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ファッションが苦手な大人達のために

私はつい最近転職をしたばかりなのだけれど、新しい勤め先は服装に関する規定が殆どなく、多くの社員がカジュアルな格好でオフィスを訪れている。前職も決してドレスコードが厳しかった訳ではなく、お客様応対を除くインターナル・ワークではジーンズでも全く問題ないレベルではあったのだが、今の方がより自由度が高い感覚だ。ビジネスカジュアルというよりも、ごく日常的なカジュアルスタイルで、皆がそれぞれの服装を楽しんでいる。

ただ、服装の自由度が高いことで逆に色々と悩んでしまう人も少なくないのではないだろうか。実際、私自身がまさにそういうタイプで、ファッションやお洒落といったことになると全く自信がないどころか、どこから考えれば良いのか糸口さえ見出せず、即白旗を上げたい気分になってしまう。本当はもっと気軽に、身近なお洒落を愉しみたいのに、どこか身構えてしまったり、ひとり勝手に気恥ずかしさを覚えてしまったり。そんな感覚に心当たりのある人は、間違いなく一定程度存在すると思う。今更改まって告白したりしないというだけで。

そんな人にお薦めしたいのが本書だ。社会人5年目の営業としてきっちりと仕事しながらもファッションにはからっきしだった主人公の祐介が、共に暮らす女子大生で、服飾にとても詳しい妹の環にうまくガイドされて、ファッションの基本を学び取り、服飾の愉しみに目覚めていく漫画なのだけれど、とても良い内容になっている。縞野やえが描くキャラクターに愛嬌があって親しみやすいだけでなく、専門家としてファッション理論の部分を担当しているバイヤー兼ブロガーのMBが取り上げるポイントも非常にシンプルで分かりやすい。ユニクロやGU、無印良品といったショップのアイテムも織り交ぜながらリーズナブルに楽しめるアレンジが多数紹介されていて、ハイブランドばかりがファッションではないという親近感が溢れているのも魅力的だ。

ファッションにどことなく気後れを感じてしまいながら、そんな感覚を誰にも話せずにいる全ての大人達に、自信を持ってお薦めしたい。きっと、ファッションへの興味をくすぐられるはずだ。

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