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2021.11.30.tue. 夢でも美味しい。
夢の話というのは、他人がきいてもちっとも面白くない。黒澤明監督の夢の話のオムニバス映画があった。二度見る機会があったが、やっぱり面白くなかった。世界のクロサワが映像で見せてさえつまらないのだから、私の夢の話など言うまでもない。
前日に、シュトーレンの中身の詰まった切り口の写真を見たからか、夢の中に大きな大きな焼売の断面が出てきた。そんな大きな焼売など、現実にあったら胸やけしそうだけれど、夢の中の焼売には栗も入っていて、なんだかとってもジューシーで美味しそうだった。
いつも行く梅の湯の美しい女将さんから「焼売入り焼き飯をつくるから食べていって」と声をかけられた。これも夢のつづきだけど、梅の湯の美しい女将さんというのは実際に存在する人である。
焼売の入った焼き飯ってどんなのかしら? と、 スプーン持参でキャンプ場のような場所に行くと、辺りにはお醤油の焦げたいい香りが漂っている。焼き飯はテーブルの上でゆらゆらしている中華鍋の中にできていた。それとは別に30センチもあるような巨大な焼売は、テーブルの下の深底鍋の中に入っているのだが、ちゃんと私には半分に切られた中身が見えているのだ。
焼売は、これもつい最近、崎陽軒のシウマイのニュースを読んだ覚えがあるので、それで夢に出てきたのだろう。梅の湯の美人女将は、以前に栗ご飯をつくるという話をしていたので頭の隅に残っていたのだと思う。焼き飯の具には何を入れてあるのかきこうと思い、一口食べて「ん~美味しい!」というところで目が覚めてしまった。
夢の中で味わうことなどないので、これは珍しいことだ。が、美味しいという気持ちだけで、その味を舌が受け止めていないから、どう美味しいのかわからずに困った私の脳は、その先を進めることなく夢から私を目覚めさせてしまったのではないか、と思うのだ。
ただ、焦げたお醤油の香りだけが記憶に残っているのは、もしかしたらご近所の台所から漂ってきたほんとうの匂いだったのかもしれない。