笑てもて…宮島 2020秋
渋沢栄一、明智光秀、西郷隆盛と言えば
大河ドラマ。
冒頭の画像は、その中でのワンシーンに
チャレンジしてみた現存するアホな親子。
画策したのは、アホな息子55歳。
わたくし本人。
背負われているのは、二度のガンから
生還した凄まじい生命力を持った
アホな母文子79歳。
ロケ現場に選ばれたのは
広島県廿日市市宮島の厳島神社。
御社殿のすぐそばの木陰。
ちよっと恥ずかしかったから。
話しは一昨年の2019年にさかのぼる。
その年の6月に母の16年ぶり2回目の
ガンが発覚。
一度目は鎖骨らへんのしこりから
始まったリンパの。ステージ4に近い3。
もうあかんなって思ってた。
なぜかしら、どの仙豆が良かったのか
わからんけど見事復活。
そして今回は腸。上行結腸ガン。
ステージ3。
7月に手術。お盆前には自宅に帰ってきてた。
その頃の大河は西郷隆盛「せごどん」?
鈴木亮平さん演じる西郷吉之助が
松坂慶子さん演じる
母を背負って海の近くで背負ったままで
お別れするというシーンが放送された。
なんか知らんけど、目に焼き付いた。
そう言えば、生まれてこのかた一回も
母を背負う事はしたことがない。
自分は小さい頃に背負ってもらったけど。
もうそないいうても、年も年やし
親子で一緒に何処かへ行くのも
そう何回もできんやろし。
車にずっと乗ってるのもしんどそうやし。
なるべく早いうちに、生きてるうちに
一回でもええから背負わせてもらおう。
そして、「オカンありがとう」と伝えよう。
と画策した。
離婚も経験した今なら自由に動けるし。
どっか行きたいとこあるか?
宮島行きたいわ。
フェリーで渡って本殿行きたいわ。
えっ?大丈夫なんか体。
片道三時間半くらいかかるし
向こうは歩かなアカンで。歩けるか?
親父も歩けるんか?
頑張るわ。わかったほな行こか!
話しは行く方向ですぐ決まった。
決行したのは翌年の11月13日土曜日。
オカンの体調回復、コロナ禍始まる
僕の仕事の都合もあり、やっと現着。
お陰様で天気も抜群。気分も良好。
朝9時頃のフェリーに乗船した。
まだ、背負わせてとは伝えてない。
そろそろ、あの鳥居が見える頃やと
携帯出してカメラにして準備万端。
が、しかし
こらアカンわ。そら見えへんはずやわ。
僕の下調べ不足だった。
後に帰宅後、厳島神社のホームページを見たら
しっかりと書いてあった。
「大鳥居は十年に一度の工事中です」
まぁ来てしもたもんは仕方ない。
これに出会えたっちゅうのも何かの縁と
あきらめて…。
いよいよフェリーが到着した。
本殿に向けて地に足つけて親子みずいらずで
歩きはじめた。
足取り軽やかとは言えないが
ボチボチと前には進んでいる。
「あんなオカン、本殿についたら
どっかええ場所探して背負わせてくれや
せごどんのシーンにあったやつや
松坂慶子役してくれへんか?」
いきなり告白した。
「えええええっ ちょっと待ってよ
歩きながら考えるわ 恥ずかしいわ」
あの狛犬がおる台座の裏あたり
ええ感じやけどな と思いながら
見て通った。
本殿参拝and見学中!
めっちゃ景色ええ。
◇
「せっかくアンタがそない言うて
くれるんやったら、やってみよか。」
カメラマンは、すでに歩き疲れて
もうはよ帰ろって言わんばかりの
オヤジ。コウジ。弘治80歳。
不安まみれのヨタヨタカメラマン。
大丈夫かいな?
さっきの狛犬の所ではないが
ちょうどええ石段あるがな!ここにしよ。
木陰もあるし海沿いやし。
というわけで、人通りがもうちょっと
少なくなるまで、ちょい一服中の母。
コロナ禍もあり、例年の1/3程の人出やと
聞いたが、それにしてもメインストリート
は結構な人。行列。
そろそろ、ええかも!
いけるか親父カメラ?
オカン石段の上でスタンバイ!
それっ いくで! 今や!
テイク① せぇぇの!
撮れたか?なんじゃこれ?
どないして撮ったらこうなるん?
お前の携帯やし、もひとつやり方が……
ごじゃごじゃ言い訳すなや
さっき教えたやろがい アホか!
平清盛さんのところで源氏と平氏ならぬ
上村家の乱発生中¥&#@/¥*?;#%:-"&
テイク② ぬかるなよおぬしども
いくで せぇぇの!
背負った瞬間、今度は二人共にワロテもた。
写真では嬉しそうに見えるだろうが
母のマスクの奥からは、ゲラゲラ笑い声が
聞こえていた。
ごめんな~ せっかくアンタが背負うて
くれたのに しんみりせなアカンのに
ワロてまうわ 笑てまうわ
松坂慶子さんみたいになれへんわ
ほんまやな。僕もワロてもて
アカンわ もっとヒデキ感激で
しんみりと親子の時間になるはず
やったのにな。
実際やってみたら思うな~
俳優さんはすげぇ~わ。
本物の親子でも笑てまうのに
もう一回だけやってみような
全集中母子の呼吸で!
よし!今や! テイク③
せーの!
あっ アカンわ………。
テイク③であきらめました。
どうしても 笑てまうわ~ 帰ろか。
ちなみに、帰りに原爆ドームの前も
通ったが、なんとこっちも工事中で
大鳥居のように足場と白いネットで
覆われていた。
奇跡的な縁だった。
ようやく母にありがとうと言えたのは
約四時間かけて帰宅してからだった。
その日の事を振り返りながら……。
結局、笑てもたけど、俳優さんには
かなわんけど、自己満足はしている。
そんな自己満足に付き合ってくれた
オヤジ、オカン ありがとう。
最後に、
その日の写真の裏に
チヨットは喜んでくれてたみたい。
以上 笑てもて…宮島
上村家珍道中でした。 おわり。