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「図解入門ビジネス QC七つ道具がよ~くわかる本」で学ぶ第6回:「管理図の基本的な使い方と実務での活用」

1. はじめに

みなさん、こんにちは。本シリーズでは「QC七つ道具」を一つずつ取り上げ、業務改善や応用情報技術者試験対策に役立つ情報をお届けしています。
前回は「散布図」について学びましたが、今回は「管理図」をテーマにします。管理図は、プロセスの安定性を継続的に監視し、異常を早期に発見するための強力なツールです。本記事では、管理図の基本的な使い方と実務での具体的な活用方法について詳しく解説します。


2. 主要内容:管理図の基本的な使い方とその意義

管理図とは?

  • 定義
    管理図(Control Chart)は、時系列データを用いてプロセスの安定性を監視するためのグラフです。データポイントを時間順にプロットし、平均値と上限管理限界(UCL)、下限管理限界(LCL)を設定して、プロセスの変動を視覚的に評価します。

  • 狙い
    プロセスが統計的に管理された状態にあるか(安定しているか)を判断し、異常な変動(特殊原因)を早期に検出することを目的とします。

作り方

  1. 管理対象のデータ決定
    監視したいプロセスの重要な品質特性(例:製品の重量、不良率、作業時間など)を選定します。

  2. 平均線と管理限界線の算出

    • 平均線(CL: Center Line)
      データの平均値を計算し、グラフの中央に水平線として描きます。

    • 上限管理限界(UCL: Upper Control Limit)
      平均値に一定の標準偏差を加えた値。一般的には平均±3σ(シグマ)で設定されます。

    • 下限管理限界(LCL: Lower Control Limit)
      平均値から一定の標準偏差を引いた値。同様に平均±3σで設定します。

  3. データのプロット
    時系列データを横軸に、測定値を縦軸にプロットします。各データポイントが平均線と管理限界線内に収まっているかを確認します。

  4. 異常判定ルールの適用

    • データポイントがUCLまたはLCLを超えた場合

    • 一定期間連続して平均線の一方に偏っている場合

    • 他の特定のパターン(例:連続した増加または減少)

意義

  • 異常と偶然変動の区別
    管理図を用いることで、プロセスの変動が偶然変動(Common Cause)によるものか、異常変動(Special Cause)によるものかを区別できます。

  • 継続的品質管理
    プロセスを継続的に監視し、異常が発生した際には迅速に対策を講じることで、品質の安定化と向上を図ります。

  • 改善活動の支援
    データの変動を可視化することで、改善活動の効果を評価しやすくなります。


3. 実務での適用例

事例:製造業における製品長さの管理

  1. データ収集
    製造ラインから毎日100個の製品の長さ(cm)を測定し、データを収集します。

  2. 管理図の作成

    • 平均線(CL):全データの平均値を計算し、グラフに描きます。

    • 上限管理限界(UCL)と下限管理限界(LCL):データの標準偏差を基に計算し、平均値±3σで設定します。

    • プロット:各日の平均製品長さを時系列でプロットします。

  3. 分析結果
    グラフを分析すると、特定の日に製品長さがUCLを超えていることが判明しました。この日は新しい機械の設定を変更したため、プロセスに異常が発生した可能性があります。

  4. 改善策の立案
    異常が発生した原因を調査し、機械の設定を再調整することで、製品の長さのばらつきを減少させ、プロセスの安定化を図ります。


4. 応用情報技術者試験との関連

応用情報技術者試験では、品質管理やプロジェクト管理の分野で管理図が出題されることがあります。特に、以下のポイントが重要です:

  • 管理図の種類と用途

    • Xバー管理図:平均値の変動を監視

    • R管理図:範囲(ばらつき)の変動を監視

    • p管理図:不良品率の変動を監視

  • 管理限界の計算方法
    平均値と標準偏差を用いたUCLおよびLCLの設定方法

  • 異常判定ルールの理解
    データポイントが管理限界を超えた場合や、特定のパターンが見られた場合の対処方法

  • プロセスの安定性評価
    管理図を用いてプロセスが統計的に安定しているかどうかを判断する方法

管理図の基本的な作成方法とその解釈を理解しておくことで、試験問題での品質管理関連の問題に効果的に対応できます。


5. まとめと次回予告

管理図は、プロセスの安定性を継続的に監視し、異常を早期に発見するための強力なツールです。品質管理やプロセス改善において、管理図を活用することで、品質の安定化と向上を図ることができます。
次回は「層別」を取り上げます。層別は、データをグループ分けして分析することで、より詳細な原因分析や対策立案を可能にする手法です。具体的な使い方や実務での活用方法について詳しく解説しますので、ぜひご期待ください!

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高橋伸吾
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