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#トキ体験 を創る 2021.12.12

#トキ体験 とは「その時・その場でしか味わえない盛り上がりを楽しみたい」という欲求を満たす体験のことを表した言葉です。これまでトキ体験の構成要素として、

・時間
・空間
・一体感
・距離感
・安心感
・平等感
・組織の人格

について考察してきました。今回は、そのトキ体験を提供する「個人の人格」について考察します。

個人の人格

企業理念が「組織の人格」としてそのトキ体験を構成する、ということは前回に考察しました。

では、トキ体験を構成するのは全てが「組織の人格」なのでしょうか。実は、これからは「個人の人格」が重要な時代になると考えています。それは、多様性を増す社会のなかで企業や組織のあり方が「垂直統合」型から「水平分散」型へ移行していくと考えられるからです。

過去からの慣習や考え方を見直し、働き方や人の「あり方」の多様性を認めていこうという社会的な動きとして「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」または「インクルージョン&ダイバーシティ(I&D)という概念があります。

「違い」を認める社会のなかで、企業や組織はどうその理念を「組織の人格」としてトキ体験の創出につなげるのか。そのとき「個人の人格」はなぜ重要になるのか。このことを突き詰めて考えたときに、すぐに想起したのがスターバックスコーヒーです。

スターバックスのミッションステートメント

実際に勤務した経験もあるスターバックスでは、接客マニュアルはありませんが研修に多くの時間をかけます。

なぜ、接客マニュアルがないのか。なぜ、顧客がホスピタリティを感じる体験をできるのか。

"ドリンクのレシピなど、品質にかかわるルールは厳しく定められています。でも、お客様へのサービスに関するマニュアルは、アルバイトも含めて一切ありません。スターバックスならではのホスピタリティを実現するためには、マニュアルで細かく縛るよりも権限を委譲して、パートナー個々の自主性や創意工夫をどんどん引き出したほうがいいと考えているからです。"

まさに多様性を認める社会における「組織の人格(企業の理念)」「個人の人格(自主性や創意工夫)」の組み合わせとして、最も成功し世界に広がった例のひとつだと言えます。

その”お手本企業”もまた、規模拡大とともに様々な「低下」に直面し「企業の人格」としての「ミッションステートメント」を見直す決断をしました。

この新しい企業理念のなかに、自分の考える「トキ体験」に直結するキーワードがいくつも入っていることに気が付きました。

Our Customers
心から接すれば、ほんの一瞬であってもお客様とつながり、
笑顔を交わし、感動経験をもたらすことができます。
完璧なコーヒーの提供はもちろん、
それ以上に人と人のつながりを大切にします。

・心から接する
・ほんの一瞬
・お客様とつながる
・笑顔をかわす
・感動経験をもたらす
・完璧な〇〇を提供
・人と人のつながりを大切にする

・心から接する
表層的な笑顔(作り笑い)をしても相手に伝わってしまいます。心から接すれば「真心」が伝わります。これは大きな違いです。個人の自主性と創意工夫を引き出せれば「個人の人格」として自然な笑顔になります。

・ほんの一瞬
トキ体験は時間の長短ではありません。ほんの数分間の体験でも成立します。また、その時は一瞬かもしれませんがその後の人生において記憶に長く残る体験ともなり得ます。

・お客様とつながる
当たり前のフレーズですが顧客接点として考えた場合「心のつながりを創る」双方向な関係構築がトキ体験であり一方向な「押し付け」であってはなりません。

・笑顔をかわす
笑顔をマニュアルや訓練でつくり出すことはできません。つくりだす、という表現も正確ではなく突き詰めて考えれば笑顔は「ひきだす」ものではないでしょうか。そして更に「かわす」ものであると。

・感動経験をもたらす
体験の価値とは「通常ではない何か」であるとすれば、心が動かされる体験は日常のなかで大きな記憶となります。それがたとえ一瞬の「心からの笑顔」体験だったとしても。

・完璧な〇〇を提供
なぜ、家で安く簡単に作れるコーヒーをわざわざ飲みにいくのか。なぜわざわざお金を払うのか。「アウトソース」先としてのプロフェッショナル・サービス提供者として考えた場合に必須な「組織の人格」です。

・人と人のつながりを大切にする
この最後の文に、全てが集約されている気がしました。Our Customers=「人と人のつながりを大切にする」だとすれば、全ての説明がつきます。そのために、何をすべきなのかと。

この「ミッションステートメント」(の"Our Customers"部分)は全ての言葉が「体験の提供」に基づいて記されていました。そこで、英語の原文を調べてみたくなりました。そこには、また違った「味わい」がありました。

Our Customers
When we are fully engaged, we connect with, laugh with and uplift the lives of our customers – even if just for a few moments. Sure, it starts with the promise of a perfectly made beverage, but our work goes far beyond that. It’s really about human connection.

英語の原文でも、Our Customers=It’s really about human connectionとなっています。つまり「human connection」の実現が価値なのであると。また、最後の部分が日本語版とニュアンスが違っていたので自分なりに意訳してみました。

Sure, it starts with the promise of a perfectly made beverage, but our work goes far beyond that. It’s really about human connection.

完璧なドリンクを作るという信頼関係から始まり、やがてそれをはるかに越えたものー「人間的なつながり」になっていくということなのです。

この原文の世界には「はっとする」をはるかに越えた「身震い」がしました。物語性に富んでいて読んだ人の心にも大きな「変化」をもたらそうとしていることがわかる、素晴らしい文章です。文字が、人の心を動かす。これもひとつのトキ体験です。

これら日本語版と原文の「解読」作業を通じて、

トキ体験は、その場を共にする「人のつながり」

である、という改めての気づきを得ることができました。この観点をイベントやセミナー、コミュニティの場などを創る側が意識することによって、一方的な「コンテンツの提供(主催・企画者)」「コンテンツの消費(参加者)」を越えた「つながりを創る」場が実現します。

#つながりを創る人 のトークイベント

オンライン/オフラインイベントの
・今年はどうだったのか?
・来年はどうなるのか?
・形態は?
・課題は?
・解決策は?

について、12/28 20:00〜「オンラインイベント」を行います。

「人のつながり」の未来を一緒に考えましょう!

おわり

(次回 #トキ体験 を創る 2021.12.13)

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