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憑きものを祓って終わり。では、喰われた魂魄は誰が修復するのか。

タイトルがそのまま、私が殆どの祈祷師、憑きもの祓い、エクソシストを信頼せずに、見下げる(みさげる)理由のひとつ。

人ではないナニカ(以下単にナニカと記す)に憑かれ、魂魄をかじられ、喰われ、取り込まれた誰かが居たとする。

そのナニカはどうしてその者に憑いたのか。どうしてその者の魂魄を喰むのか。その理由は様々である。

単にその者の魂魄が熟して美味かったからなのか、ナニカが大変に空腹だったからなのか、その者が目的ではなくてその者につながる何者かが目的だったのか、その者が邪魔だったのか、その者の血統によるのか、それ以外か。理由は様々だ。

だが、間違いのないことがある。それは、その者の魂魄が傷つけられているという事実。酷い時には魂魄の殆どが喰われしまった後だったり、別の何かに変質させられていたり、全体に亀裂が入り辛うじて形を留めていたりなんてする。

憑かれた結果死に至るならばまだましで、価値ある魂魄だと生かさず殺さずのまま延々と搾取を続けられている場合もある。

素晴らしい魂魄を挟んで、二つのナニカが魂魄の所有権を争いながら、共に搾取を繰り返していた事例を目の当たりにしたこともある(その時は怒りから問答無用で両方のナニカ共に叩き潰してしまい、あとで往生したが)

魂魄に憑いたナニカを駆逐することは容易い。少なくとも私から見たら。力で押し切ればいい。後の惨状を考えなければだが。

そして、多くの祈祷師、憑きもの祓い、エクソシストは、この後の惨状のことを一顧だにしていない。

そう、タイトルにある通り、ナニカを取り除いた後の魂魄のケア、修復については考えないのである。

また、ナニカはだいたい魂魄に根を張っている。

でも、多くの祈祷師連中は、ナニカを根こそぎにする時に魂魄を傷つけるなんで考えない。庭の雑草を引き抜くと、根に土がついてくる、雑草の生えていた部分の土がえぐれている。それに近いことが魂魄で発生するに、そんな事を気にもしない。ただ、ナニカを祓ってしまえたら、それでお仕舞いである。

いい加減にしろや、と言いたい。

ただでさえ、魂魄は傷ついているのに、それを更に傷つけるようにしてどうする。

場合によっては、ナニカが深く侵食しきって、ナニカが無いと形を維持できない状態に至っている魂魄だってある。

ナニカを祓い取り除くのは所詮は単なる手段なんだよ。目的は魂魄を出来るだけ上手く生かし続けることなんだよ。

なのに多くの祈祷師連中はその辺りを勘違いしている。

そこはさぁ、癌患者さんと向き合う医師たちの姿勢を見習えよ。癌治療の選択肢の中には、癌の勢いを抑えつつ、患者と癌とが共存して余命を伸ばして行くやり方だってある。外科手術で癌を摘出しても、その後に患者の身体を回復させるまでが治療になる。

ナニカに対するやり方でもそうなんだよ。でも、多く祈祷師連中の考え方ってそうじゃないんだよ。

ナニカを祓った後に、魂魄に対してどんなケアをするか考えたことがあるのか?て尋ねたいんだよ。

少なくとも、私はそれをやるよ。

ひび割れた魂魄は接着するし、欠けていたらパテ埋めみたいなことをする。場合によってはナニカとの共存を模索する時もある。

同様に、ナニカを祓った後での物理的は面(身体そのもの)へのケアに注意喚起をする。だいたいは医者に診てもらうことや、腕のいい鍼灸師を訪ねることを勧める。

ナニカを祓うってことは、今までと違う状態になるってことだから、多かれ少なかれ反動が来るんだよ。

でも、そんなことを、多くの祈祷師連中は知ったこっちゃないなんて顔している。

そんなだから、私如きに、見下される(みだされる)んだよ。


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