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「図解入門ビジネス QC七つ道具がよ~くわかる本」で学ぶ第8回:「FMEAの基本的な使い方と実務での活用」
1. はじめに
みなさん、こんにちは。本シリーズでは「QC七つ道具」を一つずつ取り上げ、業務改善や応用情報技術者試験対策に役立つ情報をお届けしてきました。
前回は「層別」について学びましたが、今回は「FMEA(Failure Mode and Effects Analysis)」をテーマにします。FMEAは、製品やプロセスにおける潜在的な故障モードを事前に特定し、その影響を評価して対策を講じる手法です。本記事では、FMEAの基本的な使い方と実務での具体的な活用方法について詳しく解説します。
2. 主要内容:FMEAの基本的な使い方とその意義
FMEAとは?
定義
FMEA(Failure Mode and Effects Analysis)は、製品やプロセスにおける潜在的な故障モードを体系的に分析し、それらが引き起こす影響を評価して、リスクを低減するための対策を立案する手法です。狙い
潜在的な問題を事前に特定し、重大な影響を及ぼす故障モードに優先的に対策を講じることで、品質の向上とコストの削減を図ります。
作り方
対象の選定
分析対象となる製品やプロセスを選定します。例えば、新製品の開発プロセスや既存製品の製造プロセスなど。故障モードの特定
各コンポーネントや工程で発生しうる故障モードを洗い出します。ブレインストーミングや過去のデータ分析を活用します。影響の評価
各故障モードが引き起こす影響を評価します。通常、「重大度(Severity)」で評価し、1(低)から10(高)までのスケールを用います。原因の分析
各故障モードの原因を特定します。原因を明確にすることで、効果的な対策を立案できます。リスク優先度数(RPN)の算出
RPNは「重大度(S) × 発生頻度(O) × 検出可能性(D)」で計算されます。RPNが高いほどリスクが高いと判断され、優先的に対策を講じます。対策の立案と実施
高RPNの故障モードに対して、具体的な対策を立案し、実施します。対策後は再評価を行い、RPNの低減を確認します。
意義
リスクの事前管理
潜在的な故障を事前に特定し、対策を講じることで、重大な問題の発生を未然に防ぎます。品質の向上
故障モードごとの影響を評価し、優先度に基づいて対策を行うことで、製品やプロセスの品質を向上させます。コスト削減
問題が発生する前に対策を講じることで、修正コストやリコールコストを削減できます。
3. 実務での適用例
事例:自動車部品の製造プロセスにおけるFMEA
対象の選定
自動車のエンジン部品製造プロセスを対象とします。故障モードの特定
部品Aの溶接不良
部品Bの材質不均一
組立工程での部品Cの欠品
影響の評価
溶接不良
重大度(S):9(エンジンの性能低下)
発生頻度(O):4
検出可能性(D):5
RPN:180
材質不均一
重大度(S):7(耐久性の低下)
発生頻度(O):3
検出可能性(D):6
RPN:126
部品欠品
重大度(S):8(組立ラインの停止)
発生頻度(O):5
検出可能性(D):4
RPN:160
対策の立案と実施
溶接不良
溶接機の定期メンテナンスの強化
作業者への溶接技術トレーニングの実施
材質不均一
原材料の品質管理プロセスの見直し
材質検査機器の校正頻度を増やす
部品欠品
部品在庫管理システムの導入
組立ラインの部品供給プロセスの改善
結果の評価
対策実施後、再度FMEAを行い、各故障モードのRPNが低減されていることを確認。特に溶接不良のRPNが90に低減され、品質の安定化が図られました。
4. 応用情報技術者試験との関連
応用情報技術者試験では、品質管理やプロジェクト管理の分野でFMEAが出題されることがあります。特に、以下のポイントが重要です:
FMEAの基本概念と目的
潜在的な故障モードを特定し、リスクを評価・低減する手法であること。RPNの計算方法
重大度(S)、発生頻度(O)、検出可能性(D)の各項目の理解と計算方法。対策の優先順位付け
RPNに基づいて、どの故障モードから対策を講じるべきかを判断する方法。FMEAと他のQC七つ道具との連携
FMEAを他のツール(例:特性要因図、パレート図)と組み合わせてリスク管理を行う手法。
FMEAの基本的な作り方とその意義を理解しておくことで、試験問題における品質管理関連の問題に効果的に対応できます。
5. まとめと次回予告
FMEAは、製品やプロセスにおける潜在的な故障モードを事前に特定し、その影響を評価して対策を講じることで、品質の向上とコストの削減を実現する強力なツールです。品質管理やリスク管理の一環として、FMEAを活用することで、製品やプロセスの信頼性を高めることができます。
これで「新QC七つ道具」のシリーズは終了ですが、応用情報技術者試験や実務において、これらのツールを組み合わせて活用することで、さらなる業務改善や品質向上を目指してください。
今後も品質管理やITプロジェクトマネジメントに関連する有益な情報を提供していきますので、引き続きご期待ください!
ポイントまとめ
まとめ
本シリーズでは「新QC七つ道具」を一つずつ取り上げ、以下の構成でポイントを解説しました。
特性要因図(フィッシュボーン図)
パレート図
ヒストグラム
チェックシート
散布図
管理図
層別
FMEA
各ツールの基本的な使い方と実務での応用例、さらに応用情報技術者試験で押さえておきたいポイントも紹介しました。新QC七つ道具はどれもシンプルですが、組み合わせて使用することで大きな効果を発揮する優れた「道具」です。問題解決や業務改善の際には、ぜひこれらの手法を活用してみてください。
次回予告:
今後は、「図解入門ビジネス 新QC七つ道具がよ~くわかる本」のシリーズを引き続きお届けします。品質管理やITプロジェクトマネジメントに関連する新たなトピックや応用事例を深掘りし、皆様の業務改善や試験対策をサポートします。お楽しみに!
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