SEO「1番じゃなきゃダメですか?」って話
※今回はある程度規模感のあるサービスのSEOの話です
インターネット事業者のSEOをお手伝いする事がしばしばあります。
私自身カカクコムや楽天などの事業者側に従事し、多くのSEOプロジェクトを経験してきまたし、その中で多くのSEO支援企業さんとお仕事させていただきました。
その中には、成功体験もあれば大きな失敗もありました。
事業観点で考えると失敗の方が多いのかもしれません。
→投資効果やその後の管理コストを考えた場合
こういった経験を通して、私自身違和感を覚える事が多々ありました。
それは何か。
「SEOが手段の目的化」になっている事です。
※思想的な理解ではなく、手段ベースで提案してくる業者/担当が多い
SEOのほとんどの目的は、
「自然検索からの流入の最大化→CV貢献」
ではないでしょうか?
流入を分解すると、
「インプレッション X CTR」となります。
すごくシンプルな話です。
では、インプレッションを上げる要素はなんでしょうか?
・クエリボリューム(大小&質に関しては割愛)
・インデックス数
・検索順位
など
CTRを考えると、
・タイトル、ディスクリプション
・リッチ/強調スニペット
・検索順位
・ページ内の寡占率
など
が考えられます。
こう見ると、どちらも検索順位は重要な要素のように見えます。
がしかし、、、
多くの担当者、SEO支援企業がここにこだわりすぎている。。
もちろん2ページ目以降と1ページ目に表示されるのでは、
インプもCTRも大きな違いです。
ただ、平均4〜8位ぐらいにつけているサイトが一生懸命一位を目指して施策を繰り返すのは筋がいいとは思いません。
なぜなら、
上位になればなるほど、そのカテゴリ内でのサイト権威力が影響し
ひっくり返すのが難しいからです。
言うなれば、「サービスレベルが問われる戦い」になるのです。
根本的なサービス規模や質が異なる王者にSEO施策だけで、戦う事が事業として重要な事とは到底思えません。
むしろ、同カテゴリでトップのサービスレベルになれば自ずと検索も1位になるでしょう。(よっぽど変なサイト設計をしていなければ)
また、順位を上げる施策の中には効果が不明瞭であったり・リスクがあるもの少なくありません。大規模になればなるほど、仕様が複雑化し、システム的には「負の資産」が積み上がっていきます。
これらは、事業的に見ると大きな損失です。
SEO施策がその後の管理&改修コストを肥大化させていないか、チェックする事が大切な気がしますが、その観点で提案される事はまずないです。
その他にもユーザビリティとのコンフリクトが起きる場合もあります。
SEOがプロダクトの最上位にくる事はないので、折り合いをつけて着地点を見つけ出す事はとても大事です。
また、順位を上げる事に注力するあまりインデックス数の考慮が足らない場合も多く見受けられます。
▼よくある業者例
順位を上げるためにcanonicalでこれらのページを寄せましょう
そもそも正規化以外に無駄なカノニカルを薦めてくる業者は論外なのですが、たとえこの施策で順位が5→4位に上がったとして、削られたインデックスからの流入を上回れるのでしょうか?
残念ながらこういった数字的提案してくれ業者さんはほとんどいません。
なぜなら、「順位を上げる事」が目的になっているからです。
私は蓮舫さんのように言いたい、
「一番じゃなきゃダメですか?」と。
順位を上げる事以外に目を向ければ以外と
費用対効果の良い施策が見えてきます。
・2位以下グループのベンチマーク
・相性の良いクエリだが未対応に対する新規インデックス化
・タイトル/リッチスニペット施策
・寡占施策(1ページ内に2URL以上表示)
・SXO(着地地点の最適化:サイト内優先順位)
などなど。
もちろん、これらは最低限のSEOを実施している前提になります。
極論を言ってしまうと、
「3位表示でもCTRが/CVRが1位よりも高ければOK」
的な発想です。
個人的な考えとしては、
・SEOに関して思想ベースでインプットする
・ベーシックな対応をしっかりやる
・数値的観点で分解してみる(クエリ/URL/インデックス/CTRなど)
・すぐに出来そう&負の資産にならない施策から実施する
を大事にしています。
中には思想の理解から派生してテクニカルな施策も出てくるのですが、そういったものの効果は、体感がない限り優先度は低い気がします。
このような観点から、
・抽象化能力が高い
・数字に強い
人がSEO担当にいると心強いですね。
アカデミックな人は数字につながらない印象です。。
→手段にこだわる傾向が強く、現状の整理、設計が弱い
知識に関しては、
・Googleが出しているガイド
・Google公式のコメント
・SEOの著名な方の記事(スズキケンイチさん一択で良いかも)
ぐらいで十分な気がします。
もちろん、私自身の経験からのみくる話なので
各々「体感値がある方のお話」を参考にされると良いかと思います。
サイテーションやユーザー行動など、SEO施策としてはアンコントローラブルなものも増えてきているので基本を抑え、愚直にサービスをよくしていく事がSEOに繋がるのではないでしょうか。