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【初心者】LEDの抵抗が簡単に決まる!データシートを使った計算方法をやさしく解説

電子工作の第一歩として、LEDを光らせることが多いです。LEDと一緒に抵抗を使う必要があるのですが、

抵抗ってどうやって選ぶの?
抵抗値の計算方法が知りたい

と思う初心者の方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、LED回路で使う抵抗の計算方法について解説します。


はじめに

この記事では、OptoSupply社製のOSR5JA5E34Bを使って説明します。

5mmの砲弾型で、オーソドックスなLEDだと思います。秋月電子で数十円で手に入りますので、調べてみてください。

👆ではデータシートも公開してくださっているので、大変ありがたいです。

また今回はマイコンを使って光らせることを想定して、計算方法を解説していきます。

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YouTube動画

YouTubeでも、動画で分かりやすく、LEDの抵抗の決め方を解説しています。

LED回路とは

LED回路とは、LEDを光らせるための回路です。図のように、抵抗とLEDを直列で接続します。

電子工作でいうところの、Lチカ(LEDをチカチカ)回路ですね。最初の一歩として勉強します。

LEDに抵抗が必要な理由

結論から言うと、LEDに適切な電流を流すためです。

抵抗は電気を流れにくくする性質があります。言い方を変えれば、電流を調整する役割を持っているということ。

LEDには流してよい電流の最大値(定格電流)が決められていて、それを守るために抵抗が使われます。

もしこの抵抗がないとLEDにとても大きな電流が流れてしまい、ひどい場合はLEDが焼損してしまいます。

そのため、必ずLEDと抵抗をセットで使います。

LEDに必要な電圧と電流

抵抗の計算に入る前に、少しだけ前提知識をおさらいします。難しい話ではないので、気楽に読んでくださいね。

1. 順方向電圧 Vf(forward voltage )

LEDが光るために必要な電圧を順方向電圧といいます。Vfと表記するのが一般的です。

「順方向」というのは、電圧の向きのことです。

LEDのアノード(端子が長い方)からカソードに電気が流れている時、電圧は順方向に加えられています。

一方、その逆方向に電圧をかけた時を逆方向電圧と呼びます。電流は流れませんが、あまりに電圧が大きいと部品が壊れてしまいます。

2. 順方向電流 If (forward current)

順方向電圧が加えられた時に流れる電流を、同じく順方向電流 If と呼びます。

この順方向電圧 Vf と順方向電流 If がいくら必要なのかを調べれば、LEDを光らせるための抵抗を計算できます。

抵抗の計算方法

1. LEDの定格電流を調べる

データシート(仕様書)から、定格電流を調べます。データシートには次のような記載があります。

Absolute Maximum Ratings
DC Forward Current IF 30 mA

OptoSupply社製OSR5JA5E34Bのデータシートより引用

Absolute Maximum Ratingsとは日本語で絶対定格といいます。絶対定格とは絶対に越えてはいけない値のことです。

今回の場合、順方向電流は30mAを絶対に越えてはいけないことがわかりました。

2. LEDの Vf と If を調べる

LEDのデータシートから、Vf と If を読み取ります。データシートには次のように書かれています。

Electrical -Optical Characteristics(Ta = 25℃)
DC Forward Voltage VF IF=20mA 1.8(min.) 2.1(typ.) 2.6(max.) V

OptoSupply社製OSR5JA5E34Bのデータシートより引用

電圧に幅がありますが、今回はtyp.の値を読みましょう。
(typical = 典型的な、通常の)

つまり、

順方向電圧 Vf = 2.1 V
順方向電流 If = 20 mA

ということが分かりました。

3. オームの法則から、抵抗を求める

分かったことを踏まえて、👆のような回路を考えます。

回路に加える電圧は、例えば今回は5Vとしましょう。
(=Arduino UNO の出力電圧)

回路全体に加える電圧は5.0V、LEDで使う電圧 Vf は2.1Vなので、抵抗にかかる電圧V_Rは

5.0 - Vf = 5.0 - 2.1 = 2.9 (V)

になります。

また直列接続なので、LEDに流れる電流 If は抵抗にも流れます。つまりLEDの順方向電流は20mAなので、抵抗にも20mA流れるはずです。

抵抗にかかる電圧と電流が分かったので、オームの法則を使えば抵抗値が求まります。

V=I × R(オームの法則)

R=V÷ I=2.9 ÷ 0.02= 145(Ω)

ということで抵抗値が求まったのですが・・・ちょっと待ってください。

この抵抗値をそのまま使ってはいけません。それを次にご説明します。

計算値をそのまま使ってはいけない理由

1. 抵抗の定格電力を考慮していない

LEDにも定格があったように、抵抗にも定格があります。

一般にスルーホールタイプの抵抗の定格電力は、

  • 1/2W(500mW)

  • 1/4W(250mW)

  • その他

が多いです。仮に抵抗145Ωに20mA流れると、消費電力は👇のようになります。

R×I×I=145×0.02×0.02=0.058=58mW

使う際には、お持ちの抵抗の定格電力がどれくらいかを調べておきましょう。その半分以下の電力になるように、使う必要があります。

主観ではありますが、電流20mAは流しすぎかなと思います。そんなに流さなくてもLEDは十分に光ります。また電流は少なければ少ないほど、省エネだったり、熱が少なかったりとメリットがあります。

2. まぶしすぎて目に悪い

最大の理由は、👆のようにめちゃくちゃまぶしいからです。

だいたいのLEDでこの現象が起き、すごく目に悪いので注意してください。また、絶対に真似しないでください。

*LEDを見る際は真上から見ずに、離れて横から薄っすらと見ると安全です。

では抵抗値をどうするのか?について、次に説明します。

計算値の100倍から試す

あくまで経験則ですが、計算した抵抗値の100倍から試すことをお勧めします。

そこから徐々に下げていって、自分に適した値を探してください。

筆者の場合、10kΩが丁度いいと感じたので、10kΩを使いたいと思います。個人差がありますので、ご自身の感覚に合わせて選んでみてください。

電流もかなり小さくなるので、消費電力的にも有利です。

LEDを光らせてみよう

回路の配線

選んだ抵抗(10k)とLEDを使って光らせてみましょう。👆の図のように配線し、Arduino UNOの信号を使って光らせます。

プログラム

👇は基本のLED点灯プログラムです。回路とプログラムの見直しが終わったらArduinoにプログラムを書き込み、LEDが点灯すれば成功です!

*注意事項をよく読んだ上で、ご使用ください。

//当Webサイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いません。
//当webサイトの免責事項に同意いただける場合に限り、プログラムをご利用いただけます。

#define LED_PIN 8 //LEDがつながっているピン

void setup() {  
  pinMode(LED_PIN, OUTPUT); //ピンを出力に設定
}

void loop() {
  digitalWrite(LED_PIN, HIGH); //LEDを点灯
}

おわりに

いかがだったでしょうか。

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今回は、LED用の抵抗の計算方法について解説しました。絶対に覚えておいてほしいことは👇の通りです。

  • 計算値をそのまま使ってはいけない

  • まぶしくて目に悪いから

安全に電子工作を楽しんでいただくためにも、慎重に抵抗を選んでみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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