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Antler ベトナム Cohort VN6に参加した感想

Antlerは、グローバル展開するベンチャーキャピタルで、起業家支援プログラム「Antler Cohort Program」を世界各地で開催しています。このプログラムは、10週間という集中的な期間で、アイデアを形にすることを目指す起業家を支援するもので、今回はベトナムで開催されたプログラムに参加しました。

プログラム全体の内容

アイデア発掘・検証: チームメンバーと協力して、市場課題を解決する革新的なアイデアを考え出し、その可能性を検証するプログラムです。
チームビルディング: 異なる専門性を持つ仲間とチームを組み、それぞれの強みを活かして事業を推進していきます。グローバルなメンバーと共にプロジェクトを進める機会があり、刺激を受けます。
プロトタイプ開発: 実際にMVPを作り、ユーザーからのフィードバックを得ながら、製品やサービスをブラッシュアップしていきます。
投資獲得支援: 投資家向けにピッチを行い、資金調達に向けて準備を進めます。

プログラムのスケジュール

Week 1: What Makes a Great Co-Founding Team
1800人がプログラムに応募し、60人ほどが参加。
Week 2: Building a VC-Backable Business/Constructuring a VC-Backable idea
どのようにイノベーションを起こすのかやデザインシンキングについて学ぶ
Week 3: Navigating co-founder conflicts and developing a successful founder's mentality.
アイディアのブラシュアップだけでなく、起業家のメンタル問題への対処や共同経営者の正しい選び方などについても学ぶ。
Week 4: Achieving PMF & implementing effective acquisition strategies
ターゲットとなるユーザーにヒアリングなどを行い、アイディアの仮説検証を行う。
Week 5: Building an MVP & Enhancing your pitch
ユーザーヒアリングの結果から、MVPの開発を実際に行う。CTOや技術者がいない場合はNo code toolなどを使ってMVPを作成し再度ユーザーヒアリングやインタビューなどを行う。
Week 6: Elimination #1
約全体の半分が削除された。
Week 7: Strategic Planning and Biz Model Advancement
Week 8: Elimination #2
さらに2-3チームが削除された。
Week 9: Get ready for Investment Committee
Week10: Investment Committee
最終的に4チーム(9人)が生き残り出資のチャンスを得た。

このプログラムは、スケジュールに沿って事業アイデアをブラッシュアップしていく実践的なプログラムです。チームで応募した場合は、前半はプログラムへの出席が必須ではありませんが、個人で応募した場合は、MasterclassやBootcampと呼ばれる授業形式の講座に出席し、スタートアップに関する知識を深めながら、アイデアを磨き上げていくことになります。

個人で応募した場合は、プログラム参加者の中から共同経営者を見つけるチャンスがあります。優秀な人材とチームを組み、最終的には資金調達を目指します。

毎週、課題と呼ばれるチャレンジがあり、顧客獲得やMVP開発などに挑戦していきます。Week6とWeek8には、Eliminationと呼ばれる審査があり、投資基準を満たしていないチームはプログラムから脱落となります。

プログラム参加のメリットとデメリット

・投資とネットワークの提供: Antlerは創業者に対して資金投入やビジネス支援を行うことで、新しいベンチャーの成長を促進します。また、グローバルなアドバイザリーネットワークや投資家ネットワークへのアクセスも提供されるため、成長と資金調達の機会が広がります。
メディアなどにも取り上げられるため、この効果は十分に期待できますが、ネットワークについては事業領域に依存するでしょう。

・プログラムのサポート: Antlerプログラムにはメンターおよびアドバイザーなどのサポートが含まれており、創業者が成功するための環境とリソースが提供されます。また、AWS、Google Cloud、IBMなどのサービスも特別条件で利用できます。他にも無料でシェアオフィスを利用することが出来ます。

・ネットワーキング: Antlerプログラムに参加することで、他の起業家や業界の専門家とのつながりを築く機会が得られます。交流や協力を通じて、ビジネスの成長や展開に役立つ関係性を構築できる可能性があります。

・制約と条件: Antlerプログラムに参加する際には、一定の条件や制約に従う必要があります。例えば、MOU(Memorandum of Understanding)の期間中は、Antlerのプログラムに独占的に参加することが求められます。他のベンチャー創業プログラムに参加することができないため、プログラム参加中は創業者の選択肢が制限される可能性があります。

・投資条件について: 出資の条件が厳しいと感じられる可能性があり、例えば、会社の株式の12%をUSD 70,000で譲渡する条件は、創業者にとって不利に感じ可能性があり、事業アイディアの事業規模を考えたうえで応募する必要があります。

