるな! ワクワクしながら手を動かして… どんどん遊べ!」
まだ未完成の途中ではあるけど、もうこれって…
「無価値な海ごみから価値有るアップサイクルアートを確実に生み出しつつあるんちゃう!?」
「イキサウルスから落ちた影が、めちゃくちゃカッコいいんですけど!」
・・・
今回はここまで。
次回、後編 vol.2では… イキサウルスの胸びれパーツの削り出し→漂着ごみのデコレーション作業→胴体への接着作業までを詳しくお届けします。