私と障害

私は生れるとき、15分間息をしていなかった。
そのため、脳に酸素がいかず、脳性まひという障害になった。

私の障害は
脳性まひ アテトーゼ型
体を動かす信号が勝手に脳から筋肉へ伝わり、首や手などが自分の意志とは関係なく動いてしまう。言語障害があり、舌や息をコントロールできないため、聞きとりづらい。

よく「障害を背負った人」という言葉を耳にする。私には障害を背負ったという感覚はない。この言葉の表現があるならば、社会に障害を背負わされていると考える。
 
私に障害があるのは、重要なことだと思っている。
障害は強みになったり、弱みになったりすることがある。はじめから前向きに考えていたわけではない。みんなとグラウンドで、大声で叫びながら走り回りたいな、なんて思ってたりしたこともある。(叫んではいたけど笑)
「何で私には障害があるのだろう。」「障害がなかったら…」なんて考えていた。でも、障害を親のせいや誰かのせいにはしなかった。心のどこかで「障害があるのは、たまたまなのだろう」と思っていた。
しかし、体も器も小さかった私は、まだ自分の「障害」と上手に付き合う術を持ち合わせてなかったため、できないことを見つめ続けていた。何もかもわからなかった。
 例えば、言語障害で伝わらない→悔しくて悲しくて泣く→余計伝わらない→「もう泣いてちゃわかんない」「泣くな」と怒られる→余計泣く、みたいな。あまり話さなくなった。こんなんだったから、幼稚扱いも散々された。しかし、ほかの子よりもいろんなことを考えていた、と思う。
いっちょ前にプライドが高く、マセていたので、我ながら関わるのが面倒くさい子どもだった。相手に攻撃されたし、私も攻撃してしまっていた。
あの時は本当にごめんなさいと思う。
当然、社会に揉まれまくるわけで。
社会に揉まれる環境を作ってくれた親に感謝だなとも思ったりする。地域で育てると決断してくれてありがとうと思っている。そうじゃなければ、今の自分は存在しない。

ようやく、そのプライドが邪魔だなとわかった私は、プライドを捨てた。その代わりに、私には何もなくなった。何をやりたいのか、どうしたいのかということを考えられなくなった。自信もない。
それでも壁はやってくるわけで。試行錯誤を繰り返して、道なき道をかき分けてきた感じ。すごく大変だった。
そんな中で、たくさんの人と出会って、あらゆる考え方に触れて、自分の経験に誇りを持てるようになった。やり方とか伝え方を教えてくれる人が多くなって、素敵だなと思えるようになった。それは、障害を通して繋がったということもある。
そして、ほかの人にはできないことでも、障害をきっかけにしてできると気づいた。例えば、JRに乗るときは毎回窓口で駅員さんにスロープを頼まないといけない。そうすると駅員さんと仲良くなることもある。
 
そして、こう考えるようになった。
 私は、いつ死ぬかわからないから、どうせなら楽しんで生きたい。一瞬でも長く笑っていたい。車いすで目立つのだから、とことん目立ってやろうと思った。髪を赤くして、ずっとやってみたかったパンクファッションに挑戦してみた。そこからファッションに興味を持つようになり、自分の着たい服を着て出かけることが楽しくなった。褒められることも多くなり、自信を持てるようになった。
様々なことに挑戦したい、やってみたいと思うようになり、大学3年のときに友人とヒッチハイクをやってみた。
 私の障害はおまけみたいな感じ。笑
びっくりするような奇跡も起こるから、特典みたいでもある。

独特な体の動きも、人と関わることが多い生活も、私の障害と繋がっているのだ。
私は今、自分の脳性まひという障害を愛しく思う。
いいでしょ?って思う笑
そう思えるようになったのも、周りの人のおかげ。
 本当ありがとう。
 障害がなかったら、気づくことはなかった。
(まだまだ弱い部分があって、もがくことがある。
 友だちには、なんでそこで自信なくなるの?ってつっこまれることがあるけれど)

アクシデントを嫌だったと捉えるか。
こんなおもしろいことがあった
と笑い話するのか。
アクシデントの内容にもよるけど。
 笑い話にした方がいい思い出になるから、私はそっちを選ぶ。

好きなものは好き。
 好きなことを極めたい。
 自分を極めたい。
 支えたいし、支えられたい。
 
そして、今ある幸せを大切にする。
 
ハッピーにするのも、アンハッピーになるのも自分次第。
 
おかげさまで、私は楽しく生きてる。
好きなところへ行き、たくさんの人の考え方に触れたい。
私は自由に愉しく生きていたい。
多くの人がありのままで自分らしく生きられたのなら、お互いを受け入れることができるのではないだろうか。「あなたはそのままで良いんだよ」「あなたは大切な存在だよ」と一人一人を認め合える社会を創りたい。

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