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図解即戦力 ITIL 4の知識と実践がこれ1冊でしっかりわかる教科書」で学ぶ第4回:「ITIL 4プラクティス(基礎編)」

はじめに

ITIL 4の大きな特徴の一つに、柔軟で実用的な**プラクティス(Practices)**の導入があります。これにより、ITサービス管理の具体的な手法が整理され、現場での応用が容易になりました。本記事では、ITIL 4が定義する34のプラクティスの中から、特に重要な基礎プラクティスを紹介し、その役割や実践例を解説します。


1. ITIL 4プラクティスとは?

プラクティスの概要

プラクティスとは、特定の成果を達成するために必要な活動やリソースの組み合わせです。ITIL 4では、以下の3つのカテゴリに分類されています。

  1. 一般管理プラクティス:組織全体で使用される管理手法。

  2. サービス管理プラクティス:ITサービス提供に特化した手法。

  3. 技術管理プラクティス:ITインフラやテクノロジー管理に関する手法。

プラクティスの目的

  • ITサービス管理の標準化と効率化。

  • 組織のニーズや規模に応じた柔軟な適用。

  • 顧客価値の最大化。


2. 基礎プラクティスの紹介

本記事では、初学者にも重要で実務でよく使われる以下の3つの基礎プラクティスに焦点を当てます。


1. インシデント管理プラクティス(Incident Management)

  • 目的:サービスを妨げるインシデントを迅速に解決し、正常な状態を回復する。

  • 活動例

    1. インシデントの記録と分類。

    2. エスカレーションを通じた適切な対応。

    3. 解決後のユーザー通知。

  • 実務での活用

    • サービスデスクにおける障害対応プロセス。

    • 例:ネットワーク接続の問題を即時修正し、ユーザーに通知。


2. サービスリクエスト管理プラクティス(Service Request Management)

  • 目的:ユーザーからのリクエスト(パスワードリセットや情報提供など)を効率的に処理する。

  • 活動例

    1. リクエストの記録と分類。

    2. 標準化された手順による処理。

    3. 完了後のユーザー通知。

  • 実務での活用

    • ITヘルプデスクでの日常的な対応。

    • 例:ソフトウェアのインストール依頼を迅速に処理。


3. 問題管理プラクティス(Problem Management)

  • 目的:繰り返し発生するインシデントの根本原因を特定し、再発防止策を実施する。

  • 活動例

    1. 問題の特定と記録。

    2. 根本原因の分析(RCA: Root Cause Analysis)。

    3. 恒久的な解決策の実施。

  • 実務での活用

    • 繰り返し発生するネットワーク障害の分析と恒久的な修正。

    • 例:サーバー過負荷の原因を特定し、ハードウェアを増強。


3. プラクティスの効果的な活用方法

1. 標準化と自動化

  • プラクティスを標準化し、繰り返し作業を自動化することで効率を向上。

  • 例:インシデント管理システムで自動エスカレーションを設定。

2. 継続的改善

  • プラクティスの運用結果を定期的に評価し、改善を繰り返す。

  • 例:インシデント対応時間の短縮を目指したプロセス改善。

3. ユーザー中心のアプローチ

  • プラクティスを通じて、顧客やユーザーに価値を提供することを最優先。

  • 例:サービスリクエスト管理で顧客満足度を測定。


4. 実務での適用例

事例1:サービスデスクの最適化

  • 課題:インシデント対応の遅延。

  • 適用プラクティス

    • インシデント管理を標準化し、対応時間を短縮。

    • 問題管理を導入して、繰り返し発生する障害を根本的に解決。

事例2:ヘルプデスクの効率向上

  • 課題:サービスリクエストが増加。

  • 適用プラクティス

    • サービスリクエスト管理プラクティスを用いてリクエスト処理を自動化。

    • FAQを整備し、ユーザーによる自己解決率を向上。


5. 応用情報技術者試験での関連問題

頻出テーマ

  • インシデント管理と問題管理の違い。

  • サービスリクエストの具体例。

  • プラクティスの標準化と効果的な適用。

例題

「繰り返し発生する障害が業務に影響を与えている。ITIL 4プラクティスを用いて、この問題を解決する手法を提案せよ。」

解答例

  1. 問題管理プラクティスを適用し、根本原因を特定。

  2. 恒久的な解決策を導入し、インシデント再発を防止。


6. まとめと次回予告

ITIL 4のプラクティスは、ITサービス管理を効率化し、組織全体での価値提供を支援します。本記事で紹介した基礎プラクティスを学ぶことで、実務や試験で役立つ知識が得られるでしょう。

次回予告:第5回「ITIL 4プラクティス(応用編)」
次回は、ITIL 4プラクティスの中でも応用的なものに焦点を当て、その具体的な活用方法を解説します。お楽しみに!

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高橋伸吾
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