「図解入門ビジネス QC七つ道具がよ~くわかる本」で学ぶ第2回:「パレート図の基本的な使い方と実務での応用」
1. はじめに
みなさん、こんにちは。前回は「QC七つ道具とは?」をテーマに、業務改善の基本とQC七つ道具の概要を学びました。
今回は、その七つ道具の一つである「パレート図」を取り上げます。パレート図は、最もインパクトの大きい問題箇所を特定し、効率的な改善策を講じるために役立つツールです。本記事では、基本的な使い方と実際のビジネスシーンでの活用事例をご紹介します。
2. 主要内容:パレート図の基本的な使い方とその意義
パレート図とは?
定義
発生件数やコストなどのデータを多い順に並べ、棒グラフとして可視化し、さらに累積比率を折れ線グラフで示す手法です。狙い
「少数の要因が大きな問題の大部分を占める」というパレートの法則(80:20の法則)を、視覚的に捉えられるようにすること。
作り方
データ収集
分析対象となる数値データをまとめます(クレーム件数、不具合数、修理コストなど)。
グラフ作成
横軸に項目名、縦軸に件数や金額を棒グラフで表示。件数が多い順に並べるのがポイントです。
累積比率を折れ線で追加し、どの項目が何%に達するかを把握します。
分析
棒グラフと折れ線グラフを見比べ、限られたリソースで効率的に対処するべき項目は何かを見極めます。
意義
優先度設定の明確化
全体に対する各要因の影響度合いが一目瞭然になるため、最もインパクトの大きい要因を優先して対策でき、短期的な改善効果を期待できます。継続的モニタリング
対策を実施した後も定期的にパレート図を更新し、問題の順位や累積比率の変化を確認することで、改善効果を客観的に評価できます。
3. 実務での適用例
事例:コールセンターのクレーム分析
項目設定
クレーム内容をカテゴリ別に分類(商品不良、配達遅延、対応態度、料金トラブルなど)。
パレート図作成
1か月分のクレーム件数をカテゴリーごとに集計し、多い順に棒グラフとして並べます。
累積比率の折れ線を加え、どのカテゴリが全体の何割を占めるか可視化します。
優先度の決定
たとえば「配達遅延」が全体の約60%を占めていると分かった場合は、配送業者やプロセスの見直しを最優先で行い、クレーム全体を減らすことを目指します。
4. 応用情報技術者試験との関連
応用情報技術者試験では、品質管理やプロジェクト管理の分野で、どのように問題点やリスクを抽出し、優先順位をつけて対策するかが問われることがあります。
パレート図は、代表的な品質管理手法としてしばしば出題されるため、基本的な作り方と活用方法を理解しておくと、試験での得点につながります。
5. まとめと次回予告
パレート図は、「いくつもある問題点の中から、どこにフォーカスすべきか」を見極めるのにとても便利なツールです。限られた資源を効果的に使い、短期間で大きな改善成果を得たいときに活用してみてください。
次回は「ヒストグラム」を取り上げ、データのバラツキや分布を把握する方法を解説します。製造業やサービス業でも頻繁に用いられる基本的な手法ですので、ぜひお楽しみに!