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「図解入門ビジネス QC七つ道具がよ~くわかる本」で学ぶ第7回:「層別の基本的な使い方と実務での活用」

1. はじめに

みなさん、こんにちは。本シリーズでは「QC七つ道具」を一つずつ取り上げ、業務改善や応用情報技術者試験対策に役立つ情報をお届けしてきました。
前回は「管理図」について学びましたが、今回は「層別」をテーマにします。層別は、データをグループ分けして分析することで、より詳細な原因分析や対策立案を可能にする手法です。本記事では、層別の基本的な使い方と実務での具体的な活用方法について詳しく解説します。


2. 主要内容:層別の基本的な使い方とその意義

層別とは?

  • 定義
    層別(Stratification)は、収集したデータを特定の基準に基づいてグループ(層)に分け、それぞれの層ごとにデータを分析する手法です。これにより、全体データでは見えにくいパターンや原因を明らかにすることができます。

  • 狙い
    データを異なる視点から分割・分析することで、問題の根本原因を特定し、効果的な対策を講じることを目的とします。

作り方

  1. 層別の切り口を決定
    分析対象となるデータをどの基準で分けるかを決定します。一般的な切り口としては「人員」「時間帯」「場所」「製品種別」「作業者」「設備」などがあります。

  2. データのグループ分け
    選定した切り口に基づいて、データを層に分けます。例えば、顧客満足度調査データを「年代別」「性別」「利用回数別」に分けるなどです。

  3. 各層ごとの分析
    層ごとにデータを集計・分析し、特定の層で顕著な傾向や問題点を抽出します。これにより、全体では見えなかった要因を明らかにします。

  4. 結果の統合と対策立案
    各層の分析結果を総合的に評価し、優先的に対応すべき課題や改善策を決定します。

意義

  • 詳細な原因分析が可能
    データを層別することで、特定のグループにおける問題の根本原因を明らかにできます。

  • 効果的な対策立案
    層ごとの特徴を踏まえた対策を講じることで、全体的な改善効果を高めることができます。

  • データの多角的な理解
    異なる視点からデータを分析することで、より深い洞察を得ることができます。


3. 実務での適用例

事例:サービス業における顧客満足度の向上

  1. データ収集
    顧客満足度アンケートを実施し、各顧客からのフィードバックを収集します。収集項目には「サービスの迅速さ」「スタッフの対応」「店舗の清潔さ」「価格設定」などが含まれます。

  2. 層別の切り口設定
    顧客データを「年代別」「利用回数別」「来店時間帯別」に層別します。

  3. 層別後の分析

    • 年代別
      20代の顧客は「スタッフの対応」に高い不満を示している一方、50代以上の顧客は「価格設定」に不満を持っていることが判明。

    • 利用回数別
      初回利用者は「サービスの迅速さ」に満足しているが、リピーターは「店舗の清潔さ」に不満を感じている。

    • 来店時間帯別
      ランチタイムの顧客は「サービスの迅速さ」に不満が多く、ディナータイムの顧客は「スタッフの対応」に課題がある。

  4. 改善策の立案と実施

    • 年代別
      若年層向けにスタッフ向けの接客トレーニングを強化。 高年層向けに価格戦略の見直しを行う。

    • 利用回数別
      リピーター向けに店舗の清掃頻度を増やし、清潔さの維持を徹底。

    • 来店時間帯別
      ランチタイムにはスタッフの増員や効率的なオペレーションを導入し、ディナータイムには接客マナーの再教育を実施。

  5. 結果の評価
    改善策を実施後、再度顧客満足度アンケートを実施し、各層での満足度の向上を確認。特に、年代別の不満点が大幅に改善されたことが確認できた。


4. 応用情報技術者試験との関連

応用情報技術者試験では、データ分析や品質管理の分野で層別が出題されることがあります。特に、以下のポイントが重要です:

  • データのグループ分け手法の理解
    どのような切り口でデータを層別するか、その基準の選定方法。

  • 層別後のデータ分析
    各層ごとにデータを分析し、全体データでは見えなかった傾向や問題点を抽出する方法。

  • 層別と他のQC七つ道具との組み合わせ
    層別を他のツール(例:パレート図、特性要因図)と組み合わせて分析を行う手法。

  • 改善策の立案と評価
    層別分析を基にした具体的な改善策の立案と、その効果の評価方法。

層別の基本的な使い方とその意義を理解しておくことで、試験問題におけるデータ分析部分や品質管理関連の問題に効果的に対応できます。


5. まとめと次回予告

層別は、データを異なる視点でグループ分けし、詳細な分析を行うことで、問題の根本原因を特定しやすくする強力なツールです。層別を活用することで、全体データでは見えなかった課題を明らかにし、効果的な改善策を講じることが可能となります。
これで「QC七つ道具」のシリーズは終了ですが、応用情報技術者試験や実務において、これらのツールを組み合わせて活用することで、さらなる業務改善や品質向上を目指してください。
今後も品質管理やITプロジェクトマネジメントに関連する有益な情報を提供していきますので、引き続きご期待ください!


ポイントまとめ

層別は、データを特定の基準でグループ分けして分析する手法。問題の根本原因を特定するために、異なる視点からデータを詳細に分析することが可能。層別は他のQC七つ道具(パレート図、特性要因図など)と組み合わせて使用することで、より効果的な問題解決が実現。応用情報技術者試験では、データ分析や品質管理の一環として層別の理解が求められる。

まとめ

本シリーズでは「QC七つ道具」を一つずつ取り上げ、以下の構成でポイントを解説しました。

  1. 特性要因図(フィッシュボーン図)

  2. パレート図

  3. ヒストグラム

  4. チェックシート

  5. 散布図

  6. 管理図

  7. 層別

各ツールの基本的な使い方と実務での応用例、さらに応用情報技術者試験で押さえておきたいポイントも紹介しました。QC七つ道具はどれもシンプルですが、組み合わせて使用することで大きな効果を発揮する優れた「道具」です。問題解決や業務改善の際には、ぜひこれらの手法を活用してみてください。

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高橋伸吾
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