・プログラム参加費用:プログラム参加には費用がかかります。採択されたチームには、Antlerから出資を受けることができますが、プログラムの参加費用を支払う必要があります。プログラムの参加にそれ以上にメリットがあるのかどうかを吟味して応募する必要があります。

・フルコミットが求められる:プログラム参加にはフルコミットメントが求められますが、意外にもサイドビジネスなどをしている人がちらほらいましたが。

・肖像権がない:自身の顔画像やLinkedinやVietnamのソーシャルメディアなどで使用される可能性があります。これはシャイな人にとっては苦痛でしょう笑


Antler programから学んだこと

VN6は2024年の4月から6月まで開催されました。
応募したのが締め切りの直前ということも会って、面談から1日後に採択の連絡が来て、その数日後にベトナムに行くことになりました。
ベトナムの知識などはなく、ベトナムが現金社会でクレジットが使えないことが多いことやとにかく熱く、Antler, Vietnamはホーチンミンという金融の町にあり、ホーチンミンはベトナムの北エリアにあります。このエリアはとにかく熱い。乾季と雨季がありますが、私の滞在していたタイミングは気温は30-40度は当たり前でした。雨季になり少し涼しくなったかと思ったぐらいです。

ベトナムは日本と比較すると活気があり、夜の街という印象を受けました。というのも午後は暑いので家におり、夜日が暮れてから活動するというライフスタイルです。

Antler Vietnamのオフィスはレタントンと言われる第1区の日本人街にあります。なので日本食が恋しくなっても心配はありませんが、一歩入るとガールズバーなどが多く、観光客からお金を盗むガールズバーなどもあるため注意が必要です。知り合った友達から以前にお酒に薬を入れられ、カードや現金を取られたという話を聞いてからあまり近づかなくなりました。特にGoogle mapなどに情報が出ていないお店には注意して下さい。

Sonatus

始めていった頃はベトナム人は怠け者だなと思っていましたが、過ごして数か月立つと自分自身も暑すぎて怠け者のようになり、時間を守らなくなったり、暑すぎて寝ているということが多々ありました。逆にベトナムではそれが当たり前であり、それが普通なのだと気づかされました。

Antlerのプログラム自体は洗練されており、スライドと講師により授業のようなスタイルで進められます。その講義に出ながら、事業の進め方やピッチ資料の作り方について学び、投資家からどのように資金を調達するのかについて学びます。このプログラム自体がPre-seedに投資をするというプログラムなので、プロダクトが実際にあり、トラクションがあるチームが有利ですが、アイディアやチーム力だけでも出資を受けています。
ただ適切なチームやトラクションを生み出すことが出来なければ出資を受けることはないと私は感じました。というのも私たちのチームはWeek 6: Elimination #1で削除されてしまったためです。これは様々な問題があったと思いますが、最も大きな問題だったのが、正しいCo-founderを選ぶことの大切さだと思っています。人が集まりチームを作り、チームがプロダクトを作り、プロダクトが会社を作る。初期のスタートアップの成功アイディアもそうですが、こんなにも人に依存するとはと改めて気づかされました。
グローバルでチームを作り、プロダクトを開発する難易度の高さを理解しており、以前にも経験していたのですが、やはりそんな簡単ではなかったです。
このプログラムに参加した人は優秀な人ばかりで、誰が出資を受けても正直分からないという印象を受けましたし、世界から様々な経歴を持った人が申し込み、出資に向けてプロジェクトを進めているので志の高い仲間と切磋琢磨することが出来まし、ベトナムやグローバルな人材と繋がることも出来るのも魅力だと思います。
プログラムへの参加自体も高倍率ですが、出資への難易度もかなり高いという印象も受けました。
参加することで良い刺激になりますし、チャンスにもなると思いますが、冷静に参加する意味を考えて、チームを作ってから応募した方が良いのではないかというのが私の考えです。


なぜベトナム?

ベトナム市場は今、まさに飛躍的な成長を遂げており、起業家にとってこれ以上ない好機を迎えています。その背景には、政府による強力なスタートアップ支援と、ASEAN諸国への優位性という2つの大きな力が働いています。

政府による手厚いスタートアップ支援:ベトナム政府は、自国の経済発展をけん引する原動力として、スタートアップ企業の育成に力を入れています。

ASEAN諸国への優位性:ベトナムはASEAN加盟国であるため、ASEAN諸国への進出においては、関税優遇やビジネス展開で優位です。

また、ベトナムには先進国のビジネスモデルを後発国で再現する「タイムマシンモデル」が可能であり、そのような企業が急増しています。具体的には、Eコマース領域では多くの成功事例が生まれており、AIを活用したToBの業務を効率化させるようなビジネスやファイナンス領域においては今後もさらにマーケットが拡大していくのではないかという印象を受けました。


Vietnam's GDP Growth

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